2006年03月01日

[薛/子]子(ニエズ)第二十集・完結 旅立ち 後半

アチンは急いで看護師を呼びに行った。「早く、老爺子の具合が悪いのです、すみません、早くして下さい」2人の看護師が部屋に入ってきた。「どうしたの。早く酸素をあげて」「老爺子」「ディン先生を呼んできて」一人の看護師が出て行った。

アチンの独白「フー老爺子はその時から目覚めませんでした。彼が気を失って5日目、大変な苦しみ方をして最後に行ってしまいました。私達はすぐに老爺子の遺体を自宅に迎えました。彼の身を清め経帷子を着せ棺に納めたのです。
師父の言う安楽郷のばか者どもはますます多くなりついに警察を呼ぶ事になりました。その上、老爺子がなくなったので師父はことさらに経営する気持ちがなくなってしまったのです。そこで店を閉めることに決めたのでした」

アチン達は老爺子の家で葬式の準備をした。師父は霊前でフー将軍老爺子を讃えた。将軍として戦場を駆け巡り、華々しい功績を残した事。自分のことを親子のように思ってくださった恩をいつまでも忘れないと言う事を。

夜、アチンは一人霊前で火を焚きながらロンズが老爺子に訴えた言葉を思い出していた。
「この十年間、私は逃亡犯と同じだった。父は背を向けたまま、私に放逐の命令を下したのです。ニューヨークの日も射さない摩天楼の下で逃げ回る鼠のように生きながら私は十年待ちました。私が十年待ったのは何故なのか。私はただ父が許してくれるのを待ち望んだのです。私が背負った呪いを解き放ってくれることを。
しかし彼は何も言わず逝ってしまった。フーおじ、父は明らかに私を呪っているのです。父は永遠に許してはくれないのです」
老爺子はロンズに答えた「君が父親にそんなことを言うのはあまりに不公平だ」「違うと言うのですか」「君は父親を咎めるのか。君は考えなかったのか。彼が君のためにどのくらいの罪を背負ったのか」「私がどうして考えなかったと言うのです。私がこんな事をしているのは何のためですか。私はただ彼が私に一つの機会を与えてくれるのを望んだだけです。私に償わせて欲しかったのです。彼が負った苦しみを」「君たちはたやすく言うのだな。君たちの父親が負った苦しみを簡単に償う事ができると」
アチンは部屋の中に老爺子が立っているのを見た。やがてその姿はアチンの父の姿に変わった。アチンはうつむいた。

アチンたちは老爺子の入った棺を山の上に運んだ。しとしとと雨が降る日だった。
楊教頭はしきりに老爺子に話しかけ続けた「老爺子、私達は山に登りますよ。老爺子、上へいきますよ」
途中で走って来る者がいた「止まって、ロンズだ」列が止まり、アチンも振り返った。
ロンズは花を持ってよろよろと老爺子の元へ駆け寄り激しく泣きながら跪いた。アチン達もその横に跪く。アチンは嘆き悲しむロンズの肩をそっと掴んだ。
ロンズの泣き声が山の中に響いた。

夜、アチンは父の住む家に向かった。
爆竹の音がする。アチンは父が送ってきた鍵を取り出した。
父親はすでに寝ていたが、気配を感じたのか起き上がった「アチンかい」はっとするアチン。
「アチン?アチンかい」アチンは持って来た物を急いで門の外に置くと走り出した。父親が出てきた時には、もうその姿は見えなかった。袋に入った物を取り上げて後を追ったが間に合わない。父はアチンが置いていったものを見た。それは父が昔から好きだった「三国演義」の本だった。

アチンは新公園を歩いていた。
「小蒼鷹」アチンを呼ぶ声だ「グオさん」かつてアチンが家を飛び出した時、この新公園で助けてくれた新公園の園丁と呼ばれるグオさんだ「久し振りだな、アチン。ついに今夜戻ってきたか」「ええ」「私はとっくにわかっていたよ。君たち群鳥が一羽一羽いつかここに戻ってくると。この何年かに外でもあったのだよ。安楽郷のようなものが。それから以前にもね。香檳、白夜、六福堂。開けては閉め、閉めては開け、最後には全て跡形もなくなくなった。ただ私達の巣はまだある。君たち疲れた鳥が林に帰ってくるのを待ってる。戻って休むのだ。
小蒼鷹。行こう。大勢が皆あそこにいる」
アチンは微笑み、グオ老と一緒に新公園の闇の中に入って行った。
仲間を求めてさまよう男達が集う場所へ。

新公園の東屋に少年が一人座っていた。
「君はどうして一人でここにいるの。何て名前?」「ルオ・ピン」(この少年を演じているのはアチンの弟ディーワーをやったのと同じ少年です)

2人は公園を出て歩き出した。夜中、誰もいない道。
「家はどこ?」「鶯歌」「イン・グーか。大晦日なのに家にいないのかい。一人で公園に来て何をしてるんだい。おなかがすいただろう」「うん」「僕の家には牛肉のスープが残っている。そこまで行けば僕がまた暖めてやるよ」「うん」
ルオ・ピンはしきりに鼻を鳴らす「寒いのかい。このセーターを着なよ」アチンは自分が着ているセーターを脱いでルオ・ピンに着せてあげた。
「寒いから一緒に走っていこうぜ」「うん」
2人は夜の道を走り出した「よーい、どん。一、二、一、ニ、一、二」
爆竹が鳴った。

「シャオユイ、君はうまくやってると解っているよ。僕達はみなとても君の事を喜んでいる。でもお願いだ。君は東京のおじさんたちに惑わされないで。やるべきことを忘れないで。安楽郷を閉めた後は僕は中山北路のユアンジュオでボーイをやっている。給料は悪くない。仕事も楽だ。安楽郷ができなくなって師父は大変なお金を償った。僕達は師母の前の彼を見て可哀想だった。彼はまだ責務がある。彼は桃源春に戻って手伝っているんだ。
シャオミンはまだ中風のチャンさんの面倒をみている。僕はいつもシャオミンの心配をしている。とは言え、実際は彼は一途に一人の人を愛しているのだ。ほんとうに感心するよ。
ラオシュウはシーアルドンで観光客の万年筆をスリとって捕まってしまった。ほどなく桃園補育院に送られ、感化教育を受けた。今日は大晦日の夜だ。
家々では家族が食事をしている。
君が早く願いを達成する事を望む。父母と一緒に団欒を囲める事を。心より祈る。アチン」

原作:白先勇 監督:曹瑞原 出演:柯俊雄(李父)柯淑勤(李母)范植偉(李青)張捷(幼年李青)楊祐寧(趙英)金勤(小玉)阿鳳(馬志翔)龍子(トゥオ・ゾンファ)楊教頭(丁強)呉敏(張孝全)老鼠(呉懐中)林義雄(林茂雄)李昆(老周)


posted by フェイユイ at 21:43| Comment(2) | TrackBack(1) | [薛/子]子(ニエズ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ついに、20話見終えました。魅力的な登場人物とそれぞれが抱える心の痛みが、最後まで飽きさせませんでした。映像も出演者も綺麗だし。
中文は全く知識がなかったのですが、訳のおかげで多少わかるようになってきました。これからも是非頑張ってくださいねー。では。
Posted by kai at 2006年04月15日 13:13
おお、最後まで観られたのですねー。ほんとにいいドラマだと私も思っています。

私の拙訳が少しはお役に立てたようでうれしいです!このドラマのように「絶対全部訳してみたい!」と思わせてくれるようなドラマや映画にまた出会いたいものです!!
Posted by フェイユイ at 2006年04月16日 23:33
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