2005年09月24日

天龍八部第39集

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遼国皇帝・耶律洪基

段誉は愛する両親を失いました。だけど彼には愛する人そして守るべき人・王語嫣がいます。
が、義兄・蕭峯は愛する人がいない。彼は一体どこへ行けばいいのでしょうか。


段延慶に杖を振り上げたものの段誉はその杖を刺し通す事は出来ませんでした。段延慶は己にも息子がいた、一人の人間であった、と静かに喜んで屍が横たわるその部屋を出て行ったのでした。

段誉は放心状態で庭に座り込んでいた。王語嫣たちが駆けつけて呼びかけてもその声は耳に届かない。朱丹臣らは袖ぎ部屋の中の段正淳夫妻のもとへ走ったが答えはない。その様子に鍾霊、木婉清、王語嫣も部屋に入るがそれぞれの愛する母親はもうこの世の人ではなかった。

と、その時意識を戻した雲中鶴が入って来た王語嫣の喉村に爪を立て、人質にしてしまったのだ。他の者は手が出せず、連れ去られる王語嫣を見守るしかない。庭に座り込んでいた段誉はまだぼんやりとしたままだった。
が、雲中鶴が王語嫣と共に屋敷の屋根に飛び乗ったのを見るや、段誉もすかさず屋根に飛び乗ったかと思うとすぐさま雲中鶴目指して掌激を見舞った。たちまち雲中鶴は王語嫣を取り落とし、二つの身体は落ちていった。しかし王語嫣の身体は段誉がしっかと受け止めたのだった。
雲中鶴はそのまま叩きつけられ血を吐いたが、段誉の怒りは治まらない。いつも温厚な彼が自我を失うほど激していたのだった。死んだ雲中鶴をなおも打とうとする段誉を皆は悲しい思いでとどめたのであった。

大理国の鎮南王・保国大将軍である段正淳とその正妃である刀白鳳、また段正淳の女性たちの葬儀が行われた。その葬列が道を行く時、紙銭が吹雪のように撒かれたのであった。

霊鷲宮では阿紫が虚竹の手によって目の手術が行われ、再び目が見えるようになっていた。無論、その目は游担之の物である。

2ヵ月後、宋の大皇大后が崩存し、孫が政権を握った。異を唱える重臣は罷免され、遼国を攻める準備が進んでいた。
中原を黒い影が覆い始めていた。

遼国にて。蕭峯は義兄弟でもある皇帝・耶律洪基と共に狩を楽しんでいた。が、その目の前を宋人らの一行が旅するのを見た皇帝は不快を感じ、蕭峯に彼らを襲う事を提案する。蕭峯が承諾するわけは無いが、皇帝は有無を言わさず、部下に宋人の一行を襲わせた。義兄であり、皇帝である彼に背くわけには行かないが蕭峯は苦渋の表情を見せる。
そこへ一つの馬上の人が矢のようにこちらへ走ってくる。皇帝は矢を取り、その者を射たが、上手くかわして目の前に到着した。その人影は何と阿紫であった。その目はもうよくなっている。

皇帝は蕭峯と二人きりになり、もし南人の女が好きなら何人でも世話すると言われる。蕭峯は「私は妻は娶らぬ覚悟なのです。阿朱の変わりはおりません」
皇帝は「お前にそのような思いをさせた宋人がいけないのだ。お前を裏切った丐幇らも許せん。わしが恨みをはらしてやる」が、蕭峯は「もう恨みは忘れました。恨みに恨みで返してもきりがないのです」ああ、蕭峯があの時、阿朱の言うままに恨みを忘れ、宋を出て草原で羊を追って暮らせたなら、彼はそれでは幸せになれなかったのだろうか。彼女を失った今だからこそ蕭峯は恨みを持った自分を悔いてしまうのだろうか。
皇帝はなおも言葉を続け、蕭峯を平南大元帥として三軍の統率を命ずる。そして南征を言い渡すのだった。

蕭峯は死に逝く多くの人々を思い、両膝をついて叩頭する。そして南征の撤回を願った。
が、皇帝の意思は固い。せめて蕭峯は他のものに南征の任務を与えてください、と申し上げる。
大きな褒美を与えたつもりであった皇帝は義弟の態度に一気に不快をつのらせた。

