2005年10月27日

「血と骨」崔洋一・前半

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さすがに引き込まれて観てしまう。原作を読んでいたので普通なら比較してどちらがいいとか言う話になるものだが、今回ばかりはどちらもすばらしく比較できるものではないと思っているところ。

金俊平なる父親像が恐ろしい。朝鮮・韓国における父権の脅威もあるだろうが、日本でも昔よく聞く話でこういういて欲しくない恐ろしいばかりの父親と言う存在があった。
子供たちにとっては尊敬も何も無い。ただ、消えて欲しいと望むばかりだ。私自身の父親は優しい人なので、我が身に重ねてみる事はできないが、友人の父でそういう片鱗を感じ取れる人はいたし、実際友人からはその辛さを聞いたものだ。金俊平ほどでないにしても。

父親としてだけでなく、夫としても隣人としても雇い人としても金貸しとしてもこれ以上の恐怖はない、といった感じの男性権力の権化のような男である。
蛆のわいた肉を食らい、酒を飲む。妻に対してのいたわりなど考えることなど決してない。そこにはただ性欲の捌け口と妻としての役割があるだけだ。

一体何故このような男が存在し、このような男を描かねばならないのだろうか。まるで反吐を吐くように小説も映画もこの男の有様を描いていく。これを吐き出さねば心の毒が抜けきらぬと言わんばかりだ。
金俊平が少しだけ優しいことをやってあげる女がいる。キヨコという若い女だ。こともあろうに妻の住む家の隣に女を住まわせ、性交を行う。が、それは結局は自分の子供が欲しい、という願望のためであってキヨコに子どもができないと知るや、たちまち乱暴を働くのだ。
が、キヨコは脳腫瘍のために体が不自由になってしまい、金俊平はキヨコの身体を盥に入れて洗ってやる。これは何だろう。子供が出来ない、と責めた女へのせめてもの償いなのだろうか。とは言え今まで酷い仕打ちばかりを見せ付けられたため、せいぜい自己満足のためとしか思えないが。

この恐ろしいマッチョ男を北野武がやる、と聞いた時は原作のイメージと大きく違ったため、驚いたものだ。だが、こうして観ていると、北野武がやったのはよかったと思う。時々、江戸っ子のたけちゃんが関西弁を話すのが難しそうで笑ったが、私が関西人ではないのでそう変には感じなかった。
鈴木京香はもう抜群にうまいですね。色っぽくて綺麗でしかもおかんの強さもあって、また弱さも見せて、これ以上はないくらいです。
オダギリジョーの息子役(金俊平が別の女に産ませた息子)もかっこよくもあざとくてみとれちゃいましたね。
新井浩文。暴力親父にどうしても勝てない息子を好演してます。子供時代が長いのでまだこれからですね。
そして最初に出てきた金俊平の若き日の役をした伊藤淳史。僅かの時間に印象深いです。
また、かまぼこ工場の職員で北村一輝が出てるのもうれしかったです。

何だろう、絶対に見たくないもの嗅ぎたくないもの味わいたくないものをどうしても試してみたくなるような気持ちで観ています。また明日も。後半。

日本に渡ってきた朝鮮・韓国人たちが見る大阪がもうもうと煙を上げる工場の見える海岸と言うのも象徴的である。
posted by フェイユイ at 00:30| Comment(0) | TrackBack(1) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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