2005年12月11日

座頭市と用心棒

用心棒.jpg

サンタパパさんのお勧めとタイトルに惹かれ、他は何も見ずに借りたのですが、なんとこれは岡本喜八監督、そして用心棒は「用心棒」三船敏郎御本人だったのですね。何も見ず借りる自分にあきれた。
岡本喜八監督の名前はいくら私でも知ってます。作品としては昔「肉弾」を見たのみですが、物凄い迫力のある映画だったと記憶してます。そして用心棒が御大・三船敏郎その人だったとは。「破れ!唐人剣」のジミー・ウォンにも驚きましたが、まさか三船敏郎が出てるとは思わないもの。
しかも岸田森さんも出ているし!!涙。細川俊之、草野大悟まで出ていてそこでまた感涙。若尾文子さんの色っぽいキュートさにも目を奪われました。

3作「座頭市」を観たわけですが、市さんのかっこよさはずば抜けているのではないでしょうか。
導入部、薄の中での斬りあいから始まるのはいつも通り。しかしより暗い画面になっている。雨と風が吹きすさび斬りあったものから物を盗むこの世の非情さに市は嘆く。そして3年前行った梅の香りがするあの村へもう一度行こうと考えたのだ。あそここそこの世の安らぎの場所だったという希望を抱いて。

が、その村は小仏一家というヤクザによって荒れ果てていたのだった。そして小仏政五郎は用心棒として雇っている佐々大作に百両という価で座頭市を殺せと言い渡した。
この小仏政五郎、情けない親分なのに凄く印象的。顔色悪いこの男は誰、と思っていたら米倉斉加年 だった!あののんびりした印象の(あ、私はテレビのCMとかでしか知らなくて)米倉斉加年さんがこんな面白い演技者だとは知りませんでした。しかも若い。この政五郎はよいですね。
三船敏郎が用心棒と言えば誰でも黒澤明の用心棒を思い出すだろう。ここでの三船演じる佐々はあえてそのイメージを無理に壊したりはせず、むしろそのイメージをダブらせながらしかももっと人間臭い酒飲みの用心棒にすることで面白さを増していたと思う。
映画ではこの偉大な三船演じる用心棒を筋肉とし、勝の市を頭脳として演出したのだと言う。居あい抜きの鋭さも見せながら、ここでの市さんは切れまくっている。
「血煙り街道」でエンターテイメントとはこういうものだ、と書いたが、「座頭市と用心棒」はさらにそこに迫力と凄みを加味している。
そして九頭竜(岸田森)の登場でまた気分はヒートアップ。岸田森もまた顔色悪い殺し屋がぴったりで興奮覚めやらずの映画鑑賞となった。

草野大悟と市さんのやり取りがおかしくてこれも見る価値あり。

監督:岡本喜八 出演:勝新太郎、三船敏郎、若尾文子、米倉斉加年、岸田森、細川俊之、嵐寛寿郎 、草野大悟 1970年制作


posted by フェイユイ at 22:37| Comment(2) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

座頭市 血煙り街道

血煙り.jpg

「破れ!唐人剣」の感想の繰り返しになってしまうと思うんだけど、とにかく映画の作りそのものに目を奪われてしまう。
時代劇、というのは多分年々どうしようもない物になってみているのではなかろうか。お金、ということもあるだろうが、それだけではない何かが確実に失われていっているようだ。まあ、日本人の骨格自体も大幅に変わってきているのだから、仕方ない部分もあるんだが、着物一つ調度品一つにせよ、素人目に見てもいまのそれとこの頃のそれの重さとか渋みとか違う、と思ってしまう。私だってそうだけど着物自体を日常に着ないものが自然に立ち居振る舞いするのは難しいことなのだろう。且つ、町並みや風景人々の行き交う光景などもいちいち今と違う、と思ってしまうのだ。

勝新太郎の座頭市が凄いのは昔から知っているつもりだったが、改めて観てみるとその迫力、かっこよさ、男っぽさ。これもまた今の役者さんでこの色気を出せる人がいるんだろうか、とまたうなってしまう。市さんの魅力は物凄い強いからには違いないが、それだけでない捨て身の怖さ。守ろうと思った者の為に命がけで守り抜く執念のようなものがある。それは決してかっこいい姿ではない。
市さんが助けてやろうと思った子供とその父親がお上に命じられた侍に斬られそうになる。市さんは目が見えないが為に我が身を投げ出して侍の行く手をさえぎる。その様は何がなんでもすがり付いて通すまいとするみっともないやり方だ。座頭市の居あい抜きの鮮烈さに魅了されるのは確かだが、同時に市さんの自分を斬らせてでも守りぬくという心意気に人は惹かれてしまうのだろう。

しかしエンターテイメントというのはこういうのを言うんだろう。皆、市さんになってしまって悪い奴をぶった切ってやりたくなるもんだ。「ああ、嫌な渡世だなあ」とつぶやきたくもなるもんだ。
やっと父親に会えたのに男の子は市さんを慕って追いかけてくる。市さんは身を隠して涙をこぼす。こちらも思わずつんときてしまう。市さんが世界のあちこちで人気あるのは当然だ。こんなに真似をしたくなるヒーローはそういない。

監督:三隅研次 出演:勝新太郎、近衛十四郎、浅丘雪路、中尾ミエ 1967年制作

なお、本作が後、ルトガー・ハウアー主演アメリカ映画「ブラインド・フューリー」としてリメイクされたそうな。
posted by フェイユイ at 00:05| Comment(4) | TrackBack(1) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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