2006年04月30日

「レインメーカー」フランシス・フォード・コッポラ

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私の世代でコッポラ監督作品といえば飛びついて観たくなるものなのですが、実はこの作品が作られた事も知りませんでした。

コッポラと言えば「地獄の黙示録」「ゴッドファーザー・シリーズ」そして「アウトサイダーズ」と私達を惹き込んでしまった監督でした。
が、この「レインメーカー」では特にコッポラが作ったのだ、というイメージと言うものはわきませんでした。あえて言えばミッキー・ローク、ダニー・デビート、ジョン・ボイト、ロイ・シャイダーと言うそうそうたるメンバーが脇を固められたのはコッポラの名前があったからこそでしょうか?上げたり下げたりしてしまいますが、だからと言ってつまらなかったわけではなく最初からかなりのめりこんで観てしまったことは確かです。
ただ、何となく疑問に思う所もいくつかあって、映画自体が主人公ルーディ(マット・デイモン)の如く混乱の内に走って行ってしまった感じさえします。

一番の疑問は「これは結局何を訴えたかったのかな?」ということなのです。これが一番大切なわけでここに疑問を感じてしまうとどうしようもないんですが。

マット・デイモン演じる卒業したての弁護士ルーディは裕福ではない家庭出身だがかつての公民権運動で活躍した正義感溢れる弁護士に憧れその道を目指す。
が、コネのない彼を雇ってくれたのは脱税疑惑のある弁護士(ミッキー・ローク)が経営する事務所でありました。
ここでルーディは同情すべき人々のために骨惜しみせず弁護人の仕事を引き受けます。深入りしすぎるほど情愛をもって。
そして新人の彼が心強い相棒(ダニー・デビート)の助けに支えられて何とか大きな裁判を勝ち取るのですが。
その後、彼は「レインメーカーである敵方の弁護士(ジョン・ボイト)のようにはなりたくない」と言って弁護士を辞めてしまうのです。
「レインメーカー」と言うのは雨を降らすが如くに金が舞い込んでくるような力のある弁護士をいうのですがそうなる為には不正を働かざるを得ない、と言うのです。そして正義に燃えた自分もいつかは敵方のような汚い弁護士になるのだ、と決めてしまうのです。
現実にはそうなのかもしれないのですが、大きな感動を覚えた観客はいきなりお別れを言われて戸惑います。例えそうなのだとしてもそういう心を持った弁護士さんがいて欲しいと一般人は思うはずなのですが。

そしてもう一つはルーディ自身の人格。
これも最も重要なのですがね(笑)導入部で彼が酒乱の父親に暴力を振るわれたと言う説明が彼の口を通じてあります。そして事故で死んだ、と言うのですが悲しみもない口調で話されるとまだ彼を知らない導入部なのですから冷たい心の持ち主なのかと思わされてしまいます、がその後は彼がいかにもいい人であると表現されていくので分裂してしまいます。
そして夫に暴力を受け続け絶え間ない傷を負う若い女性(クレア・デーンズ)をルーディは弁護士と言う立場も忘れ親身になって見守るのですが。
映画なので若い女性が出てきたら恋仲になってしまうのはしょうがない、と言ってしまったらどうしようもないのですが。この状態で恋に落ちると言うのはわきまえがなさ過ぎますし、(殴られた女性に会うたびに恋に落ちてたら身が持たないですよ)譲ってそれはいいとしてもその彼女と夫の待つ家に二人だけで戻り(何故もっと人を連れて行かない?)しかも自らその夫を死ぬほどぶん殴り、彼女が「出て行って。あなたは知らない事にして」と言われのこのこ出て行って外で後悔してるのなんてマッチョなアメリカ男性として信じられないほどの腰抜けぶりで情けない(これは彼女じゃなくルーディが殺したと言っていいと思うのですが)正義感溢れる男性というなら彼女がなんと言おうと結果的に悪くなろうとそこに残ってしまうものではないでしょうか。後で法で守ればいいやなんていうのはどうにも理解しがたいです。後で守るくらいなら初めから夫に出会えば暴力沙汰になるのは目に見えているのですから、法律のみで彼女を守ってあげればよかったと思うのですよ。若いから気づかなかった、と言うのが言い訳ですね。
しかも理由はどうあれ二人で夫を殺したのに最後はニコニコしてるのってのも人間性がなさ過ぎますね。
これはルーディの一人称で彼のモノローグで話が進むのがまずいですね。最初の父親の件も彼が語っているのではなく客観的に父親が死んだとすればよかったし、彼女の家に戻るのも一緒ではなく、彼女がわがままで勝手に戻って殴り合いになって殺した、とすればルーディは悪くならないのに、と思いました。

