2006年02月17日

[薛/子]子(ニエズ)第十六集 結婚 後半

ホテルで林さんは帰り支度をしている。シャオユイはそれを手伝っていた。
「シャオユイ。このパーカーの万年筆は私が5年間使ったものだ。君に記念としてあげよう」
「ありがとう、林さん」「そうだ、この金もとっておいてくれ。もう秋だ。着替えをいくつか買うといいよ」
「いりません」「私は行かねばならない。君はまだ遠慮するのだね。お金が必要でないなら、とって置けばいい。将来、日本へ来る時に要るだろう。取っておきなさい。しばらくの間、付き合ってくれてありがとう」「そんなこと言わないでください。僕があなたにありがとうと言うべきなんです」
林さんはシャオユイの肩をぽんぽんと叩くと「時間になってしまった。行かねばならない」
林さんとシャオユイは部屋を出た。エレベーターに乗り階下へ降りる時、シャオユイは泣き出した。
林さんの肩を抱きしめ泣き続けた。林さんはやさしくシャオユイの腕に触れた。

シャオユイは自分の部屋に戻り2段式のベッドで寝ている。下の方にアチン、上にシャオユイが寝ているのだ。
アチンはもう眠っているが、シャオユイは眠れない。
「アチン、アチン」「ん?」眠そうな声だ。「アチン、眠れないよ」「なら本でも読めよ」「もう試験はやめた。入学試験も受けないよ」「何言ってるんだ。僕はどんなに君の補習に時間を使ったと思う?」
「薬工場にももう行きたくないよ。僕が会社に行くのも、勉強も全部、林さんの歓心を誘うためだ。
今はもう彼は行ってしまった。僕は何をすればいいんだろう」「でも君は言わなかったかい。
会社でよく働いたら、日本へ回してもらえるのじゃないかって」「それじゃいつまで待たなきゃいけないのか。僕の先輩があんなに多いのに、僕にはもう回って来ないよ」「君がそんなじゃ林さんが知ったらがっかりするぜ」「かもしれないね。でも僕は林さんとしばらくの間、一緒に過ごしたんだ。
本当に楽しかったよ。今まで彼のように僕をいとおしんでくれた人はいなかった。まるで父親が子供に接するようにね」「じゃ、君はこれからどうするつもりなんだ」「また公園のつきあいに戻るさ。新しい口座を探す方法も考えなきゃ。でなけりゃ自分一人の力じゃどうやって日本へ行けるだろう」
「じゃ老周は」「僕はもう彼とは会わないよ。彼は僕を気にかけていないようだし、僕もずっとこんな風に
彼を大目にみてやるわけにはいかないよ」「ふうん、どのみち君は考古学専門だ。骨董品見つからないことはないだろう」
「見る目は常に持っているよ」「よし、じゃ早く寝ろよ。もう夜が明ける、寝ろよ」二人は目をつぶったがシャオユイは静かに嗚咽をもらした。アチンは気づいて優しく話しかけた「シャオユイ、泣くなよ」
それを聞いたシャオユイはますます泣きじゃくるのだった。

次の日、リーユエは大忙しだった。髪にカラーを巻きながらチアンニーに「アイラブユー、ダディ」と覚えさせようと躍起になっていた。アメリカ人のパパの写真を見せながら、懸命に仕込み続けた。
次にまだ眠っているシャオユイ・アチンを叩きおこして「今からチアンニーを連れてアメリカのパパを迎えに行くから、あなた達2人は掃除をしてちょうだい」まだ眠いシャオユイは「彼はあなたを愛しているから部屋が綺麗かどうか気にしないよ」「私にくどくど言わせないで。
私はいつもあなた達によくしているでしょ。あなた達は私によくしてくれないの」
仕方なくリーユエはシャオユイにお金を投げつけた。とたんにシャオユイはにやりとして
「お姉さん、そんなお気遣いなさって」「その百元の目的はあなた達二人に部屋の掃除をして
すぐに出て行ってもらいたいの。少なくとも2日以上は戻らないで。解った?」
「これくらいの金であなたは僕達二人帰るべき家のない美少年を道端に眠らせるつもりなの、ねえアチン」
「この吸血虫」リーユエは再び金を投げつけた(この時のシャオユイの顔が可愛い)これでたりないなら公園で大魚を捕まえてよ、と叫ぶとリーユエはチアンニーを連れてアメリカ人の恋人を迎えに出かけていった。

