2005年02月23日

「青い門」ジナとヘミ

悪い女.jpg

再び「青い門」見たんですが、胸がぐっとなる感じは同じでした。前にも書いたとは思うんですが、この映画は群がってくる男たちと売春婦ジナの物語でもあるけど、やはり一番訴えてくるものは、ジナとヘミの心のつながりです。というかこれはもうジナとヘミの恋物語ですね。

いつもながら、全て書いてしまいますので、未見の方はご承知ください。

一見物語りは、売春婦ジナを毛嫌いするヘミの心が次第に打ち解けていくように見えますが、ヘミの心は最初からジナを求めているんです。ヘミはジナが好きでしょうがないのにジナが売春婦であるためにセックスにためらいがあるヘミはジナを思い切り罵倒してしまう。だが、それは若い娘なら当たり前のことといっていいでしょう。ジナとヘミは全く違う人間ですが、実は一人の若い女の2面性を表しているとも思います。でも私はただ二人がその2面性を2人の人間となって表してるだけとは思いたくありません。

ヘミがジナを好いていたのは、弟が二人を映した写真をくしゃくしゃにしたのに、ヘミは捨てもせず,額の裏に隠していました。ヘミがあんなにジナを嫌っていたのに、映画では突然ジナを好きになるように思えるのですが、ヘミはただジナを好きだと認めるきっかけを待っていたにすぎません。

片方のジナも男に体を売ってはいますが、本当に仲良くなりたいと願っているのは、ヘミに対してだけです。ジナは最初から、傘を差し出したり、ウォークマンをプレゼントしたり、ヘミの心を引き寄せたいと思っています。ジナがヘミにひどくあたったのは、ヘミの恋人が家を訪れた時だけです。ジナとしては大好きなヘミが男といるのがむかついたわけですね。ま、ジナはいつも男と寝てるわけですから、勝手といえば勝手なんですが。そしてジナを買いに来たヘミの恋人が「無実を証明しろ」といったときもうそをついて「私の体がきれいといって2回抱いたわ」なんていうけど、これも二人が別れさせてヘミを自分のものにしたいからなんです。

ジナは自分とヘミが仲良く並んでる姿をエゴン・シーレのような絵にしてヘミに送る。手渡しは無理だから郵便物のようにみせかけて。

またヘミはジナのスケッチブックのなかにある自分の肖像画を見る。それはすねてむっつりしたヘミの顔だが、ヘミはうれしそうに笑う。ヘミはジナが自分をも描いていてくれたことに喜びを感じてる。

街中でヘミはジナの姿を追う。本屋のジナ、カラオケ店のジナ、が、いつしか見失い、今度はジナがヘミを追いかける。髪飾りをつけようとして鏡に後ろのジナの姿が映る。

ジナが売春した金を横取りにやってくるでかい男。ジナが内緒でヌード写真を売って儲けたとジナに乱暴を働く。怒って助けに入るヘミ、が、逆に脅される。いつも男の言いなりのジナがヘミをかばうため男に言い返す。

ヘミは海で働いてるある男(ジナと関係もある)に乱暴男をやっつけてくれるよう頼む。乱暴男、ぼこぼこにやられて去る。もし海男さんとジナの恋物語ならここでジナと海男さんのラブシーンになってもいいんだが、これは、ジナとヘミの恋なので、海男さんの出番は終わり。

ヘミはもうジナへの恋心を隠す必要はない。ジナもヘミへの愛に溢れている。ヘミは座っているジナの腿ににそっと頭をもたせ掛ける。そして互いに微笑む。ヘミはきく「ほんとにジノ(彼氏)はあなたと寝たの?」ジナは黙ってる「私が男ならそうしたわ」「もうどうでもいいの」二人の上に季節はずれの雪が降る。韓国では初雪の時恋人といたらその恋は実るとか。そのときいたのはジナとヘミなのだから。

ヘミはジナを自分の部屋に招く。そのときお客の声が。出て行くヘミ。「部屋はあるかい?女の子はきみ?いくら?」かえってこないヘミを不思議に思いジナは外を覗く。いつものあの部屋の前に雪が降り積もり、ヘミの足跡が。これはどういうことなのだろう。ヘミはジナを休ませたいと思ったのか、それともジナを男に取られるのがいやになったのか、もしくは自分もジナと同じになりたいということなのだろうか。

最後のシーンで前にジナが海男と一緒に座っていた海の中の飛び込み台にジナとヘミが座り楽しそうに笑っている。海の中に魚が自由に泳ぎまわっている。魚はジナたちの心を表しているのだろう。


ラベル:キム・ギドク
posted by フェイユイ at 00:38| Comment(7) | TrackBack(4) | キム・ギドク | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは。
TBさせて頂きました。
フェイユイさんのキム監督作品に関する洞察は素晴らしいですね。
私の感想なんて、半分は不満みたいな感じで…(笑)
でもなぜか他の作品も観たくなってしまうんです。
4月に「春夏秋冬そして春」のDVDが出るようなので楽しみにしています。

そして、「空き家」が観たい…
Posted by hi-chan at 2005年03月14日 14:24
そんなにいわれると照れちゃいますね。ふふふ。ただ、ギドクさんが大好きなことは確かです。ただもうそれだけ。私も他のも見たい病で「春夏秋冬そして春」待ちきれなくて輸入もので見る予定です。でも日本語でもやはり見たいし(待ちます)

hi-chanさんの安藤くんてボーイフレンドかと思ってました(爆)あの安藤くんですね!ハー、確かに「空き家」の青年にぴったりでしたね。早く見れるといいですね。そしたら「これが安藤くんだったら」と楽しめますね。
Posted by フェイユイ at 2005年03月14日 22:49
まるで「友達かよ!」って感じで気安く「くんづけ」してます(大笑)
安藤くん、ぴったりですかー。
ああ、早く観たいなぁ。
Posted by hi-chan at 2005年03月16日 14:42
はじめまして、TBとコメントさせて頂きます。確かに女性の二面性を二人の女性通して描いているとは!気が付かなかったです。言われてみればそうかも。フランス映画の「昼顔」男性は娼婦性と貞淑な妻の相反する面を求める。。。とは深読みし過ぎでしょうかね!
おっしゃる通り友情よりは愛を感じました。
今後もよろしくお願いします!
Posted by yukee at 2005年08月11日 23:51
はじめまして、yukeeさん。
「青い門」は私がキム・ギドクに興味を持って2作品目の映画です。これを観てキム・ギドクへの「愛」を確信しました(笑)
かなりの低予算で作られているのですが、私にはどんな大作より大事な映画です。
キム・ギドクはなぜかマッチョな映画監督と見られてますが(それはご本人がたくましいからだけで(笑))とても女性的な映画が素晴らしい方だと思っています。
これからもよろしくお願いしますね。
Posted by フェイユイ at 2005年08月12日 00:21
こんばんは、トラックバックありがとうございました。
丁寧な考察、興味深く読ませて頂きました。
>ジナとヘミの恋物語
そこまでは思い至らなかったですが、わかるような気がします。肉体や言葉でのつながりではないけれど、何かしら通じ合う関係・・・キム・ギドク監督はこういう描写が上手いですね。
『悪い男』や『うつせみ』にも似通ったところが感じられました。
Posted by 朱雀門 at 2006年04月20日 21:34
いつもコメント・TBありがとうございます。
まったくの低予算で作られた映画だと思うんですがとても美しい作品ですね。
二人の女性が主役だと言う事もあって特に心に残っています。
「サマリア」の二人とも重ねてしまいます。
Posted by フェイユイ at 2006年04月21日 22:56
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