2005年02月02日

「悪い男」ソナとハンギ

hanngi.jpghanngi.jpg昨日にもまして書いてしまうので、見てない方はご判断ください。

映画を見ていて感じるのはなんて美しい映画なんだろう、ということだ。色彩のあざやかさもそうだが、その演出にも鳥肌が立つ。ソナは放り込まれた売春宿で自分の部屋を与えられているが、そこにある鏡はマジックミラーになっていて、ハンギからはソナが見えるが、ソナはハンギを見ることはない。ソナが男と寝る様をその鏡越しにハンギは苦しい胸を抱えながら覗き見るのだ(そしてその後で彼女を買った男を殴ったりする)
マジックミラーによる愛の表現は恐ろしいほどだ。ソナは知らず、マジックミラーに顔を近づける。全てに絶望して鏡にもたれかかる。その顔を鏡越しにハンギは指でそっと触れる。そして唇を近づける。ソナは目を閉じる。まるでいとしい人のキスを受けるかのように。

またソナとハンギがはじめて海辺へ行くシーン。小雨が降っているのだろうか。重く沈んだ景色だ。二人の前を赤いワンピースの女が立ち上がる。そして海の中に静かに入っていくのだ。ハンギは何もしない。女は一体何者なのか?ソナは砂の中からばらばらにされた写真を拾う。その写真をつなぎ合わせると二人の男女の顔だけが丸く切り取られている。

ハンギはある日ソナのいるベッドに倒れこむ。だが彼はただソナの手を握りしめ眠り込んでしまう。まるで胎児のように、体を丸め込んで。その横でソナは座って眠っている。まるで幼子を見守る聖母のようにも見える。

ある日ソナが鏡を見ているとハンギが向こう側でライターで自分の顔を照らす。とハンギの顔が鏡越しに見えたのだ。このシーンは特別に美しい。隠されていたハンギの心がやっとソナに見えたということなのだろう。そしてソナは二人を隔てる鏡を叩き割る。手を怪我するのもかまわずに。二人は抱きしめあう。やっと心が通じ合ったのだ。

ハンギはやはり悪い男なのだろう。その報いとしてハンギは何度も殴られ傷つけられる。首にはひどい傷がある。そのために話すことが出来ないほどだ。ソナに無理にキスして兵士に殴られる。ソナにつばをかけられる。ガラスの破片で切られる。仲間うちのヤクザに石で頭を割られ血だらけになる。その後大きなガラスを切ったもので腹を刺し貫かれる。そして最後に子分にナイフで刺されてしまう。

子分にナイフで刺された後、ハンギは子分が疑われぬよう瀕死の状態でナイフを土の中に埋める。ここは涙が出てしまった。

が、ハンギは死ななかった。再び彼はソナといった海辺に座っている。ソナはあの時の女のような赤いワンピースを着ている。そしてそっとハンギの横に座る。ハンギも黙ったまま、ソナを抱く。

ハンギはソナのためにトラックの赤い幌の下に寝る場所を作る。ソナが売春が出来るように。ソナは海辺で働く男を客に取る。仕事の間,ハンギは黙って待っている。ことが終わり、寝乱れた寝具を整え、ソナとハンギはトラックに乗り、旅立っていく。
この結末はなんとも言えず美しい。二人はもう離れることはないのだから。
posted by フェイユイ at 22:50| Comment(0) | TrackBack(1) | キム・ギドク | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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「悪い男」DVDにて
Excerpt: DVDで韓国映画『悪い男』を観ました。 韓国は『サマリア』の「キム・ギドク」。 その日が『ソナ(ソ・ウォン)』にとって自らの人生を180度変えてしまう日になろうとは思いもしていなかった。 女子大..
Weblog: xina-shinのぷちシネマレビュー?
Tracked: 2005-05-25 23:01
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