2006年08月26日

「力道山」ソン・ヘソン

力道山.jpg

何と言っても圧倒されるのは韓国映画でここまで当時の日本を再現できたということなんだろう。
「その当時」と言うのを自分が生で体験したわけではないがまったく違和感を感じず観る事ができたということが凄い。
しかもソル・ギョングは30キロ以上の増量をして力道山の半生の変化を演じ分けながら全編日本語を話すのだからその努力と技術には驚くしかない。

ところでこの映画のキャッチフレーズは「日本人が一番力道山のことを知らない」ということだが確かに力道山の名前と顔は知っていてもどんな人なのかは全く最近までしらなかったのだ。
しかも私が知ってる写真は美空ひばりと仲良く笑いながら写っているとても可愛らしい笑顔の力道山だったりしてソル・ギョングが演じたような苦しみを持つ人だとは夢にも思わなかった。戦後の日本人に夢と希望を与えた最強のアイドルというイメージであった。

力道山が最初は相撲をしていたことは知っていた。だが朝鮮人であるためにこのようにいじめられ昇格もできなかったと言うようなことは知らなかった。映画での演出かとも思ったが、実際時がたった現在の相撲界でもモンゴル力士の報道など思い出すと当時の日本ならこれが嘘ということはないなと思ってしまう。結局力道山は相撲界に見切りをつけプロレスの道を歩み出すのも当然なのだろう(一体なぜ相撲からプロレスに?と思ったことはあったが、こういうことだったのだ)
ところで映画中にプロレスシーンが繰り広げられるのだが、これも当時の人間でないとわからない事ではあるが、想像するに随分派手な立ち回りをしているようだ。なんというか、自分が最もプロレスを見ていた頃の技が次々と繰り出される。(スタン・ハンセンのような)ラリアートやらブレーン・バスターなどはまだこの時代ないと思われるのでしてこれは時代考証うんぬんというよりまあ画面を華やかにするためのサービスと思おう。場外乱闘などはどうだったのであろうか。
無論、力道山の必殺技空手チョップは炸裂する。これでデカイアメリカ人をばったばったとなぎ倒すのを戦後日本人はこの映画で描かれているように涙を流して喜んだのだなあと感慨深げに観る。その英雄が散々差別した朝鮮人なのだというのはその当時の人々はどのくらい知っていたのか、いないのかそれも知らない。

くもりなき英雄と思っていた力道山が実際は酷く短気な面もあって様々な問題を起こしていたと言うのも驚きだった。それは映画で知るようにこのような差別の中では当たり前のような気もするが写真でみたあの笑顔の主がこのような苦悩を持っていたとは思わなかった。

だがそんな力道山も心の通う日本人はいたというのが救いである。特に力道山が会長と呼んで信頼している菅野武雄との交流は次第に鬼気迫るものへと変貌していく。菅野を演じた藤竜也と言う人を今まであまりいいと思ったことがなかったがこの役はよかったのではないだろうか。

監督のソン・ヘソンは「ラブレター〜パイランより〜」も作った方ですね。こちらは原作が日本のもの、ということで日本に興味が深い方なのだろうか。なんとなく男と女の関係が通じる所があるような気もする。

また、日本が舞台となり朝鮮人のヒーローということで思い出すのが「風のファイター」の大山倍達である。無理に比較する事はないのだが、あえて少し比べてみる。
これは勿論映画の中でのことである。
記憶の中でだが、日本語は倍達のヤン・ドングンが上手かったような。映画の出来具合は思い出してみてもどちらも大変よくできているようで甲乙つけ難いが好み的には「風のファイター」の方が好きである。やはり映画の倍達は魅力的であった。
以上は好みである。とはいえ力道山の苦悩する姿は壮絶だった。

ということを「力道山」で言うのはなんなんだがこちらが後だったんでしょうがない。

ここでも(というのはこの前「クロマティ高校」を観たから言っているのだが)橋本真也が東浪という力道山に続く相撲界からのプロレスラーという役で登場していた。

監督:ソン・ヘソン 出演:ソル・ギョング、藤竜也、中谷美紀、萩原聖人、橋本真也、山本太郎
2004年韓国


ラベル:格闘技 歴史
posted by フェイユイ at 15:27| Comment(4) | TrackBack(4) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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