城に戻った蕭峯は阿紫に出迎えられその心中を訴えられる。阿紫は亡くなった姉・阿朱の代わりになりたいと思っているのだ。が、蕭峯は自分は兄にしかなれない、というだけ。その冷めた態度に阿紫は言葉を尽くすが、蕭峯の心は動かない。そして「お前の目はなぜそんなに悲しみに満ちているのだ」と問いかける。阿紫は、あの鉄丑のせいよ。と憤然とする。わけを聞き、蕭峯は阿紫の無情さに声を荒げ、出て行けと言い捨てる。
そこへ、皇帝が阿紫をお召しである、という使者があった。

蕭峯が城を出る準備をしている所を何者かが伺い、皇帝に報告した。皇帝は蕭峯の心変わりに怒り、蕭峯の城を兵で固めるよう命じた。

阿紫は皇帝のお召しで参じ、蕭峯が自分の思い通りにならないことを訴える。皇帝は阿紫に一度飲ませるとその人を一生愛する、という聖水を見せる。皇帝が席を立った隙に阿紫はまんまとその聖水を手に入れ、逃げ出した。
その様子を皇帝は見ていた。

阿紫を待っていた蕭峯はすぐここから逃げ出すのだと言う。阿紫はちょっと待って、と杯に酒と聖水をいれ、ここも最後だから、と蕭峯に飲ませた。

外はすでに兵が大勢いたが、武芸優れた蕭峯と阿紫は兵たちをものともせず、逃げおおせるはずだった。だが、もう少しという所で、蕭峯は胃に激しい痛みを感じて倒れた。気を巡らせてみる、と蕭峯は言ったが、激痛で術がない。阿紫ははたと自分が皇帝から盗んで飲ませた聖水を思い出す。「私のせいだわ」「いったいなぜ」「違うの。あれを飲ませたらその人は一死ぬまで私だけを愛してくれると」

蕭峯には愛というものが存在しない。やっと義兄弟として契丹人の身内を持てた蕭峯だが、その心は全く通じないものとなり、このような酷いことになってしまった。優しく接しているはずの阿紫はどうしても心がねじくれたままで成長していく。
この二人は悲劇が満ちたこの物語の中でも特に悲惨な運命を背負っているようだ。この二人は安らかな愛というものを持ち得ないのだから。まだ物語が終わったわけではないが。
もしかしたらまだ心に愛しい人の面影を抱ける蕭峯の方がましなのかも知れない。阿紫こそは最大の悲劇である。両親に捨てられ、毒を使う悪しき武芸を学び、人を慈しむ心は育たなかった。蕭峯に出会い、いくらか優しい心を持つときもあるのだが、どうしてもその愛は間違った形でしか表現できない。ここに来て辛抱していた蕭峯からも顔も見たくない、と激怒されてしまう。彼女を受け入れられるのは游担之だけなのだが、その愛の表現も決して尋常ではない。同じ姉妹で同じく親に捨てられながら、阿朱と阿紫は正反対の心を持ってしまった。私自身、阿紫には嫌悪を抱いてしまう。優れた美貌と素質を持ちながら、そういう人生しか歩んでいけない阿紫こそ悲しい運命の人なのだ。

屁理屈のようだが、片目だけあげるというわけにはいかなかったのでしょうか。また、娘を捨てた両親にも相談してみてもいいと思うんですが(一個ずつね)

またしても今回は蕭峯の阿朱への思いに何度も目頭が熱くなりました。本当になんで彼女が死んでしまったのか。どうしようもないのですが、悔やまれます。

出演:胡軍(蕭峯)ジミー・リン(段誉)リウ・イーフェイ(王語嫣)高虎(虚竹)申軍誼(丁春秋)馬浴柯(游担之)修慶(慕容復)陳好(阿紫)周冰清(梅剣)周玉[さんずい吉](竹剣)
posted by フェイユイ at 22:10| Comment(4) | TrackBack(0) | 天龍八部 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
大将軍で熱く最後を表現したかったの♪


Posted by BlogPetのじえるん at 2005年09月25日 12:29
か、軽く言うなーっ!!
Posted by フェイユイ at 2005年09月25日 19:22
こんばんわ

今回初めて、阿紫が可愛いって思いましたよ、子供として。
わかり易い計略に乗せられて、喬峯をピンチにしましたけど、今までを思えば子供らしさが出て良かったです。
Posted by 遠志 at 2005年10月27日 01:34
お、そうですか。

阿紫ってみんなからの嫌われ者ですよね。でもこの物語で登場回数といい、大きな役割を果たしています。印象としても忘れられない存在です。一体彼女を通して、金庸は何を言いたいのでしょうか?

さて次はいよいよ最終回ですね。
Posted by フェイユイ at 2005年10月27日 10:43
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