2005年11月03日

[薛/子]子(ニエズ)第十集・阿鳳(アフォン)

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出かけようとするロンズにフォン爺が声をかける「坊ちゃま、台北は物騒ですよ、車で送りましょう」ロンズは笑いながら「僕は今までニューヨークに10年いたんだよ。待たずに休んでくれ」

アチンはシャオユイの化学の勉強を手伝っていた。が、さすがにシャオユイはもう退屈し始めたようだ。
そこへ老周が訪ねて来たではないか。久し振りに会えたシャオユイにしつこく話しかける。シャオユイは煩くなって冷たくあしらってしまう。老周はあの日本華僑のせいかとシャオユイを攻め立てる。林さんを悪く言われかっとなったシャオユイは「あんたは死んだ奥さんのベッドで僕に何をしたのさ」老周はついシャオユイの頬を叩いてしまう。シャオユイは買ってもらった服を持ってきて老周にぶちまけた。老周はなす術もなく哀れに泣きながらその服を持ち帰るのだった。それを見ていたアチンはさすがに頭に来て「シャオユイ、君は張さんをののしったけど、今の君のやり方は同じじゃないのか。もう手伝わないよ」そう言って出て行った。

新公園ではロンズが将軍である父親の葬儀のために台湾に帰ってきている、と言う噂がしきりに交わされていた。「すっかり人が変わったが、あの目は十年前と同じだ」アチンが誰の事を言ってるのと聞くと「ロンズだよ。十年前、林の中でアフォンを殺したあのロンズさ。ワン・クイロンだよ」師父はロンズは気が狂って精神病院へ入ったのかと思っていた。
皆から離れた池のほとりでアチンはグオ老に会う「彼はとうとう戻って来たのだな」

アチンは再びロンズに会った。二人はロンズの部屋の大きなベッドの上で色々な事を話した。アチンは好きだった友人に会ったことも話した。ロンズは親身にアチンに答えた。
アチンはアフォンのことを聞いた。ロンズは驚いた「何故彼を知っているの」「あなたとアフォンのことは公園では神話になっていますよ」「そうか、君とアフォンは同じ魅力的な目をしている。ずきずきと痛みを持った目だ」そしてロンズはアフォンのことを語りだした。

僕は25歳のあの夜、会社の仕事で留学する準備をしていた。蒸し暑い夜だった。天は暗く雲は低く垂れ込めて湿気でよどんでいた。
僕は将軍である父の前では緊張を強いられた。そんな僕を母とフォン爺がいつも助けてくれるのだった。
僕は父から逃げ出したかった。ただどこへ逃げていいのかはわからなかった。止めるフォン爺を振り切って私は外へ出た。傘だけを受け取って。公園の建物の前で大雨が降り出した。慌てて屋根の下に入ると、そこここで男たちが寄りそいあい話し合っていた。僕に近づいてくる男がいた。僕は恐ろしくなって逃げ出した。
土砂降りの雨の中僕は歩いていた。どこからか泣き声が聞こえる。激しく降りしきる雨の中、木の下に座って若い男が泣き叫んでいた。心が裂けてしまうかのように。燃えるような赤いシャツを着たその男は子供のように泣きじゃくっていた。
僕を見ると男は泣き止んで僕を刺すような目で見た。僕は怖れてその場を去ろうとしたが、去りがたく振り返った。が、男の姿はなかった。僕は慌てて男の姿を探した。男は突然現れ目の前にたった。「俺をさがしてるのか。あんたは見たことがないな。あんたの目はとてもいいね」「何故泣いていたんだい」「胸が痛んで張り裂けそうだからさ。信じないのか、そら解るだろ」そういって僕の手をとり彼の胸に押し付けたんだ。僕はたじろいで「ずぶ濡れだよ」と言って傘をさしかけようとした。彼はその傘を乱暴にもぎ取って投げ捨て僕にキスをしたんだ。激しく何度も何度も。僕も彼の身体を抱きしめ二人は雨の中で抱きしめあった。
そしてとある宿で愛し合ったんだ。一度目が覚め。出ようとしたが、彼は僕の身体をきつく抱きしめて離さなかった。僕も無理にその手を解きはしなかったんだ。次に目が覚めたとき、彼の姿はなかった。僕は慌てて服を着てはっとした。財布が無いのだ。ベッドの下にも。
外へ出て、公園を探したが彼の姿はなかった。仕方なく僕はそのまま会社へ出かけた。

会社にいると騒ぎ声が聞こえた。なんと言うことだあの若い男が会社へやってきているのだ。あの赤いシャツを着て。僕は友達だと嘘をついて彼を外へ押し出した。頭にきていた。彼は馴れ馴れしく財布を取り出し僕に渡した。「凄い財布だな。名刺はみんな英文字だ」「何故盗った」「盗っちゃあいないさ。ベッドの脇で拾ったんだ。タバコを一つ買って飯を食ったけどね」「金がいるならそら。足りないか?」そう言ったとたん男は怒って僕の胸ぐらをつかんだ「俺が金が欲しいって言ったか。俺はただあんたを知りたかっただけだ」そう怒鳴りつけ、出て行った。僕は突然怒りが消え、彼を追って外へ出た。

