2006年04月02日

「PROMISE プロミス〜無極〜」チェン・カイコー 後半

プロミスa.jpgプロミスb.jpgプロミスe.jpg

鬼狼が泣けた。あの表情って。
リウ・イエ、「藍宇」でもうるうる目が印象的でしたが健在。その過去と相まってさらにその魅力を増しております。

武侠モノにはなくてはならない過酷な運命。そして愛。
祖国を滅ぼされ身を焼かれた彼に与えられた黒い服を一たび脱げばその身は灰となって消えてしまう。
お伽話のように残酷な物語。
そして奴隷・崑崙が最後に選択した生き方とは。
全てをなげうって愛するもののために生きていく、と言うのは武侠ものの醍醐味でありますよ。
派手な映像が却って人の目をくらませてしまっている気がするのだけれど、これは素晴らしいお伽話ではありませんか。
お伽話と言うのは子供向けと言う意味ではなく、人の心に深く浸透している物語ということなのですよ。

チェン・カイコー監督がド派手なアクションで目を楽しませながらも心に染みていく心地よい作品を作り上げてくれたことに気づいて欲しい。

どうしてもチャン・ドンゴンの韋駄天走りが皆の笑の的になっているようだが、私はむしろあの走りに激しく惹かれてしまったのである。
走るしかないという悲しさ。走って逃げられるはずなのにどこへも行くあてがないという己の境遇を振り払うかのように彼は走るしかないのだ。
シエ国のものは皆足が速いということらしい。優れた能力を持ちながら侵略された民は酷い末路を迎えるしかない。そこから卑怯者と笑われながらも生きる道を選択した鬼狼の悲しさもある。
チャン・ドンゴン演じる奴隷・崑崙は自由を求めて走っているはずなのだ。白土三平の「カムイ伝」で正助の父は足が速いことで上の者からも認められていた。が、結局どんなに速く走っても身分制度から逃れる事はできなかった。
将軍は言う「奴隷は立ち上がることができない」事実彼らは四つん這いになって走るのだ。このことこそが崑崙の過酷な人生を物語っているではないか。故郷で彼は自由に立って走っていたはずなのに。彼らは人間として認められてはいないのだ。獣同様なのだ。だから鬼狼はその名前なんだろう。
虐げられた民の一人である崑崙が何故走るのが速いのか、考えてみたいし、きっとまた見直すと思うので彼の走りを観ようと思う。
特に傾城に去られた将軍に「私が背負って走りますよ」という崑崙はかっこいい。

監督:チェン・カイコー 出演:チャン・ドンゴン、真田広之、セシリア・チャン、リウ・イエ、ニコラス・ツェー

レスリー・チャンの命日に別の映画を観るなんて、と思っていたのですが、ニコラス・ツェー役の公爵・無歓を元来はレスリーがやる予定だったのですね。
ショックを受けてしまいました。確かにこの役はレスリーにぴったりですし、もし実現していたら、より話題になったこと必至です。
なんだかそんな風に呼んでしまったのかな、とうれしくもあります。涙。
posted by フェイユイ at 01:09| Comment(4) | TrackBack(1) | 中国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
フェイユイさん、ご覧になったのですね〜 >無極
やはり、大変お気に召す作品だったようで、私も同志を得て(笑>大袈裟ですねー)心強く思いましたので早速TBさせて頂きました。

そして本当に、無歓…泣けますよね。あんな風体なのに(笑)レスリーを重ねて感極まっていた私です。改めて陳凱歌の彼への強い気持ちを見る思いのする作品でありました。
Posted by shito at 2006年04月04日 15:54
ナンだか凄く感動してしまって(笑)もっとおかしな話なのかと思っていたら、(私としては)真っ当な話として感激してしまったのです。
そして鬼狼・無歓は勿論なのですが、チャン・ドンゴンの崑崙が好きになってしまったのです(チャン・ドンゴンには全く興味がなかったのに)足が速いのだけが彼の生きる価値なんて悲しいし、(これも好きでもない)真田広之との関わりが変な愛情とかでないのがまたよいなと。セシリアの運命も好きで。
ほんとに真っ当に主人公たちを好きになってしまったのでした。

鬼狼・無歓がいてこそ面白いわけですけどね。ああ、でもホントにレスリーに無歓をやって欲しかったです。
Posted by フェイユイ at 2006年04月04日 21:23
たまたま覗いたのですが、同好の士発見!で、足跡残させてもらいますね。
足の速さを持ちながら無垢なために滅ぼされた雪国人の運命には感じるところ大でした。鬼狼が、弱さゆえにただ一人生き残った卑屈さを克服して、崑崙に民族の再興を託し黒衣をぬぐシーン、その崑崙が傾城に無償の愛をささげ黒衣を着るシーンは何度見ても泣けました。二人にとっての俊足の意味をもっと考えてみたいと思います。
レスリーの無歓だったら、傾城をめぐる男たちの三つ巴がより明確だったかもですね。
いろいろ語り合いたくなる映画でした。
Posted by えーごん at 2006年04月05日 20:34
はじめまして、えーごんさん。心強い同好の士を得てうれしい限りです!
なぜだか判らないのですが、他方ではかなりの酷評を受けている「プロミス」ですね。
実は深くて非常に面白い映画であると感じております。
レスリーだったらと言うのはもうかなわぬ夢なのですがどうしても口に出てしまう言葉ですね。ニコラス・ツェーには申し訳ないですが、随分違うものになったことは確かです。
また見直してみたいと思っています。
Posted by フェイユイ at 2006年04月05日 23:22
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック

『無極〜promise』 ('05/日中韓)
Excerpt:  去年末、本作の予告を観たときは心底唖然としたものだ。  いったいどーしちゃったんだ、陳凱歌! 李安、張藝謀、徐克ときて、遂に武侠モノへのバトン最終走者を飾るのかと思いきや(オオトリは呉宇林の三国志電..
Weblog: 傍流点景
Tracked: 2006-04-04 11:23
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。