2004年12月16日

レスリー・チャン「ブエノスアイレス」

レスリー・チャンに恋して中国映画への道が始まった私なのに、彼についてこのブログに書いたものはごくわずか、というのは、ちょっと寂しい。もし彼に夢中だった頃に始めていたのなら、毎日レスリーへの賛辞ばかりの文章になっていたでしょうに。今まで書いたのは、大まかな彼への気持ちだけなので、少しずつ、作品についても思い出しつつ書きたくなりました。

レスリー・チャンの作品というのは音楽活動もしていた人なのでかなり多いですね。映画のみでもたくさんありますし、特に優れたものもとても多い人だと思います。どうしてもレスリーについて書くことは感傷的にならざるを得ないんですが、それを差し引いても、すばらしい人だったと思ってます。

彼に出会った最初の作品は、ウォン・カーウァイの「ブエノスアイレス」最初に出会った映画ですが、レスリーの映画の中で一番好きですし、世界中のすべての映画の中でも一番好きといえます。それは勿論、ウォン・カーウァイの技術に惚れたわけですが、この役がレスリーでなく他の誰かであるなら「とてもかっこいいすばらしい映画」のひとつだ、とカテゴライズしていたでしょう。レスリーがウィンを演じたことでこの映画は(少なくとも私にとって)ひとつの神話となっています。

この映画の不思議な感じはゲイの映画という触れ込みなのにも関わらず、出だしがあのような衝撃的シーンなのにも関わらずさほどゲイストーリーというムードがないことです。それはウォン・カーウァイの別の映画に表された男二人の関係にも似ていていることもあるかもしれません。ハンサムなレスリー・チャンとトニー・レオンが演じているこの二人の男たちは、一見若い青年のようですが、実際はちょっと年がいってるのに相変わらず少年のままでいるつもりの中年男のようにも感じます。彼らはもう落ち着いて結婚し、小学生くらいの子供がいてもいいくらいの年齢なのに自分たちがまだ子供のようで遊び歩いています。そして互いの関係も子供の喧嘩のようにくっついたり離れたり。結局大人になりきれない中年男が二人地球の裏側でふらふらしている話です。トニーのほうはこれはいかんと、目覚めますが、レスリーのほうはいなくなった相棒を求めて悲しがりつつも年老いた少年のままでいるかのようです。

ウォン・カーウァイは意地悪な魔法使いのように物事がわからなくなって迷子になってしまうように観客を不思議な空間に陥れる。断片的なエピソード。妖しい色彩。モノクロームの時間。
ウォン・カーウァイの映像の魔法にかかり、空間と時間はあやふやなまま漂い、夢の中なのか現なのかそれさえもよくわからなくなってしまう。レスリーはどこにいるのだろう。彼はあの映像の中に閉じ込められているだけではないのか、あの街のあの部屋に。帰らぬ想い人を待ちながら。
posted by フェイユイ at 14:22| Comment(11) | TrackBack(5) | レスリー・チャン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。トラックバックさせていただきました。
ウィンともうします。あの『ブエノスアイレス』のウィンからとって、ハンドルネームとして使わせてもらってます。

