2005年08月29日

「弓 (The Bow)」Tキム・ギドク

弓矢.jpg
この映画の弓矢と言うわけではありません。

今、なんと書いていっていいか、まだ悩んでいます。大体私はさっとひらめく頭じゃないので。それにゆっくり観て考えたい気持ちもあるので少しずつ書いていこうか、と思っています。

この映画はすぐ観終えてしまいました。いつものようにひどく人を惹きつける映画なので夢中になって観ました。この飽きさせない観せ方というのは何なのでしょう。
この映画を観て最初に思い出したのはロメーン・ブルックスの「陵辱された女」という題の絵。写真を探したが見つからず。私は澁澤龍彦氏の「幻想の彼方へ」で見たのだけれど。

かなり古びた船に一人の老人(チョン・ソンファン)と16歳の少女(ハン・ヨルム)が暮らしている。彼らは釣り人(男性ばかり)をもう一つの小さい船で運んできては釣りをさせて生計をたてている。釣り人は可愛らしい少女にちょっかいを出さずにはいられない。その度に老人は船の操縦室から弓矢を射ては客人を脅かすのだ。
客の一人が老人に「占いをしてくれ」と言い出す。老人は少女に手首に5色の細い布を巻きつけて船から垂らされたブランコに乗せる。少女のブランコが揺れている船の側面には仏様の絵が描かれている。
釣り客があっと驚く間に老人はもう一つの小さな船からブランコで揺れる少女の身体に当たるのかというすれすれを通って船に書かれた仏の身体を射抜くのだった。矢は3本放たれ、終わると少女は矢を抜き取って老人の耳元に何事かをささやく。うなづいた老人がさらに占いを頼んだ客の耳元でささやくのだ。この不思議な占いは何を意味しているのだろう。少なくとも少女の生命もしくは身体を損ねてしまうかも知れない危険な占いだ。まさかこんな占いはこの世にはないと思うのだが。

釣り人たちは噂する。あの娘は7歳からこの船にあの老人と住んでいる。老人はどうやらあの娘と結婚するようだ。

夜になると老人は昼間男たちを射た弓矢を楽器に変えて音楽を奏でるのだ。
老人は少女の身体をたらいで洗ってやり、カレンダーに5月12日を「結婚」の日と記して(今は2月なのだが)その日までをかけ印で消していくのを楽しみにしている。そして2段式ベッドの上から下で眠る少女の手を握る事を楽しみにしているのだ。

老人が釣り客を連れてくるのを待つ間、少女は一人きりでご飯を食べ、弓矢や音楽の練習をし、ブランコに乗る。何事もないがそれなりに穏やかな日々が過ぎていったのだ。

老人はその間にも少しずつ結婚式の衣装などを買い揃えて一人微笑むのだった。

ある時2人組みの釣り客が礼によって少女にいやらしい事をしようとするが老人にすぐ見咎められ、矢を射られる。頭にきた二人は老人を縄で縛って少女を追い詰める。だが、少女は慣れた船の中を逃げ回り、逆に男たちを追い詰め矢を放った。矢は男たちの脚を射止めた。少女は嫌らしい男たちを懲らしめてにやりと笑う。

だが、そんな老人と少女の船の生活は、一人の若い男の釣り客がやってきたことから変わってしまうのだった。

もう一度観てみたが、海に浮かぶ古ぼけた船と横に寄り添う小さな船はそのまま老人と少女を表しているのだろう。老人の身体の如く船のエンジンはいつも止まってしまい修理しようとしてもなかなか動き出さない。あちこちが古ぼけてはげてしまっているのだ。
posted by フェイユイ at 23:45| Comment(0) | TrackBack(0) | キム・ギドク | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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