2006年01月22日

「夜になるまえに」

夜になるまえに.jpg

レイナルド・アイレス。1943年キューバで生まれ、貧困の中で育ちやがてキューバ革命と共に作家となるが同性愛者であるために迫害を受け投獄される。ついに彼はアメリカ・ニュー・ヨークへ亡命するがエイズを発病した。

レイナルドの人生はずっと漂流し続けるものだった。生まれてすぐに母親はレイナルドの父親である夫から逃げ出す。レイナルドは幼い時から教師に詩人の才覚を見出されるが祖父は逃げ出すように別の町に移り住むがまだ少年であるレイナルドは単身家を飛び出す(途中農夫に車に乗せてもらうが、これをショーン・ペンがやっている)
20歳で図書館職員となりまた念願の小説家にもなる。彼は幼い時から同性愛者である。そのためにますます彼は漂流し続けることになる。カストロ政権化では同性愛者というだけで投獄の対象となる。一度捕まった彼は役人の目を盗んで海へ飛び込み逃亡する。そして友人にタイヤのチューブをもらってフロリダへと文字通り漂流しようとして失敗しハバナをさまよう。
彼の小説も彼の手を離れフランスからの旅行者に委ねられて国外で出版される。
ついに投獄された彼は物書きとしての才能を買われ受刑者たちから手紙の代筆を次々と頼まれタバコを儲ける。そしてそのタバコを代償として小説を持ち出すことを運び屋に頼むのだ。この運び屋の女装男をジョニー・デップが演じている。これはさすがにジョニー・デップらしい打ち込みよう。素晴らしいグラマラス・クイーンでありますよ。
そして入れられる独房の恐怖。こんなにぞっとする独房があるなんて。縦にも横にも身体をまっすぐに入れられないのだ。目の前は石の壁。入れられたものは泥の上をのた打ち回って体が痙攣しない内に身動きをせねば気が狂ってしまうだろう。私は見ただけでエコノミー症候群に陥ってしまった。血の循環がぬるいもんで手足が伸ばせないと死んでしまう。
そしてレイナルドに反省を促す中尉役で再びジョニー・デップ登場。あまりの美貌にのけぞる。レイナルドも性器をさわる中尉を想像して恍惚となる。

やっとのことで刑務所から出られたレイナルドは仲間と気球に乗って脱出を図るがこれはスパイの男に乗っとられる(が、彼も落っこちる)

今度はカストロが「革命家の魂を持たないものは出て行け!」という指令を出し、つまり同性愛者、精神病者、犯罪者だと申告すれば出国できるというのだ。罠か?だがレイナルドは同性愛者だと申告して出国する事になる。出国の際、捕まる者たちを見たレイナルドはすかさずパスポートの自分の名前にペンで点を書き入れた。アレナスをアリナスに書き換えて逮捕者名簿を見る役人から出国の許可を得たのだ。

ニュー・ヨークへついた彼は降る雪に大喜びする。が、やっと自由を手に入れた彼を襲ったのはエイズと言う病魔だった。

苦しい筈のキューバだが、明るい太陽・青い海・音楽・踊り・迫害を受ける運命とは言え、ゲイ仲間達との楽しげな交流。なんていいところなんだろう、と気軽に思ってはいけないのか。
やっと逃げ延びたニュー・ヨークでの生活の描写は殆どない。結局ここでもレイナルドの作家活動は制限されている。漂流し続けても彼の生活に自由と言うものはないのだ。

レイナルドの恋物語はこの中では希薄でしかない。唯一ほんのり彼への愛情を感じさせるのはストレートであるラサロだけだ。彼はレイナルドとニュー・ヨークで住む事になるが恋人ではない。そのためにレイナルドは苛立つが真に頼れるのはラサロだけなのだ。「本当の男と思えるのは君だけだ」とレイナルドは言う。
苛立って「出て行け」とラサロにあたるレイナルドだがラサロがやってくるのを窓から見つけた時、植木鉢のバラが開いている。単純なほどの愛情の演出だ。
またレイナルドを苦しめたキューバからアメリカへと運ぶ小さな船の名前が「聖ラサロ」となっていた。

監督:ジュリアン・シュナーベル 「バスキア」
脚色:カニンガム・オキーフ、ラサロ・ゴメス・カリレス、ジュリアン・シュナーベル製作:ジョン・キリク
音楽:カーター・バーウェル(特別挿入曲 ルー・リード&ローリー・アンダーソン)
プロダクション・デザイナー:サルバドール・パーラ

出演:ハビエル・バルデム、オリヴィエ・マルティネス、アンドレア・ディ・ステファノ
ジョニー・デップ、ショーン・ペン、マイケル・ウィンコット
2000年製作




posted by フェイユイ at 21:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 中南米 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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