2006年01月03日

「楽園の瑕(東邪西毒)」ウォン・カーウァイ

西毒.jpg

夢中で愛した映画を今やっとここに記すことになりました。

ウォン・カーウァイによるレスリー・チャン演じる「不毛の愛」3部作の2作目。ずっと中文字幕でのみ観ていてもその時間がとまったかのようなまたは過去と未来を行き来するようなそして美しい世界に浸りきったのでした。

しばらく観ないでいるその間に私は武侠ドラマにはまってしまったことは当然のことなのかもしれません。そして「射[周鳥]英雄伝」を元にしてその登場人物たちの若き日を描いたと言うこの「楽園の瑕」再び観てみてその名前の印象が以前観た時とは違うようになったのもまた当然です。

物語を知って観てみるとやはりとても面白いのです。特に「藍空」を見に来てくださる方は「射[周鳥]英雄伝」を知っている方が多いと思いますのでそれと絡めて話していきます。

レスリーは若き西毒・欧陽峰を演じています。彼には愛する女性がるのですが、離れている間に兄嫁となってしまったのですね。彼女は一言「愛している」と言ってくれれば心を変えたのかもしれないのですが、強情な西毒は黙ったまま彼女の元を再び離れ、砂漠で殺しの請負人をやっています。だが西毒の心は常に兄嫁になった女性から離れてしまうことはなかったのです。彼女も西毒を忘れる事ができず、悲しみにくれたまま芯で行くのです。だが、兄の息子として生んだ男の子は実は西毒の子供だった。これはドラマでもありましたね。もうこの辺なんかドラマの欧陽峰と欧陽克の顔がちらちらします。これを観ると欧陽峰はほんとに欧陽克が可愛かったろうなあと思われます。
東邪はレオン・カーファイ。彼は慕容家の女性や友人である西毒の想い人そして桃花と言う名前の女性を愛します。そして1年に1度西毒の想い人である女性に会うために西毒を訪ねその様子を知らせに女性に会いに行くと言う習慣を持っています。そして言えばいいのに西毒に彼女の居場所を教えてあげません。ドラマで西毒と東邪が睨み合ってるはずですな。
彼女が死ぬと東邪はもう西毒を訪ねるのはやめてしまい、桃花島に閉じこもってしまいます(ドラマどおり!)
洪七公は洪七という名前で登場。ジャッキー・チュンが演じています。純粋な気持ちを持つ風来坊です。卵一つの報酬のために金のない女のために殺人を犯します。その時指を1本失ってしまうのです。これはあのドラマでは多分なかったですよね。実は原作では洪七公は指が1本ないのです。なぜかと言うに彼はあんまり食いしん坊なので人差し指がぴくぴく動いてしまうのでこれはいかんと自分で指を切ってしまうんですよ。映画ではこういうエピソードになってました。
東邪を愛するあまり二重人格になってしまう女をブリジッド・リンが演じています。その名は慕容燕・慕容媛。兄の人格である慕容燕は黄薬師(東邪)が妹を捨てた復讐のために彼を残酷に殺して欲しいと西毒に殺しを頼みに来るのでした。一方、妹の人格・慕容媛は金は2倍払うから東邪を殺さず、代わりに兄を殺して欲しいと頼むのです。兄、と言うのは自分自身。東邪を愛して愛されなかった彼女は精神が破綻してしまったのでしょう。

そうやってドラマを思い出しながら存分に楽しんだのですが、その上この映画の持つ気だるく悲しい雰囲気にも酔いしれました。レスリーの想い人を演じるのはマギー・チャン。決して結ばれる事のない愛する人への思いは彼女の命を奪ってしまう。彼女もまた強情を張っていたのですね。愛する人を思いながら遠くを眺めているのであろう彼女の表情は切なく心を揺さぶります。その彼女を愛しながらも報われる事のない東邪も悲しいのですが。

映画ではもうすぐ目が見えなくなってしまう剣士が登場します。演じるのはトニー・レオン。そして彼の帰りを待ち続けるのが実際にも奥様であるカリーナ・ラウ。この女性とも東邪は絡んでいるわけで複雑ですね。このトニーのかっこよさは必見です。この映画の中で一番かっこいいのはこの剣士でしょうから。また奥様カリーナの水の照り返しによる白い肌の色っぽさもまた見逃せません。

最後にレスリーになりますが、もうこの時の西毒・レスリーの美しさ、色っぽさは勿体無くて話せません。愛する人を思い続けてただ時のたつのを待つだけの男。冷酷な言葉と金勘定だけを生きる術にしている空虚な男の役を演じるレスリーはこれ以上考えられないほどの魅力があります。甘い顔立ちを引き締めている髭もばらばらと乱れている髪もレスリーの美しさを引き立てるばかりです。訪ねてくる友を待つレスリーの姿にも魅入られてしまいます。
幼い頃から孤独で拒絶されないためには先に拒絶するのだという悲しい心を持つ西毒。占いによると彼は一生結婚できず愛も育たないと言う。そのとおりだと西毒は思うのでした。

ウォン・カーウァイがレスリーを演じさせたそのどれもがレスリー本人と重なりあうように感じられるのは何故なのだろう。「欲望の翼」「ブエノスアイレス」どちらも私は愛するのだが、「楽園の瑕」は最も苦い愛の苦しみを感じさせてくれる。

