2005年06月26日

「日本黒社会」再び

黒ミ会.jpg

「日本黒社会」をもう一度見直してみました。

ネタバレです。最後まで書いてるので注意してください。

イントロ。ひどく見辛い赤と緑の色がきついフィルム。子供たちがシルエットで映し出される。二人の兄弟が名前のことでからかわれている。
主人公・龍一と弟・俊霖はそうして育った。龍一の年上の同級生・チャンもまた同じ境遇で育った仲間だ。まじめな弟と違い、龍一とチャンは盗んだバイクを売り飛ばすようなことをやっていた。龍一が「こんなとこいられっかよ」と町を出る時、ついてきたのはチャンだけだった。ローカル線に乗り込む二人。あてはない。その時、一台のバイクが追いかけてきた。弟の俊霖だった。

3人がたどり着いたのは新宿。そこで3人は中国から来て売春婦をやっているアニタ、トルエン売りをしているゲイの黒人バービー。そのトルエンを作って世界中を幸せにしようと考えている男。中国からきて全てを手に入れたが母親がしてくれなかった昔話に憧れ続けているウォンなどに出会う。

3人がアニタと暮らすビル(?)の屋上にいるシーンがよく出てくるが仕切りが低くてひどく危険だ。3人とアニタはその上でふざけたりするのだ。いつ落ちるか解らないいつ死ぬかも知れない遊びなのに4人はとても楽しそうだ。このシーンが4人の運命を暗示しているようだ。
龍一は突然ブラジルに行こうと言い出す。現実的な弟はお金はどうするの、と聞く。何のあてもない龍一たちが取る行動は銃による強盗しかない。こんな時もチャンは龍一の行動に何の疑問も抱かない。チャンの龍一に対する感情はなんなのだろう。同じ境遇からくる信頼なのか。ヤクザに襲われ大怪我をした龍一をかいがいしく看病するチャン。口移しに水を飲ませ、気絶したままなのにアソコが立ってしまった龍一のために金を出してアニタにしてやってくれ、と頼む。それを弟・俊霖が見て笑っている。この映画のなかでも愉快な場面の一つだ(結構おかしい場面の多い映画なのだけど)
そして4人はまるでつながるように眠るのだけどチャンはアニタと間違えているのだろうか、龍一の胸に寄り添って眠り、龍一もチャンを引き寄せている。

心に残るシーンも多くある。その龍一とチャンがヤクザに襲われる時、俊霖は違う場所でアニタといたのだけれど、はっと呼ぶ声を感じて飛び出していくのだ。この時もイントロの時のように画面が赤く染まる。この色は兄弟が一つ心になった風景なのだろうか。

この映画の中でひどく印象的なものに哀川翔がある。私は彼の映画をあまり観たことがないのだが、テレビで見る印象でいつもかっこいいワルをやってるのだと思ってたのだが、ここでの彼はトルエンで世界を救おうと言い張っているちょっと変な男でやることもどうもかっこよくないのだが、そのキャラクターをとても上手くやっている。水を飲まされ腹が膨れて死ぬシーンも惨めである。

4人はとうとうバイクに乗って強盗するのだが、バイクといってもカブである。そのカブに2人乗りして逃げるシーンがあるのだが、ここがスローモーションになりひどくセンチメンタルで大好きなのだ。大金を手にして揚々と逃げていく。その時間はあっという間のことで、すぐにその夢は断ち切られてしまう。それもチャンの死というあまりにも大きな出来事によって。

3人は傷心を抱えて逃げ続けるが、次には弟・俊霖の死が襲う。この時は兄・龍一が弟の死を感じて走るのだ。

二人きりになってしまった龍一とアニタはブラジルまで密航させてくれる船に急ぐ。だが、そこにはウォンたちが待っており、二人を取り囲む。龍一とアニタはウォンを撃ち殺す。そして海に飛び込む。二人の潜った水面に向かって銃弾が飛ぶ。ウォンは死んだ。
龍一とアニタはどうなったのだろう。
このラストシーンは幻想的で美しい。
「線路は続くよ、どこまでも」を歌いながら龍一は小さなボートを漕いでいる。その顔には笑みがこぼれている。一緒にいるアニタもうれしそうだ。果てしない海の中に小さなボートが揺れている。二人は住むべき場所へと向かっているのか。

このシーンでキム・ギドクの「魚と寝る女」のラストシーンを思い出した。どちらも行くあてもない男と女である。

だが、この映画では(アニタもとてもいいのだが)どうしてもチャンの龍一への愛情の方が切なくて愛おしかった。チャンは最後まで龍一を慕って信じていた。ひどい傷で気絶した時、アニタと俊霖が呼んでも聞こえないのに龍一が呼んだ時にだけ意識が戻ったのもそのためだ。残った母に金を渡して欲しいと頼むチャンの願いもひどく悲しい。

監督/三池崇史 出演/北村一輝 柏谷享助 田口トモロヲ 李丹 哀川翔 竹中直人
posted by フェイユイ at 21:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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