2006年02月22日

[薛/子]子(ニエズ)第十八集 戻り道 後半

昼間、アチンは一人母校を訪ねた。
以前、彼を退学にした書状が張り出された壁を眺めた。そしてかつてよくやったバスケットコートに寄った。
そこに一人の少年がバスケットをしていた。アチンが近寄るとボールを放ってよこす。アチンはボールを受け取るとバスケットを始めた。フェイントをかけ、シュート。ボールを取り合い、アチンは楽しんだ。いつしかアチンはジャオインとじゃれあうようにして楽しんだバスケとを思い出した。あの頃2人は息があって次々とシュートを決めたものだ。そして彼の部屋でのときめいた想い。弟の死で泣いた時ジャオインを抱きしめキスをした事。授業中立たされ、目で笑いあった事。学校で抱き合っていたのがばれてケンカをしてしまった事。再び出会い、ジャオインが謝りながらアチンを抱きしめたあの日。
アチンは出会った少年とカキ氷を食べに行った。そこもいつもジャオインと通った店だった。
店の主人は久し振りに会ったアチンを懐かしんだ。そして相棒はどうした、と訊ねてきた。アチンは「学校を出てから忙しくて」と口ごもる。
学生服の2人組みが来たのを見てまたアチンはジャオインと自分を重ねてみる。あの頃、ジャオインとアチンは本当に仲のいい友達だった。あの頃・・・。
氷が来たとアチンを呼ぶ少年の声で我に返る「ジャオインとあなたはバスケットが凄くうまかった、と聞いてましたよ」「そうなのか」そして少年がアチンのあの時のことに触れてきたので、アチンは嫌がった。しょんぼりした様子の少年を見てアチンは謝った。少年は「大丈夫。いつも兄さんに怒鳴られてるから」「お兄さんがいるの」「うん、僕にバスケットを教えてくれた。でもあなたのようにはうまくない」

2人はカキ氷を食べ終わると蓮池のそばを歩いた。アチンは「もう2日もしたら蓮の実が取れるね」「二日もいらないよ。最近僕は朝見てるよ。一つでよかったら僕が取ってきてあげるよ」「僕の弟も以前この辺で蓮の実を取るのがとても好きだったんだ。一度、3つ取っても満足できず、無用心に池に落ちてしまった。出てきた時は全身泥だらけさ」「ちょっと待ってて」少年は池から蓮の実を取ると「あげるよ。君の弟にあげて」「僕の弟はもう亡くなったんだ。でも、ありがとう」アチンは蓮の実を受け取った。
しばらく歩き「あそこが僕の家だ」中から彼の兄らしい男が出てきて、少年に遅いと叱った。兄に引っ張られ少年はアチンを振り向いて手を振った。アチンもそれに答えた。

アチンはハーモニカを吹きながら物思いにふけった。悲しみを抑える事はできなかった。様々な事が頭をよぎって混乱した。浮かんでくるのはただ、ハーモニカを吹くディーワーの姿と父親が悲愴な面差しで母さんの遺骨のツボを供えている様子だった。

安楽郷。
シャオユイはまた龍王爺に誘われていた。シャオユイは彼が機嫌を損ねないように上手にそれをかわしていた。

店の隅ではまたチャンさんが酔いつぶれていた。シャオミンはとうとう我慢できず、チャンさんに声をかけた「飲みすぎですよ」「シャオミン、側に座ってくれ。彼が行ってしまった」「誰が」「卑しい奴さ。ドイツ人の商人とできてしまったんだ。出て行くときに私のカメラやオーディオを全部持って行った。もし私が警察に知らせたら、私と彼の関係を暴露すると言うのだ。何故こんな事を。こんなによくしてやったのに。私から巴なれて行く。何故だ」「チャンさん」「わかっている。私に対して真心を持ってくれるのはお前しかいない。お前だけが頼りなんだ。私は馬鹿だった。お前を追い出して。すまない、すまない」チャンさんはシャオミンの手をとって泣き崩れた。シャオミンは手をはずし「全て終わったんです、もう言わないで」でも結局シャオミンはアチンの所へ行った。
「アチン、助けてくれないか」「どうしたんだ」「チャンさんが酔ってしまったんで家へ送って行きたいんだ。師父には黙っててくれないか。一人で帰すのが心配だ」「君が彼の心配をするのかい。君が手首を切った時、彼は君の心配などしなかった。そんな奴にしてやることがあるかい」「そんな風に言わないで。どのみち、彼を家に送るだけだから」「自分でよく考えるんだ。またどんな状況になっても僕たちはもう助けきれないよ」「じゃ行くよ」