監督:王家衛 撮影:クリストファー・ドイル 美術:張叔平 出演歐陽峰<西毒>=張國榮(レスリー・チャン) 黄薬師<東邪>=梁家輝(レオン・カーフェイ) 盲剣士=梁朝偉(トニー・レオン) 洪七 <北夷>=張學友(ジャッキー・チョン) 慕容燕/媛=林青霞(ブリジッド・リン)桃花=劉嘉玲(カリーナ・ラウ) 歐陽峰の兄嫁=張曼玉(マギー・チャン) 村の娘=楊采[女尼](チャーリー・ヤン)  1994年製作


posted by フェイユイ at 23:10| Comment(9) | TrackBack(2) | レスリー・チャン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
明けましておめでとうございます。
昨年はお世話になりました〜
今年もよろしくお願いします。
さっそく、私が2005年のベスト1に選んだこの映画にTBさせて頂きました。
トニーもかっこいいのですが、この映画では、私はレスリーが凄く好きです。
ドラマがあるというのは、知っていたのですが、私が観る機会は果たしてあるのでしょうか・・・
Posted by hi-chan at 2006年01月04日 15:36
あけましておめでとうございます。こちらこそ今年もよろしくお願い致します。

ドラマを観なくても面白い映画には違いないのですが、やはりドラマ・小説を知った後では印象が違いますねー(笑)
ドラマはスカパーでの再放送がもう終わったのでしょうか?
後はDVDレンタルか。でも連続ドラマは大変です。よほど興味があるなら別ですが。
なんだか宣伝みたいですが、私のカテゴリで「射[周鳥]英雄伝」を見て貰えれば、少しイメージはできるかも?
でもドラマを観てこの男がレスリーね!とか解った時は大変愉快でしたよ。機会があれば是非!
Posted by フェイユイ at 2006年01月04日 17:51
フェイユイさん、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
私も武侠物のドラマ見出して、この「楽園の瑕」をまた見直しました。映像のきれいなこと、お団子頭じゃない若い時のロン毛のレスリーのなんとすてきなこと!実は私はこの映画を見て、原作が金庸ということを知り、彼の本を色々読みました。ダーッと読んでしまったので、今では内容をはっきり思い出せない有様です。レスリーが出ているカーウァイの映画3本とも、レスリーに重なるしどれも哀しいです。
Posted by banimi at 2006年01月04日 20:07
banimiさん、あけましておめでとうございます。こちらこそよろしくお願いいたします。

おお!やはり好みは色々ですねー。私はお団子頭で髭のレスリーが大好きで(笑)映画はほぼその姿ですから、ずっと悶絶ものでした。
レスリーのカーウァイ3部作は全く選ぶのが難しいすばらしさですね!
Posted by フェイユイ at 2006年01月05日 18:04
フェイユイさん、新年おめでとうございます。
やはり「楽園の瑕」は特別ですよね。
私は残念ながらドラマは見ていないのですが、フェイユイさんがレスリーについて書かれたところに特に共感いたしました。違うページですが「バッド・エデュケーション」も本当に面白かったですね。

Posted by ヒス・テリー at 2006年01月06日 23:58
初めてこの「楽園の瑕」を見たときはまだ金庸の作品を知らなかったので、わかっていたのは主役の二人が東邪、西毒と呼ばれているということぐらいだったんですが、逆に「射[周鳥]英雄伝」で西毒が出てきたときから、レスリーのことを思い出してました。
洪七公は丐幇の幇主ということでずっと「天龍八部」の蕭峯のことが頭に浮かんでたんですが、この映画ではジャッキー・チュンが演じていたんですね。
こうやって観ると面白いです〜。
私も目が見えなくなる剣士のトニー・レオンに心を奪われました。
そしてレスリーは美しいです〜。
Posted by zoecchi at 2006年01月07日 22:07
>ヒス・テリーさん
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
「楽園の瑕」を好きな方が結構いるのだと知って心強いです(笑)ここに来る方はやはり一味違いますね。

>zoecchi さん
ふふふ。ドラマを観たらどうしたって重ねて観ちゃいますよね。
これは両方見たものだけの特権ですね(笑)片方だけでも面白いですが、両方見れば相乗効果で楽しめまする。
Posted by フェイユイ at 2006年01月08日 00:15
昔、『楽園の暇』と読んだバカ者は私です(^^;。私はこれがきっかけで撮られた『大英雄』の方が好きな人なのですが(^^;、この映画も嫌いではありません。ただ、東邪西毒の若い頃と言ってもなんか私のイメージはちょっと違っていて、違和感はありました。それもあって、盲目の剣士のエピソードが一番好きなのかもしれません。

Posted by サンタパパ at 2006年01月11日 02:00
なるほど。そうですねー。
これは東邪西毒と言う名を借りてウォン・カーウァイが作り上げた世界なのでしょう。ほんとに盲目の剣士はステキでした。

「大英雄」勿論大大大好きです。あれも盲目の剣士もといトニー・レオンがすばらしかったです(笑)
Posted by フェイユイ at 2006年01月11日 21:07
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