ということはルーディが若き新人弁護士として働いている部分はすこぶる面白いのですが、それ以外の人物を描く部分がつまらない、というか穴がありすぎです。
その辺に目をつぶればなかなかに面白い作品でした。(しかしラストでがっかりさせたらまずいよね)

日本でももうじき陪審員制度が始まるのですが、こういうのを見るとまた大変そうだな、と思われます。

マット・デイモン。新人弁護士を懸命に演じております。非常に魅力溢れていますね。が、果たしてこの脚本に満足していたのだろうか、疑問。

ダニー・デビート。この人がいなかったらこの映画、つまんないかも。頼りない若き相棒弁護士を助けるために獅子奮迅の働きです。彼が主人公弁護士でもよかったのに(笑)かわいらしくて真剣で胸をうちますねー。素晴らしい演技でした!

ミッキー・ローク。素敵!!脱税悪徳弁護士をまさにはまりと言った感じで演じてます。色っぽさは健在ですね。最高。

ジョン・ボイト。貫禄。今は娘さんが大活躍ですが、青春映画と言えば彼の「カーボーイ」姿だったのですがね。今は悪徳弁護士ですか。マットをいじめる場面はよかったです。

ロイ・シャイダー。彼も出ているとは。凄いものですね。この役で登場とは。コッポラの名前のおかげでしょうか。

過去に父親から暴力を受けた経験のあるルーディと夫から暴力を受け続けている女性との苦しみがシンクロして話が進めばよかったのでしょうがそこに保険会社の問題が別問題として持ち上がってきてしかもそちらの方が重要になってしまっている。暴力問題はそれだけでも深刻なもので片手間にやれる話ではないはずです。
「グッドウィルハンティング」ではその事だけが物語の核になっていたのにこちらの方がメチャメチャになっています。
やはり物語と言うのは一つのテーマを掘り下げていかなければいかにコッポラと言えど破綻してしまうと言う事ですね。
法廷モノというスタイルをとりながら父親から受けた心の傷を夫から暴力を受ける女性と共に癒していく、という風に絞って欲しかったですね。でもそしたら「グッドウィル」と同じ話になってしまいますね(笑)

監督:フランシス・フォード・コッポラ 出演者:マット・デイモン、ミッキー・ローク、ダニー・デビート、ジョン・ボイト、ロイ・シャイダー
1997年アメリカ

この文を読んでくださった方、是非こちらの方も読んでいただきたいのです。
なぜならここに書いたものは私としては勘違いして書いたものでして、よく考えて書いたものが次の記事だからです。大変ご迷惑かけますが。
「レインメーカー」再考

間違って書いたものですが、消さずに残しておくつもりです。が、勘違いしてます(笑)


posted by フェイユイ at 23:27| Comment(0) | TrackBack(1) | マット・デイモン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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レインメーカー (The Rainmaker)
Excerpt: 監督 フランシス・フォード・コッポラ 主演 マット・デイモン 1997年 アメリカ映画 135分 ドラマ 採点★★ アクション映画に、何を期待しますか?崇高なテーマ?豪華なキャスト?面白いストーリー..
Weblog: Subterranean サブタレイニアン
Tracked: 2006-05-01 01:16
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