アチンとシャオユイは腕を吊るしたままのラオシュウを連れてローラースケート場へ遊びに行った。
ラオシュウは滑られないのでつまらなそうだが、アチンとシャオユイはさっさと靴を借りると
滑り始めようとする。「お前達、少しの同情心もないのか。兄貴だって僕を叱らないだけじゃなく桃の煮たのやスープを飲ませてくれるんだぜ」「それで満足だろ」とシャオユイ「また怪我が治ったら、元に戻るさ」「彼がもしまたぶってきたらきっと反抗するさ。そしてこっそり抜け出すよ」「できないさ。お前は僕達の靴を見ててくれよ」
2人で滑りながらシャオユイは話しかけた「アチン、長くロンズを訪ねてないね。ホントにもう行かないつもりなの」
「僕は彼と合わないんだ」「なぜ、合わないの」「彼は彼の心の全てで見守ってあげられる人が欲しいと
考えているんだ。ただ僕じゃない」「でも僕は思うよ。君は心の中でとても彼のことを気にしているんじゃないかって」
「そうかな」「そうさ。君がそうやってると無理して遊んでるんじゃないかって思うよ」
そこへラオシュウが腕を吊ったまま滑ってきた。そしてシャオユイの肩を借りながら遊び始めた。

楊教頭は家へ戻った。開店前の店に娘の婚約者が訪ねてきているのだ。彼の妻によると一言も話さないらしい。
楊教頭は妻を向こうへ追いやると婚約者を店の椅子に座らせ話しかけた。
娘の小真は自分のことを話したかと。婚約者は十数年前に家を出て行ったこと意外はよく知らない、と言う。
教頭は「私達は家族となる。君を騙したくない。私が家を出たのは妻を愛していなかったからだ。私は一人の男性を愛していた。その時、あの子を作ったため両親が結婚の段取りをつけた。小真が大きくなるのを待って、私はもう騙していけないと思った。私は事情を打ち明ける決心をした。私は大きな代価を支払った。私は家庭を失い妻子を失い、娘の私への尊敬を失ったのだ」」
「何をおっしゃりたいのですか」「私の立場に立ってくれ。私は君に小真と一緒になってもらいたい。
結局私は無責任な父親だ。ただ君達の子供には頼れる父親があって欲しい。何も言えはしないが、よく考えてくれ。
私のようにはならんで欲しい。一生、後悔と不満の中で生きていかなければならない」
楊教頭の言葉を妻もこっそり聞いていた。

リーユエはアメリカ人の恋人と再会していた。「私のこと考えた」「毎日想っていたよ」リーユエは恋人を抱きしめその胸の中で思案にくれていた。

そこへシャオユイとアチンが入ってきた。リーユエは約束が違うと2人をつつく。「にもつを取りにきただけだよ」
シャオユイは平気でアメリカ人に挨拶する「ハロー。私はシャオユイです。彼女の弟です。台湾へようこそ」
と英語で話しかける。リーユエは表情で出て行けと合図する。なおもからかおうとするシャオユイをアチンが引っ張り出す。
リーユエは恋人とチアンニーを連れてピクニックへ出かける。
アチンはその様子を語る「リーユエ姉さんのもっとも幸福な場面だった。小チアンニーと大チアンニーはアメリカ映画の父子のようだった。芝生の上で遊び戯れていた。
ただ、彼女は知っていたんだ。この幸せは長くは続かないと」
夜、リーユエは恋人の姿が見えないのに気づいた。彼はこっそり電話をしていたのだ。
リーユエは彼の手から受話器を取り上げ「誰?」と聞いた。リーユエは言葉が出なかった。

リーユエは部屋の中をめちゃめちゃにして暴れた。リーユエのおばであるシャオユイのママと友達が彼女を抑えるためにやってきていた。
「大騒ぎは終わった?彼に良心がないならもう別れるでしょう。解った?でなきゃ泣いても何もならないわ」
「彼がこの前、私を捨ててアメリカへ戻った時、私には解っていた。私は彼とは一緒にいられないって。
でも彼は戻ってきた!私に愛してると言ったのよ。結婚すると言ったのよ。私とチアンニーをアメリカへ連れて帰ると言ったのよ。彼は私を騙したの。私を騙したのよ!彼は元々結婚していたの、また戻ってきて私のお金を奪ったのよ。恥知らず、恥知らず!」
友達はリーユエに話しかけた「とっくに警告していたわ。あいつの話は元々信じられなかった。でもあなたは聞かなかった」シャオユイのママが友達を諌めた「あなたは慰めに来たの、罵りに来たの」
そしてリーユエに話しかけた「リーユエ、これは私達の運命なのよ。私達は
運命と思ってあきらめ、見破らなきゃ。でなけりゃこれからどうするの。ほらおばさんだってあなたよりよくないわ。18年よ。子供のため、チアンニーのため、強くなるのよ。解った?もっと強くなるのよ」
「私、強くなるわ、強くなるわ、おばさん」泣き崩れるリーユエをおばさんは抱き寄せた。

楊教頭の娘・小真のための結婚式の準備が進められていた。
アチンの声「リーユエ姉さんの美しい夢はやぶれさった。しかし桃源春餐館では婚礼が大規模に行われようとしていた。師父の力説に小真の恋人はついに家族を説得し、小真の嫁入りを決めたのだ。
教頭の指示に従ってアチン・シャオユイ・ラオシュウが準備を手伝っていた。
「客人は来た時に祝儀を出すものだ。アチン、ご祝儀を守ってくれ、一歩も離れないように」


