2005年08月18日

「不見不散:不見」The Missing・李康生

不見不散.jpg

とにかくお祖母ちゃんが公園でちょっと公衆トイレに行った間にいなくなってしまった孫のシャオ・イーを探し回る話です。といってもそれだけじゃないことは確かです。

公園には人がいっぱいいるのでお祖母ちゃんは手当たり次第に孫の行方を尋ねまくるのですが「男の子?女の子?服の色は?いくつ?」「男の子。オレンジ色の服。3歳」を何度も繰り返すばかり。しまいには「3歳の子を見てないのが悪い」などと言われ切れてしまったり。映画の中で走り回ること走り回ること、ものすごく気の毒です。途中でスクーターに乗ったふくよかなお兄さんが手助けしてくれて一緒にバイクで探し回りもします(優しい人だ)それだけなんですが、やはり3歳の孫がいなくなったのは気が狂わんばかりの事件です。

一方、こちらが出だしになるのですが、少年・小杰はお祖父ちゃんが揚げ菓子を買ってきてくれても返事もしません。部屋に入るとおじいちゃんの姿は無く、水槽の中に「伝染病」と書かれた新聞紙の切抜きがいっぱい入ってて金魚が死んでいます。小杰は揚げ菓子を公園内の木の枝に架けて捨てています。しかも以前の分がいくつかぶら下がっています。その後、ずーっとゲーセン(ネットカフェ?)でパソコンの殺人ゲームをしているのです。無表情でずーっとやり続けます。

その間もおばあちゃんは激しく走り回って孫を捜すのですがみつかりません。ついに疲れ果て泣き出してしまいます。
少年はぶらぶらしているのですが、浮浪者があのおじいちゃんがくれた揚げ菓子を食べようとしてどうやら腐ってたのか回りにばら撒いて捨てているのを見てしまいます。その時孫を捜すお祖母ちゃんに声をかけられるのですが、小杰は知らないと答えます。しかし小杰ははっとしておじいちゃんを捜し始めます。が、どこにも見当たりません。懸命に「おじいちゃん」と叫びながら捜している小杰を再び見たおばあちゃんは彼の後について行きます。小杰は丸く柵をされた場所に入って行き、おばあちゃんも後を追います。捜し付かれ柵の中の池のほとりに座り込む二人。カメラが俯瞰になり柵の中の座った二人が見えます。すると柵の外側をなぜかシャオ・イーと小杰のお祖父ちゃんが手をつないで歩いていくのです。柵の中でしゃがみこむ阿杰とおばあちゃん。柵の外をシャオ・イーとお祖父ちゃんが歩いていってしまう。

という不思議なお話。これは蔡明亮ではなく、李康生の監督作品なのですね。後で気づきました。何だかまさに蔡明亮の作品と思えたのですが。だがいつも主役のはずの李康生が出てきませんでした(おばあちゃんが電話をかけようとした相手の名前が李康生という人だった、と言うエピソードがある)監督をしてるなら当然ですね。
それにとても上手く演出されてました。おばあちゃんと少年がそれぞれ、孫とおじいちゃんを捜す、と言うだけの話なのになかなかおもしろく観れました。
といってもそれだけの話じゃないことは確かですよね。孫とおじいちゃんは全く何の説明もなしに突然いなくなりますし、突然現れますが、肝心の二人には探し人の姿は塀によって遮断され見えない「不見」なわけですね。そして探し人はたった一枚の塀の外を歩いて去ってしまう。監督は李康生ですが、蔡明亮独特の孤独感・焦燥感が現されています。しかし映画のほとんどの時間がおばあちゃんが泣き叫びながら孫を探し回る姿なのです。観客も同じように大切なものを突然失いなきながら探し回ることがあるわけです。その結果は必ずしも見つかってよかった、というばかりではありません。ほんのりユーモアも交えながら(その辺も蔡明亮的)この悲しい話は語られます。
(中文字幕を読んでの鑑賞でしたので、間違いがありましたら、申し訳ありません。ご指摘ください)


小杰をやった少年がどこかで見たなーと思い出しました。「ニエズ」のアチンの少年時代をやった子ですね。あれから少し成長したのでしょうがまだあまり変わってないみたい。繊細な面立ちの少年・張捷ですね。(名前を見るために「ニエズ」のDVDを観たら引きずり込まれようとしました。あの音楽はやばいです)
posted by フェイユイ at 23:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 台湾 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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