彼は脇の狭い路地に座り込んでいた。「すまない。そんなつもりじゃなかった」「かまわないよ。俺、もともと売ってたから」「そんなつもりで言ったんじゃなかった。座ってもいいかな」「好きなように」僕は彼のタバコを吸い、きつくてむせた。彼は「お坊ちゃまだな」と笑った。「君はなんて名前なの」彼は名前を言いたがらなかった。「俺の名はあんたの名前に関係してるよ。いけすかないけど」「虎、と言う字がついてるのだろ」彼は笑って「阿鳳(アフォン)」「アフォン。いい響きだ」「院の修士が女性名から取ったんだ。これでいつも馬鹿な奴らから笑われてしまう」「それは違うよ。鳳は雄だ。凰が雌だよ」「じゃなぜ昔の人は言うのさ。龍と鳳は夫婦だって。龍が雌じゃないだろ」「僕たちだってそうじゃないだろう」といいかけて僕は言いよどんだ。「さっき言った院の修士って何なの」「孤児院の修道士さ」「じゃ今君はどこに住んでるの」「ついて来るかい」
アフォンが連れて行った場所は新公園の池のほとりだった。「ここが全部俺のうちさ。綺麗だろ。この東屋が俺の部屋で、あの博物館が客室だ」「何故落ち着く場所を探さないんだ」「ダメかい。自由自在だ」「アフォン。僕に君の面倒を見させてくれ」「会ったばかりだぜ」「僕たちは充分心を開いたよ」「家ってのは俺には意味がないんだ。俺はすぐ飛び出してしまうから」「僕たちはずっと互いを好きでいられないかな」「好きってなんだい」「ずっと一緒にいたいということだ」「よし、じゃキスしてよ」僕はたじろいだ「ここでかい」「あんた俺が好きじゃないのか。証明してみせてよ」「しかし真昼間だ」「夜は何でもするけど、昼は何もできないか」アフォンはもう興味がないと言いたげだった。僕は迷った。が、彼を失いたくなかった。勇気を出して頬にキスした。アフォンはちょっと驚きながらもあきれたように言った「それだけかよ。そんなんじゃねえよ」僕はアフォンの唇にキスをした。何度も何度も。きつく抱きしめながら。

僕が家へ戻るとフォン爺が心配していた。お父上には何とか隠して母上様がお待ちです。僕は昨晩帰らなかったことを母が知ったことにいらだった。母は心配し女の子と会ってるのなら紹介しなさい。僕はただ友人と話をしていただけだと言った。母はこのことはとても隠せないわ。お父様が知ったら大変立腹されるとわからないの、とこぼした。僕はあやまり部屋へ戻った。
僕の心はまるで火のように静めることができなかった。頭の中はアフォンのことばかりだった。彼に会うことを考えていた。彼を知ったのは僅か一日の事に過ぎなくても僕の心は解っていた、僕たちは一生を運命付けられていると。

真っ赤なシャツを着たアフォンの鮮烈な登場。激しい雨の中でロンズはたちまちに魂を奪われてしまう。まったくこのアフォンの魅力に惹きつけられてしまう。ロンズが言う目の輝きも何を考えているのかもわからない野生児的な要素も。確かにその表情には人の目を惹きつけて離さないものがある。雨の中水を滴らせている時、ベッドの中での横顔、やっと打ち解けて話しているときも男の子らしい可愛らしさが炸裂しているではないか。
新公園の神話に相応しいアフォンの奔放さに魅了されてしまうのだ。

原作:白先勇 監督:曹瑞原 出演:柯俊雄(李父)柯淑勤(李母)范植偉(李青)張捷(幼年李青)楊祐寧(趙英)金勤(小玉)阿鳳(馬志翔)龍子(トゥオ・ゾンファ)楊教頭(丁強)呉敏(張孝全)老鼠(呉懐中)林義雄(林茂雄)李昆(老周)
posted by フェイユイ at 23:38| Comment(2) | TrackBack(0) | [薛/子]子(ニエズ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ソン・ガンホの新聞記事

11月3日付けの読売新聞に「ソン・ガンホさん免停へ」と言う記事が載っていた。何?と思ったら、飲酒運転で100日の免許停止となるそうだ。10月30日、屋台で知人と酒を飲んだ後自宅に帰る途中で検問に引っかかってしまったらしい。また、人気アイドルグループ「神話」のチョン・ジンさんやホ・ジュンホさん(ホ・ジュノのことらしい)も飲酒運転により免停ということです。

一挙にあげられたのは何やら行政の動きでもあったのでしょうかね。こんなことまで日本の新聞に載るとは韓流ブームもたいしたもんだと思ったり。

しかし勿論飲酒運転はとんでもない事ですが、警察に捕まって神妙な顔をして見せているソン・ガンホの姿を思うとついうっかり笑えてきてしまうのはいけない事でしょうか。
posted by フェイユイ at 22:59| Comment(2) | TrackBack(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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