2006年01月19日

続々・「笑傲江湖」ラスト展開における原作とドラマ

日月神教が攻めてきたその際に激しく丹田に痛みを覚えた令狐冲は方証の提案で風先輩の練功法を用いて痛みを治めた。
日月神教の布陣は4・5千はいるかと思われる。楽の音が響き「日月神教教主が令狐総帥と相見えたいと仰せである」と礼を尽くした様子に方証大師は令狐冲に上がって貰ってはどうかと勧め、令狐冲もこれに肯く。

日月神教の隊列はいずれも華やかな服をまとい、大きな輿を担いで上がってきた。側には向問天と緑竹翁が付き添っている。さらに管弦楽隊を率いていた。令狐冲は演奏つきの闘いかと愉快になる。が、よく見ると一行は腰に白い布を巻いているのだ。令狐冲ははっとしてそこに盈盈の姿が見えないことに気づいた。まさか盈盈は自殺でもしたというのか。彼らは喪に服しているのではないか。

任我行を迎えるために用意した無色庵の爆破の仕掛けのある椅子にいつの間にか桃谷六仙が闖入して座っては遊んでいた。気づいた冲虚道長は気が気ではない。が、令狐冲は「盈盈が死んだのなら諸共に爆破されてもかまわない」と悲しむ。
そこへ方証大師が現れ「貴賓が外におられるのに、騒ぐでない!」この最期の「ない」には少林寺の至高の内功「金剛禅獅子吼」の修練が込められていたため冲虚道長は頭がくらっとなり、桃谷六仙は気を失った。

方証大師と冲虚道長は到着した輿に向かって声をかけるがひっそりとしたままだ。冲虚道長はもったいぶった態度に怒る。
が、向問天が輿からの声を聞き、言葉を伝える。「お二人においでいただいて恐縮だが、今日は令狐総帥とさしでお会いしたいゆえ、本堂へは令狐総帥おひとりだけにおいでいただきたい」輿が無色庵に運び入れられ、向問天と緑竹翁も駕輿丁と共に外へ下がった。
「訳ありだ」と冲虚道長は方証大師と令狐冲を見やるが、令狐冲は「任教主がさしで私と話したいのなら」と言い一人無色庵へ入っていく。中から「あっ」と言う声が聞こえ、冲虚道長らはぎょっとなるが令狐冲は天下無双だと思いなおす。任我行があの椅子に座れば山が半分吹っ飛ぶはずだ。その前に皆は逃げる算段だったのが予想外の出来事で冲虚道長はすっかり弱りはてる。
方証大師はさすが修行が深く運を天に任せておられる。が、無色庵からは長時間たっても何も聞こえては来ない。
「向兄貴、任教主を外までお送りしてくれ」令狐冲の声が聞こえ、向問天は輿を再び無色庵の中に入れ、担ぎ出した。そして向問天は「教主の少林寺の方丈への礼物をお持ちしろ」と教徒に命令する。
方証が見ると「金剛経」と数珠である。「金剛経」は方証がずっと欲しかった梵語の原典なのだった。さらに冲虚道長にはかつて日月神教の使い手が盗んでいった、武当派の宝「真武剣」と「太極拳経」が戻されたのだった。冲虚道長も感激で両手の震えが止まらない。「その昔武当派に無礼を働いたことまことに慙愧に堪えぬ。今日、お宝をお返しすると共にお赦しを願いたい、と教主は申しておられる」冲虚道長は突然の配慮に動揺し「一体どのような意図が」と向問天に尋ねるが、向問天は「当たり前のことをしたまで」と笑うばかり。
さらに令狐冲にも礼物が渡されるがこれは日用品と玉蕭と古い琴のみであった。
そうして日月神教の隊は音楽もなく「永遠に栄え、江湖を支配す」の呼び声もなくひっそりと帰っていった。

何故、突然任我行が考えを変えたのか。冲虚道長と方証大師はただ一人訳を知っているはずの令狐冲を見やると令狐冲は「お許しください。任教主に事の次第をしばらくは伏せておくと約束したのです。大した秘密ではありませんので、お二方もやがて知ることとなるでしょう」
方証大師は笑い「大量の殺戮を防げたのじゃ。実に喜ばしい」

令狐冲は方証大師と冲虚道長を無色庵で休ませた。すると供物を捧げる卓の下から誰かの声がするではないか。「盈盈、君だったのか」「冲さん、あなた」
ぎょっとした令狐冲は椅子から飛び上がった。それはまさしく桃谷六仙の声である。
「冲さん、お父様が亡くなったの。あなたが出て行ったすぐ後に岩から転げ落ちて。向問天と私はその身体を受け止めたけど、間もなく息絶えてしまって」「じゃあ暗殺されたのか」「いいえ、向おじ様が言うにはお父様はもう年だし、湖底で十数年辛い目にあったし。ここ数年、体内の気を追い払おうと精力を消耗した上、五岳剣派を殲滅しようと心労があったのだからきっと天寿でしょうって。そして話し合いで私を新教主にしたのよ」
桃谷六仙は気絶した後、そのまま卓の下に押し込められたため、目を覚まして二人の会話をそっくり聞いていたのだった。
任教主が令狐冲に日用品しか贈らなかったのはそれが二人の結納の品だったからなのだ。


posted by フェイユイ at 10:52| Comment(1) | TrackBack(0) | 笑傲江湖 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
なかなか面白い結納。ちゃんと種明かしのある秘密、いいですね。時には、種明かしが先に来てドキドキワクワク(お婆様と思われていた盈盈、雪だるまの中からいろんな光景を見ているシーンなど)することもあれば、こんなふうに最初に謎かけして話に引き込んですぐに種明かし。こういうところいいですね。
Posted by 迷 at 2006年01月19日 21:10
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