2006年02月20日

[薛/子]子(ニエズ)第十七集 安楽郷 後半

「安楽郷」に通ってくる龍王爺は日本行きの船の船長だ。シャオユイは彼の側に座って相手をした。
龍王爺は海の上での怖い話をしてシャオユイを怯えさせた。楊教頭がシャオユイに首尾を聞く。シャオユイはしっかり龍王爺に話をつけていた。楊教頭はにんまりし「後は私が値段の交渉をしよう」と座り込んで龍王爺の機嫌を取り出した。

アチンが老爺子の家に一人でいると、呉さんが帰ってきた「呉さん、怪我はよくなりましたか」「ええ、すっかり。老爺子はまた孤児院へ行ったのですね」「はい」
呉さんは台所へ言って料理の準備をしながらアチンに言った。「坊ちゃまが逝ってしまってから老爺子は一人ぼっちでした。本当にかわいそうでした。今、あなたのようないい子が付き添ってくれて彼はうれしいことでしょう。そうだ、来月の18日は老爺子の70歳の誕生日です。この十数年、私は彼に誕生日のご馳走・寿面を作ろうとするのですが、頷いてくれないのですよ。アチン、あなたの師匠に話して、この機に70歳のお祝いをみんなで賑やかに騒いでくれませんか」「いいですとも。その時は師父に言って賑やかにやりましょう。呉さんも来てください」「私は行けませんよ。もし私が教えたと知ったら、一ヶ月は怒られます。そうだ、私は朝市でスズキを2匹買ったんですよ、これを煮て栄養をつけさせましょう」「じゃ手伝いますよ」

老爺子は花を飾った。壁には彼の若くして亡くなった息子の写真が飾られていた。

老爺子の70歳の誕生日に楊教頭はアチン・シャオユイ・ラオシュウを連れ、ご馳走や祝いの品を持って老爺子の屋敷を訪れた。
老爺子は孤児院へ行った疲れで眠っていた。目を覚ますと驚いた様子だった。「何をしているのだね」「今日は老爺子の70歳の誕生日ということで酒やご馳走を持ってお祝いに参ったのですよ」「楊金海、私がこういうことはしないと知っているだろう」「老爺子、私を攻めるわけにはいきませんよ、この子達は孝行したいとあなたのお祝いに来たのです。私はこの子達の邪魔はできません」「店の仕事が忙しいのに、私なんぞのために苦労をさせたね」「とんでもない」とシャオユイ。「僕達は老爺子の恩恵を受けているのです。でなけりゃ師父が今日僕達に休みをくれませんよ」これには皆笑った「そうか、君達も疲れたことだろう。今夜はみんなで一緒にご馳走を食べて酒を飲もうか。楽しんでな」楊教頭は「さあ、老爺子に叩頭するのだ。老爺子を祝福します」皆で老爺子に叩頭した。食事の準備をしてみんなで食卓を囲んだ。

楊教頭が老爺子に酒を勧めた。そして今までどんなに老爺子にお世話になったかを感謝して酒を飲んだ。老爺子も酒を飲み干した。「凄い飲みっぷりですね」「私も大陸にいた頃はよく飲んだものだよ。病気になってやめたのだ。・・・子供の数が少ないようだな。ウーミンはどうしたね。」楊教頭はややうろたえ「ウーミン。シャオミンは少し前に父親と一緒に田舎へ帰ったのです」「そうか、あの子は大変な苦しみを味わった。父子が揃ったのならそれがいい」「そうですね」「どうして急に静かになったのだ。気にせんでいい。存分にくつろいで飲んでくれ」「そうですね」「よし」とシャオユイ「ラオシュウ。じゃんけんをしよう」「よし」二人はじゃんけんを始めて勝ったの負けたので大騒ぎになった。あまりの騒ぎ方に楊教頭が叱った。アチンが気づくと老爺子はうとうととしている。「老爺子、お疲れですか」「全く年をとった。一杯の酒でもこのとおりだ。私は先に休むよ。君達は続けてくれ」立ち上がった老爺子をアチンが支えて助けた。「アチン、君も食事をしなさい」老爺子は一人で部屋に向かった。
「お前達2人がうるさいからだぞ」楊教頭が叱り付けた。

