2005年11月30日

「新座頭市 破れ!唐人剣」 に心服する。

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まず久し振りに観た日本映画の時代劇の様式美に感銘を受けました。例えば出だしのシーンで草の影をアップにして向こうに座頭市を立たせている構図などはその典型ともいえますが、こういうのもいいものだな、と新鮮に感じたり。また映画の撮り方が現在の奇をてらったもしくはまとまりのないやり方でなく(映画技法の名前を知らないので適当な言い方でしか言えません)単純で骨太な撮影法なのも観ていて落ち着く。
このシリーズは座頭市の強烈な個性で魅せている映画なのであくまでも市さんを映し出していくのだし、その市さんの個性と言ったら、現在ではこういうヒーローというのはもう探しても見つからないのだろうな、と思います。しかし本当にかっこいい男なんですよね。単に正義の味方と言うのではなくむしろ影の部分が強いのですが、そこがまたたまらないヒーローなのですね。
 
物語は、日本で大道芸をやっている中国人親子が日本に着たばかりの片腕の武芸者である中国人・王剛と出会う。
日本では殿様に献上する物が侍によって運ばれる時は道行く平民は土下座をせねばならない掟があるのに、中国人の幼い息子はついうっかり凧を追いかけたばかりに侍に斬られそうになり庇った両親が身代わりに斬られてしまう。怒った片腕武芸者・王剛はその侍達に切りかかり、取り押さえられそうになるが何とか逃げ延びる。そしてなぜかその様子を見ていた日本人達も皆斬られてしまったのだった。

ヤクザに追われる身の座頭市はその斬られた中国人夫婦の幼い息子と出会い、見捨てておけず連れ歩く。街では逃げた中国人・王剛が日本人を滅多切りにしたという噂で指名手配中だった。市は王剛にも出会うが言葉が通じないまま、行動を共にすることに。
そして偶然現場に居合わせて王剛が犯人でない事を知っている親娘の家でかくまわれる事になった。
が、市が出かけてる間にかくまった夫婦は嫌疑をかけられ殺されてしまったのだ。王剛とその家の娘は帰ってこない座頭市に疑いを持つ。金の為に王剛の居場所を知らせたのだと考えたのだ。
言葉が通じないばかりに市と王剛は気持ちを訴える事ができないまま、戦うことになる。激しい戦いの末、市の剣が王剛を倒す。二人は「言葉さえ通じたら分かり合えたはずなのに」とつぶやいた。

なんだか外国語会話教室の宣伝のようですが、実際それで解り合えないでいることが多いわけですから、真面目な映画であるわけです。市さんも王剛さんもいい人なのですから、悲劇です。それにしても市さんが勝ってしまっていいのだろうか、と気をもみました。「座頭市」は香港でも大人気と言う事できっと香港でも観られるわけでしょう。そしたら、これ香港バージョンでは王剛が勝つらしいのです(笑)市さん、死んじゃったわけですか。ははー。それは是非観たいと思うのですが、そのバージョンの映画は今では観られないそうですね。残念。

そして市さんの魅力ですが、まず声がいいですよ。かっこいい。もうこればっかしなんですが、こんな風に声がかっこよくてしゃべり方が個性的で思わずまねをしたくなるような主人公って今いないんじゃないかと。坊主頭でずんぐりした体型で尚且つかっこいいんですからね。目が見えないという普通なら辛いハンディも市さんになったら一つの強い個性なのだから。
そして仕込み杖による居合い斬りの鮮烈さ。これははでな香港アクション(だけじゃなくアメリカのなんかも含めてね)を見慣れた目にはこんな迫力のあるドスの効いたアクションと言うものがあるのか、と思えるだろう。昔観た市さんの剣がこんなにも鋭いものであったとは今更ながら感動してます。
そしてそれらを盛り上げていく映像効果もあると思います。影の多い画面、障子越しに人を斬り、白い障子に真っ赤な血飛沫が浮かぶ、などの演出。昔の映画とは言え、市さんのやり方は結構凄くて耳を切り落としてしまう過激さもあるのですが、今と違ってその残酷さを執拗に出さない所が大人びているとまた感心。

後、とにかく出演者がいいのですね。
市さんに心寄せる(市さんはもてるのだ)女郎のお仙に浜木綿子。色っぽくてかっこいい女性です。やっぱこのタイプは是非いてくれないとね。
王剛の友達・覚全に南原宏治。目が大きくて怖い。いかにも一癖ありそう。
てんぷくトリオ。伊東四郎さんが出てるのも楽しいですが、三波伸介さんがおかしい。映画は絶対笑う部分があるのが好きです。「ブレード/刀」はそこがなかったかもね。
追われる王剛をかくまう優しい百姓に花沢徳衛。この顔を見るだけでもうれしいです。

この映画を観て、ちょっとこれは「座頭市」と王羽も観なけりゃな、とまた観なきゃいけない映画を増やしてしまいうれしい悲鳴のフェイユイなのでした。市さん観なけりゃだめだよ!

制作:勝新太郎 監督:安田公義 出演者:勝新太郎 王羽(ジミー・ウォン)1971年制作


posted by フェイユイ at 22:32| Comment(5) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
拙者が生まれる前の作品だったとは・・・。

面白そうなので是非借ります。

ちなみに座頭市祭りとして春から夏頃に放送されてました。

HV版もあったのにぃ。
Posted by fince at 2005年11月30日 23:48
最近リメイクされたぜんぜん座頭市じゃない座頭市はおいといて、勝新太郎の『座頭市』はいいのでぜひ見てみてください。と言いながら26作もありますけど(^^;。私も全部見た訳ではありませんが、オススメは、
『座頭市物語』
『座頭市血煙り街道』
『座頭市と用心棒』
ですね。
Posted by サンタパパ at 2005年11月30日 23:49
わわ、すばやい。一体どうやって書いたんですか。居合い斬り並みのコメントですね(^^ゞ
> fince さん
HV版て香港ヴァージョンってことですか?ええ、観たい。もう一度やって!

>サンタパパさん
最近のはダメでした?(笑)私は観てはいないんですが、勝新さんが観たいのでやはり昔のを。
そうなんですよ。26作もあるんで困ってて。おススメありがたいです。その辺りから攻めてみます。
Posted by フェイユイ at 2005年11月30日 23:59
残念ながら香港版ではありませんでしたが。

D−VHSでHV番組録ってますが・・・。

早く安価なHVディスクメディアに登場して欲しいです。
Posted by fince at 2005年12月01日 19:42
あはは、「香港ヴァージョン」じゃないですね。「ハイ・ヴィジョン」ですね。羨ましくて早とちりでした。香港版は存在しないのでしょうか?あるなら是非セットで観たいですよね。
Posted by フェイユイ at 2005年12月01日 21:17
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