チャンさんを家に送っていくと彼は哀願した「シャオミン、引っ越しておいで。私に埋め合わせをさせてくれ。お前が行ってしまってから私はお前を思い始めた。あの日、お前にばったり出会ってお前が田舎へ帰ると言った。私がどんなにお前に残って欲しいと思ったか」「チャンさん。あなたが本当に僕が必要になったら、僕はきっと戻ってきます」「私は今、お前が必要なんだ。この一生涯お前が必要なんだ」「チャンさん、そんな風に言わないで」「シャオミン、私は心から話しているんだ。お前はきっと私を許してくれるね。私は約束する。もうお前を辛い目にあわせないと」チャンさんはシャオミンの顔を挟んでキスをした。そして彼の身体を抱きしめた。そしてシャオミンはとうとうチャンさんを抱きしめてしまった。

夜中、アチンは目を覚ました。服を羽織って廊下に出ると老爺子が立ちつくしていた。「どうしたのですか」「アチン、なんでもないよ。来なくていい」近寄って見ると老爺子の足元に液体が流れている。老爺子は小水を漏らしてしまったのだ。「老爺子、気にしないで。僕につかまってトイレへ行きましょう」
風呂場でアチンは老爺子の身体を拭いてあげた「年を取ったな。しくじったよ」老爺子は寂しそうに呟いた。

アチンが安楽郷に行くと不穏な空気が流れていた。
シャオユイとラオシュウが新聞を読み、側で師父が難しい顔をしている「ここに何が書いてあると思う。誰が人妖だ」「病気だよ、この記者は」「どうしたの」とアチン。シャオユイとラオシュウが読んでいた新聞をアチンとシャオミンが覗き込んだ「遊妖窟」「どうだい、そのタイトルの字がえらくでかいだろ」「先週土曜日、記者は間違ってぶつかってしまった。驚いた事に大変な場所に入り込んでしまったのだ。南京東路に隠れたバーがあった。名前は安楽郷」「これは僕達のことだ」とシャオミン「やっとわかったか。これで俺達は有名人だ」新聞には安楽郷の様子が妖しげに書かれていた。そして安楽郷のバックに映画界の大物がついていることも。
シャオユイは「台北市の男色大本営だと。でたらめいいやがって。まるで僕達のことを女郎屋のように言ってるんだ」楊教頭はすっかり参っていた「あれこれと知恵を絞って店を開いた。皆が路頭をさまよわなくてもすむ様にな。仕事もすぐに軌道に乗ったというのに。こんな事になるなどと。お前達は生まれつきさまよう運命にあるのだ。不穏な日々が身分相応なのだよ」アチンは「行き過ぎです。師父、僕達は彼らを見つけてけりをつけてきますよ」「やめるんだ。春申夕刊は手におえんのだ。ルオ・リーリーですら彼らには逆らえなかった。私らがどうして逆らえる。私達は頼れる人がいない」「盛公は」「盛公。お前は新聞を読まなかったのか。彼の名前が書いてあるも同然だ」楊教頭は新聞を見たら盛公は具合が悪くなるだろうと言い、皆に、多くの人が騒ぎに来るだろうが、どんな事があっても我慢するんだ、と言い渡した。

開店後、多くの野次馬が集まり、嫌がらせを始めた。
騒ぎ立てアチン達を指差しては笑った。客には女性も混ざっていた。
「黄色い服の子、来て。聞いたんだけどここには人妖がいるって。あんたなの」「おかま」
急にちょっかいを出されてシャオミンは盆を取り落とした「何をする。気をつけろ」助けに入ったラオシュウもさんざんにいじめられた。見ていた楊教頭、アチン、シャオユイもどうしようもない。あまりの事にラオシュウがやり返そうとした「何だ、その態度は。金を払ってるんだぞ」シャオミンはラオシュウをとめて謝った。

この様子を見ていた楊教頭は苦々しく呟いた。「我々は困難に満ちているのだ。こいつらが毎日店に来て邪魔をするなら、私達の店ももう終わりだ」

原作:白先勇 監督:曹瑞原 出演:柯俊雄(李父)柯淑勤(李母)范植偉(李青)張捷(幼年李青)楊祐寧(趙英)金勤(小玉)阿鳳(馬志翔)龍子(トゥオ・ゾンファ)楊教頭(丁強)呉敏(張孝全)老鼠(呉懐中)林義雄(林茂雄)李昆(老周)


posted by フェイユイ at 21:38| Comment(2) | TrackBack(0) | [薛/子]子(ニエズ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
記事を読んでるとつい、ニエズを見た気になってしまって・・すみません。いつも楽しみに読んでます。
Posted by 重剣 at 2006年02月23日 00:46
ホントですか?うれしいなあ。
実際のドラマはもう物凄くおもしろいんですけど!
ああ、ほんとにどこか日本のテレビ局やってくれないかなー?切望してるんですけど。
Posted by フェイユイ at 2006年02月23日 10:20
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