2005年07月27日

「花火降る夏」後半(原題:去年煙花特別多 THE LONGEST SUMMER)

花火1.bmp

たまらなく悲しい花火だった。タクシーのおじさんが言う。「花火だ外へ出よう」気が乗らなかったガーインだが、つい花火を見てしまう。香港が英国の支配から中国の支配へと変わる式典だ。香港の空が真っ赤に燃え上がるかのように花火が打ち上げられ、ガーインの頭上に広がる。「20年、軍隊にいて何もならなかった」と言う仲間たち。だが、弟シュンが金を持ち逃げし、行方がわからなくなり、皆あきらめてしまった。ガーイン以外の仲間はそれなりに仕事を見つけた。ヤクザのボスはガーインに戻って来いと言ってくれてる。が、ガーインの心のもやもやは晴れない。「自分は誰なんだ」と鏡を割るガーイン。
ガーインは大きなナイフを持って街へ出る。ある少年がそのナイフを見つけ「こんなナイフじゃ人を刺せないぜ」と絡んでくる。黙ったままのガーインの目の前でその少年たちがでかいナイフを持ち喧嘩を始める。ガーインの精神が狂いだす。少年たちの一人が弟・シュンに見える。ガーインは叫び絡んできた少年を追いかける。逃げる少年。だが、追い詰められ、金属製の保護服をつけた身体をガーインに滅多打ちにされる。ガーインは少年をまるでシュンであるかのよう二叫ぶ「なぜ銀行強盗をさせた。お前には失望した」そして喚き散らす少年の脚と腕を撃ち抜く。そしてさらにその頬に風穴を開けてしまうのだった!(この少年が出だしの地下鉄の穴の開いた少年だったのだ)なおも興奮が収まらないガーインの後頭部が突然撃たれた。ガーインは倒れた。花火が打ち上がっている。ガーインの目にもそれは見えた。

ヤクザの娘ジェーンは、英国に旅立つ前にガーインに会いにきた。一緒に行かないか、と誘いに来たのだ。だが、ガーインは承諾しない。あきらめて一人旅立つジェーンにガーインは出合ったとき投げられた白いシャツを窓から放り投げて返そうとする、だがシャツは途中の電線に絡まってしまう。
ガーインの事件の後、ジェーンが帰ってきた。すぐにガーインを訪ねる。今ではガーインも運送の仕事についている。が、ガーインはジェーンを思い出さない。ジェーンはいらだった文句を言う。ガーインの後頭部には大きな傷跡が付いていた。幸せそうに笑いながら仕事をするガイン。ガーインはもう何も考えることはないのだろう。これからは、ガーインも幸せに笑って生きていけるのだ、何も考えずに。

という、陳果監督の皮肉である。圧倒されるエネルギーがある作品だ。惹き付けられるシーンが随所にある。かっこいいまたせつないシーンも。ガーイン・ジェーン・シュンの3人がオープンカーに乗って香港の街中を駆け抜ける場面など、まさにかっこいい場面だろう。解放軍が来た、ということでガーインたちがつい戦車に向かって敬礼するシーン。そして警察が爆弾犯人と間違えて男を取り押さえ、壁に投げた爆弾がスイカだった、というシーン。スイカは砕け真っ赤な中身が飛び散った。

それとエンディングでガーインと仲間たちが水辺で子供のようにはしゃぐシーンがある。いずれも頭も薄いおじさんたちなのだが、とても楽しそうなのだ。

出だしの頬に穴が開いた少年、というのは香港人の心の穴を演出したものらしい。特に若者たちの不安な心を。だが、劇中では完全におじさんたちが主役になってるようだ。ガーインはまだ若いけど少年たちには「おじさん」といわれているし。若い人向けの映画、と陳果監督は言われてるが、昨日も書いたように歳をとってから解る映画でもあると思う。

監督:フルーツ・チャン 出演:トニー・ホー、サム・リー、ジョー・クーク 
1998年制作


posted by フェイユイ at 23:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 香港 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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