そこへ大金持ちの映画人・盛公が到着した。シャオユイが早速出迎える。「盛さん。ようこそ」盛公は楊教頭に声をかける「金海、めでたい日だな」「おいでいただいて光栄です」
シャオユイは「盛さん、こんなに早くきてくださって。料理は少しお待ちを」「お前は私がひもじいとでも思っているのかい。私が早く来たのは君の師匠にお祝いを上げるためだよ、おめでとう」とご祝儀をくださる。
「いやいやとんでもない。きていただいただけで大変な名誉です」「遠慮せずに」「いや、そんなつもりは。こんな厚いお祝いをくださるとは」「君も私みたいに損をしてはいかん。私の一生はご祝儀を出すばかりだ。もらった覚えがないよ」「なんとおっしゃいますやら」「私達の周りを見回してもあんたほど運がいい者はいないよ。岳父に昇格したばかりか孫までいるのだから」
シャオユイが盛公を席に連れて行き、楊教頭は分厚いご祝儀を胸にしまいこんだ。

楊教頭の細君がすっかりおなかの大きくなった娘に付き添っていた。花嫁姿が可憐だ。「きをつけて」「ママ、ホントに目立たないかしら」「お前の腰はもともと細いから、誰も注意しないよ」「それじゃ目立つわけね」と言って小真はしきりにおなかを気にする「忘れる所だった。ママがあなたのパパに嫁いだ時パパのお父様が私に玉環をくれたの。大陸から持って来たとても値打ちのあるものだそうよ。あなたが今嫁ぐのだからママがあなたに送るわ」「ここにどうしてひびがあるの」「ママとパパが離婚した時、ママが怒って地面に叩きつけたのよ。そうだ、電話を取り付けたのよ。お嫁に行ってもし何かやりきれない事があったら電話をするのよ。心の中に溜め込まないで。解った?」「ママ、安心して。シャオシュウは私にとてもよくしてくれるわ」そこへ父・楊教頭がやってきて娘を綺麗だと褒めると母親は「娘は綺麗に決まってる。最もいいのは次に生まれるのが女の子になることね。でなけりゃ祖父のようになって面倒だわ」「何だと。女の子が女の子を好きになる事だってあるんだぞ」「私の孫を呪わないで」「お前の孫だと。お前の孫はわしの孫だ」小真が間を割って「ケンカしないで、あなた達の娘が嫁いでいくのよ。まだケンカするの」そう言うと小真はおなかを押さえて呻いた「どうしたの。生まれそうなの」「何でもないわ。おなかを蹴ったのよ」「そら見ろ。このおチビちゃんはおなかの中でもやんちゃだ」「彼はね、あなた方に抗議しているのよ」と小真はピシリと言う。
そこへシャオユイが「師父、フーさんがおいでになりましたよ」楊教頭は「フーさんが。出迎えなければ」と言って会場へ急いで戻った。
フーさんは皆から老爺子と呼ばれている。皆が警察に捕まった時に救ってくれた恩人だ。
みんなで手厚く歓迎した。そしてフー老爺子を盛公に紹介する。
盛公は老爺子に「私達には計画があるのですが、どうかフーさんにご指導願いたいものです」と言う。付き添いをしていた呉さんが老爺この身体を心配して文句を言うが、楊教頭は「実は新公園はあまり安心できないのです。警察の行動が気になって。そこで盛公が私達にアイディアをくださって南京東路に場所を見つけ、バーを開く事にしたのです。一つは安心のため、一つはアチン達仲間がお金を稼ぐ道ができる」老爺子は「その考えはいいね。私に何ができるのかわからんが」「何でもありません。準備は整ってます。老爺子には縁起のいい名前をつけていただきたいのです」呉さんは「旦那様をわずらわすのですね」老爺子は呉さんを抑えて「呉さん、私もそのくらいはできる。以前私が南京にいた時、繁盛していたレストランがあった。“安楽郷”と言ったかな」「安楽郷。いい名前です」
アチン「この日、ついに師父は長年の夢がかなった。娘の幸福を手伝ったのだ。もはや新公園での僕らが知ってる楊教頭ではなかった。それは一人の単純で満足した誇らしい父親だった。

10月25日、台湾光復節は僕達の新しい巣窟「安楽郷」の正式な開幕となった。公園の鳥の群れがしきりに飛び込んできた。今まで公園にいなかった良家の子弟さえ公然と顔を出した。
皆が大胆に安心してこの新しい天堂に足を踏み入れたのだった。

原作:白先勇 監督:曹瑞原 出演:柯俊雄(李父)柯淑勤(李母)范植偉(李青)張捷(幼年李青)楊祐寧(趙英)金勤(小玉)阿鳳(馬志翔)龍子(トゥオ・ゾンファ)楊教頭(丁強)呉敏(張孝全)老鼠(呉懐中)林義雄(林茂雄)李昆(老周)


posted by フェイユイ at 00:08| Comment(1) | TrackBack(0) | [薛/子]子(ニエズ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
フェイユイたちが、ないのお出ましを反抗すればよかった?


Posted by BlogPetのじえるん at 2006年02月17日 09:35
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