夜、縁側でアチンは一人外を見ていた。
部屋に戻ろうとしてふと老爺子の部屋を覗くと老爺子はぽつんと立ち尽くしている。アチンに気づき「来なさい。疲れたろう」「いいえ」「話したいことがある。心が傷ついたある父親の話だ。
アウェイがもし生きていたら37歳になっているはずだ。彼の母親は体が弱かったため長くなくしてこの世を去った。小さい時に母を失った一人っ子を可愛がりすぎてはいけないと特別に厳しくしつけたのだ。そして彼自身も私を失望させた事がなかった。小さい頃から競えばいつも勝っていた。プライドの高い子だった。勉強でもスポーツでも他人の先をいっていた。彼が軍校を卒業する時には250の生徒を学科でも術科でも引き離していた。長官は彼を模範となる職業軍人だと賞賛した。間もなく小隊長に昇格した。新兵を訓練する部隊へ移動した。私もその訓練の主要部分を参観した。彼は新兵からも支持されたものだ。
父親である私の喜びは形容できないほどだったよ。私がアウェイに注いだ20数年の心血は無駄ではなかったのだ。

私は彼に腕時計を贈った「小隊長に昇格して必要となるだろう。長官を失望させるな」「はい、ありがとうございます」

しかしアウェイは26歳までの命だった。彼の死は極めて悲惨なものだった。極めて不名誉な。
彼が小隊長となって2年目、ある夜彼の長官が彼の部屋で見てしまったのだ。一人の兵士が彼と共に寝台に寝ているのを。
私は知らせを受けるとその場で眩暈がした。全く思いもかけないことだった。私がしつけた最愛の息子が、模範的軍人である若者が、あろうことか彼の部下とそのような恥ずべき行為を行うとは。私はすぐ最も厳しい言葉で彼を非難する手紙を書いた。

訓練の声が響く中、アウェイは私に電話をかけてきた「お父さん、誕生日おめでとう。私は明日取調べを受けます。隊長が半日帰宅してお父さんに会ってきなさいと」「必要ない。お前が戻ってきて何をする。すでに軍法を犯したのだ。営地に閉じこもって考えるべきだ。静かに罰を待ちなさい」「お父さん、許してくださいと言えないことは解っています。あなたの顔を見れないとも解っています。でもお願いです。一度会ってください。私を打っても罵ってもかまいません」電話の中の彼の声は震えて弱々しかった。絶え間なく泣き続け、私の輝く勇姿の青年軍人ではなかった。私の怒りの炎は余計に燃え上がった。「泣くのは許さん。それでも男か。自分のやった事は自分で引き受けねばならん。お前が何を言おうとお前には会いたくない。聞きたくもない」私の58歳の誕生日、私の傲慢な性格のために一人息子のフー・ウェイが責任を取って自らの命を終わらせたのだ」訓練中の兵たちが駆けつけた時に、アウェイの側には父親からもらった腕時計が置いてあり、彼は自分の頭を銃で打ち抜いていたのだった。

「アチン、君が私の家に来てしばらくたった。私は君を身内と思っている。君の父親はかっとなって君を家から追い出したのだ。
だが、私は信じている。彼はきっと私と同じで自分の愛する息子のために苦難を嘗め尽くしているのだ」
アチンの独白「老爺子の曲がった後姿を見ていて僕はあの中秋の夜の父親を思い出した。勲章を僕の服の襟につける時の厳格な表情を。家を離れてこの数ヶ月、僕はますます感じていた。父親のあの山の如き重々しい苦しみがいつも僕の心を押さえつけた。僕は考える事すらある。僕はもともと彼に追い出されたのではない。僕が自分で逃げ出すように仕向けたのだ。彼は悲しみで不本意な思いを担うことができなかった。僕と母親は2人とも勇気がなかったのだ。彼の憔悴しきって衰えていく顔を正視することの。

原作:白先勇 監督:曹瑞原 出演:柯俊雄(李父)柯淑勤(李母)范植偉(李青)張捷(幼年李青)楊祐寧(趙英)金勤(小玉)阿鳳(馬志翔)龍子(トゥオ・ゾンファ)楊教頭(丁強)呉敏(張孝全)老鼠(呉懐中)林義雄(林茂雄)李昆(老周)


posted by フェイユイ at 21:55| Comment(0) | TrackBack(0) | [薛/子]子(ニエズ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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