2005年12月31日

幻の電影版《[薛/子]子》(1986年・虞勘平監督)

殺人的年末稼業も終え、やっと静かな大晦日を迎えております。
大晦日と言えば「ニエズ」別に大晦日だけの話ではありませんが、アフォンとロンズの劇的シーンが大晦日だったので。というわけで大晦日に、幻の電影版《[薛/子]子》(1986年・虞勘平監督)を観れる幸せです。

石公さん(ブログ「夜目、遠目、幕の内」)から教えていただかなければ、多分知る事もなかった貴重な映画であります。さて、期待で胸張り裂けんばかりのこの映画、且つあれほど好きになったドラマの映画版ということでそれ以上の不安がありました。

してその結果は。

非情に興味深い面白い出来でしたね。
まずはあれほど中身の濃い連続ドラマで表現されていたものが2時間の枠で映像化されるためにはこのように中身が変わっていくのかと。
数多く配置されている登場人物の役を兼ねて表現させています。例えば楊教頭が「青春鳥集」の撮影をしたグオ老人、老爺子の役を兼ねています。枝葉の部分は省略化され、あるいは象徴的に表現されているのです。

何度もドラマを観た者には何とも不思議な体験でした。
名場面であるアフォンとロンズのシーンは後ろから照らされる光のなかで演じられ舞台劇のようです。それはファスビンダーの「ケレル」を思わせるものがありました。

querelle.jpg

またアチンの父親が楊教頭を訪ねてくるシーン(ドラマではそんな場面はありませんでしたね)は「Mr.レディMr.マダム」のようでしたが(笑)

アチンたち4人組を演じている役者さんたちもなかなかよくてうれしかったです。特にシャオユイは可愛いなあ。よりいっそう小柄で女の子みたいで愛らしいし、他の3人も男の子らしい風貌で素敵でした。ロンズとアフォンも結構好みでアフォンなんてドラマとは随分イメージが違うのですが私的には好みだったりして。ロンズから刺された演出が椿三十郎みたいでした(色々な映画を連想させますが、真似と言う事でなくてあえてそれ風に演出しているように感じられたのですが)

観ていて感じたのはドラマより何だかリアルな感じがする、ということです。これは何故なのか?一つは映画の時間設定が80年代(多分)になっているためより近い感じがするためでしょうか。しかし最近撮られたドラマより生々しい感覚があるのも不思議です。見てはいけない世界を覗き込んでいる感じがするのです。
また映画の方が(知りもしないのですが)台湾という雰囲気が強く現れているように感じました。あの独特のじっとり感、雷、雨風の凄まじさなど怖いほどでした。街の風景なども見入ってしまいました。

ただ主人公アチンはドラマに比べると心理なんかがいまいちよく解らなくて急に激情にかられてわーっと駆け出す場面が少しおかしかったものです。
むしろ楊教頭の心理状態のほうがわかりやすく描かれていました。映画の主人公は楊教頭だったのかもしれませんね。

アチンが夢でお母さんを思い出すシーンがあってこれが相当怖くて変なホラーよりずっと怖いんですが、あれは一体なんだったのでしょう。思わずギャーと逃げてしまいそうでした。

まとまりなく書いていきましたが、色んな意味で凄く楽しめる映画だと思います。ドラマ「ニエズ」のファンなら必見ですね。


posted by フェイユイ at 23:29| Comment(2) | TrackBack(0) | [薛/子]子(ニエズ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ドラマの方は、なかなか手が出ませんので、映画版の方は見てみたいです。
Posted by banimi at 2006年02月06日 23:36
ほんとそうなんですよね。ただし映画版はドラマとはまったく別物と考えてもらった方がいいです(笑)
それなりに楽しめるとは思いますが。
Posted by フェイユイ at 2006年02月07日 00:34
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