フェイユイさんの文章からは、すごくレスリーへの愛情が伝わってきます。
私も、『2046』を観ましたが、やっぱりどこかでレスリーを探してしまっていました。

彼が生きていたら、なんて、言っても仕方のないことですが、本当に魅力的な役者だったので、もう彼の最新作を観れないと思うと、残念です。
Posted by ウィン at 2004年12月20日 00:46
はじめまして、ウィンさん。素敵なハンドルネームですね。私にとってもレスリーは一番のスターです。彼ほど私に夢を見させてくれた人はいませんでしたし、多分これからもいないと思います。これからも少しずつレスリーのことを書いていきたいと思ってますので、その時はまたのぞきにいらしてください。
トラックバックありがとうございました。
Posted by フェイユイ at 2004年12月20日 19:20
こんばんわ。
ご訪問&トラックバック、ありがとうございました。
私の周りでも、ひそかにレスリーファンの人は多く、本当に彼は偉大だと思います。
そして、これからもそれは色あせないとも思います。
また一人、レスリーを好きな人と知り合えて嬉しいです。
ぜひ、また遊びにこさせていただきます。
Posted by ウィン at 2004年12月20日 23:24
はじめまして。映画『ブエノスアイレス』私も好きで何回も見ました。見るたびに感情が入っていくようです。昨年アルゼンチンへ旅行に行ったとき『Bar SUR』へ行って来ました。HPで写真を載せているのでもしよろしかったらご覧ください。レスリー・チャンもトニーレオンも素敵ですよね。ウォン・カーウァイ監督の空気を読んだ作風も好きです。
Posted by KE-KO at 2004年12月25日 12:41
はじめまして、KE-KOさん。「Bar SUR」見させていただきました。素敵なところなんですね。
KE-KOさんのアルゼンチン旅行記、とても楽しそうでした。それにしてもレスリーがいたところに行ったなんてうらやましすぎる。私も行きたいです!!
Posted by フェイユイ at 2004年12月25日 19:07
HP見てくださってありがとうございます。いつかトニーが働いていた中華飯店や最南端の街ウシュアイアにも行ってみたいと思ってます。是非フェイユイさんも!良いところです(*^_^*)
Posted by KE-KO at 2004年12月25日 21:23
こんにちは。お久しぶりです。
フェイユイさんは、レスリーも好きだったのですね。
私は彼については、全然詳しくないのですが、やはり映像で観ると、切ない気持ちになります。この映画でのレスリー凄くいいですね。フェイユイさんが書いているように、少年のようです。
フェイユイさんの文章は、いつも映画への愛情が込められているので、とても共感できるし、好きです。
私も好きな映画については、つい力が入って長い文章を書いてしまったりするので…

話は変わりますが、「春夏秋冬、そして春」、レンタルが始まってますね。もうすぐ観るつもりです。
また寄らせて下さい。
Posted by hi-chan at 2005年05月16日 10:41
レスリーこそが私のアジア映画鑑賞の原点です(笑)彼ほど私の心をつかんだ役者さん(歌手)はいませんでした。それは過去の全て、西洋の役者さんも含めてです。
彼がいなくなってこのまま中国映画を好きでいられるのかな、と思った時期もあったのですが・・・。
ただ、支えは彼がいい映画にたくさん出ていることです。ウォン・カーウァイの映画は最も好きですが、「チャイニーズゴーストストーリー」や「金玉満堂」(発音できませんねコレ)のような楽しいレスリーも大好きです。
Posted by フェイユイ at 2005年05月16日 18:33
こんにちは。
ブログをはしごしていたらこちらのページにたどり着きました(^^)
中国映画へ道がレスリー・チャンがきっかけという、私と同じ人がいた嬉しさに思わずコメントさせていただきました。
私はレスリーにはまったばかりなので、レスリーの映画中心にブログをやっております。
よかったらのぞきにきてみてくださいね。
トラックバックもさせていただきます。
Posted by zoecchi at 2005年06月16日 03:56
コメント・トラックバックありがとうございます。私も早速TBさせていただきました。
zoecchiさんのブログも拝見させていただきました。レスリーへの熱い思いが伝わってきてうれしくなります。
レスリーがきっかけで中国映画へ入り込んでいく人は思った以上にたくさんおられるようです。レスリーにはそれだけの魅力があるのだな、といつも感激します。
あんなに素敵で繊細で尚且つ人を楽しませられるアクターはそうはいませんね。
レスリーのいい作品がたくさんあることが幸せだとおもっています。
これからもよろしくお願いしますね。
Posted by フェイユイ at 2005年06月16日 10:37
すみません。TBに失敗したようです(T_T)
表示が文字化けしているので不要ならば削除しちゃってください。

こちらこそありがとうございます。
レスリーのファンになってこうやって同じファンの方とつながっていけるのは幸せなことですね。
またこちらにもおじゃまさせていただきます。
Posted by zoecchi at 2005年06月16日 22:50
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