2005年11月28日

[薛/子]子(ニエズ)第十三集・思い出 後半

僕はアフォンを抱きしめていた。アフォンの血が熱く流れ出した。それがここなんだ。

アチンは、話し終りうずくまって泣くワン・クイロンをじっと見つめた。雷鳴が聞こえてきた。「雨になるよ、ワンさん。行こうよ」

アチンは思った。ロンズの話を聞いて当時の情景が突然現れた。これがあの哀しく美しいロマンティックな神話だ。遠い世界のことのようだ。この話は本当にアフォンの死によって終わったのだろうか。

アチンはロンズの部屋で一夜を共にした。
目が覚め、アチンが聞いた「気分はどう」「十年間、ふさがっていた事を話せてほっとしたよ」アチンが出て行く様子を見てロンズは「行ってしまうの」と聞いた「うん、仕事を探さなきゃ」「お金なら僕がなんとかできるよ」「いや、あなたのお金は取れないよ。僕達の関係を複雑にしたくないんだ」「じゃ、僕達は今どういう関係なんだい」「友達さ」「どんな」「うーん、いい友達」「友達」ロンズはアチンを背中から抱きしめた「僕もう行かなきゃ」「何をそんなに怖がっているの」「何も」「じゃここにいて僕に面倒を見させなよ」ロンズがアチンの腕を掴んで話しかけているとフォン爺が朝食だと呼びに来た。アチンも一緒に食べる事になった。フォン爺は親切にご飯を勧めてくれた。だが世間話のつもりで家のことを聞いて来た時はロンズが「調査でもするのかい」と助け舟を出した。 
朝食がすむとロンズはアチンと外へ出て屋敷を眺めた。大きく立派な屋敷だが、長く放っていたためにあちこち剥げて水ももるという。ロンズは自分で修理したいからアチンに手伝ってくれないか、と頼む。もし君がいやじゃなければ、だけど。バイト代は払うよ。そうすれば仕事を探す必要もない。「いいよ」とアチンは答えた。じゃ決まりだな。そう言って握手をした。

アチンはロンズが自分の屋敷を修理したいと言うのを聞いて、不思議な感じがした。まるで戻る家のない放蕩息子がついに安定した場所をみつけたかのようだった。二人はふざけながら、家の修理を始めた。その様子を見てフォン爺はアチンだけにそっと言った。感謝します。坊ちゃまはあの事件以来笑う事がありませんでした。ずっと苦しんでいたのです。しかしあなたと知り合って明るくなりました。私は古い人間ですから、あなた方の考えは賛同できません。が、受け止めることはできると思います。坊ちゃまはアフォンの時と同じようにあなたを真剣に思っているようです。どうか、あの方によくしてあげてください。わたしは年寄りです。私の願いは今後坊ちゃまが楽しい生活を送られることだけです。

ペンキだらけになったアチンの服をロンズはフォン爺に洗わせた。アチンは裸のまま「じゃ何を着たらいいの」「心配ないよ。僕のを着れば」と言って箪笥を開けた。ちょっと躊躇して落ち着いた色の花柄のシャツを手に取った。「これを試して」「花柄だね」「嫌かい」「ううん。でも大きいみたいだ」「大丈夫。とてもいいよ。鏡で見てみて」ロンズはじっと見つめている。アチンは言った「これは彼が残したものだね」「あの頃僕達ふたりは・・」「解ってる。何でも聞いたよ」「いやなら着なくてもいいんだよ」「かまわないよ」

再びロンズはアフォンと海に行った時の事を思い出している。

強い風が吹き波しぶきが上がる海岸でアフォンはすらりとした身体にその花柄のシャツをつけていた。
僕は言った「もしずっとここにいられてもいいことばかりとは限らない」「俺が思うのはあんたには前途がある。外国へ行けよ」「僕はただ君といたいだけだ」「何の価値もないぜ」「僕は死んでも君といたいんだ」アフォンが言った「よし一緒に死のう。口先だけじゃ甘い。本当に一緒に死ぬんだ」アフォンの顔を見て僕はその腕を掴んだ「よし。行こう。さあ」アフォンは引きづられながら僕の後を走った。が、その手を振り払うと僕を抱きしめた。「一体どうしたらいいんだ。まさか本当に僕の心を掴みだしたいのか。それでやっと信じられるのか」二人が二度と離れないかのように抱き合っているのを小さな女の子がじっと見ていた。やがてアフォンがそれに気づききまり悪そうに僕から離れた。
僕は女の子に近寄りお菓子をあげるから写真を撮ってくれないか、とカメラを渡してやり方を教えた。「ここを押してね。さあ、見えたかな。待って」僕はアフォンと寄り添って浜辺に座った。

浜辺に寝転んでハーモニカを吹いていたアチンは吹くのを止めてロンズに聞いた「何を考えているの」「何も。君のハーモニカを聴いていたよ」「君は鼻歌を歌っていたよ。海をぼんやり見ながら」「僕はここへアフォンと来たんだ」「解ってる」アチンは笑いながら言った「あなたは彼と行った場所を全部僕に話したいの。これからはあなたが昔を懐かしむ時を避けておじゃまするよ」

ロンズとアチンは新公園に来ていた。ロンズはアチンに仕事をしてくれた事を感謝した。アチンは自分の家が古くてよく修理をしたことを話した。
二人が歩いていると楊教頭とシャオユイたちと出会った。師父は驚いていた。そしてワンさんと話があるからと言ってアチンと引き離した。仲間達はロンズの出現にざわめいた。
楊教頭はロンズに忠告した。「彼らはよく似ているだろうが、あの子はきみには合わないんじゃないか」「あなたは以前アフォンにもそう言いましたね」「そうだな。だが彼は私の忠告を聞かなかった。結果悲劇がおきたのだ。違うかい、ワンさん。怒らんでくれ。生まれつきの性質は改めにくいものだ。私は勿論君と言う人を信じている。だが知ってのとおりアチンは私の弟子だ。力の限り彼を守ってきた。彼を傷つけたくはないだろう。帰りなさい。ワンさん。彼らがどんなに似ていても結局彼はアフォンではない。アフォンも帰ってはこない。帰りなさい、ワンさん」
歩いてきたアチンを見てロンズは声をかけた「先に帰るよ」

深夜までアチンたちは公園を歩き回っていた。そこへ突然警察がやって来て林を彷徨う男達を次々に殴り捕まえだした。「逃げろ!」だが、仲間達は逃げ切れず捕まってしまった。
師父は愛想を振りまいた。ラオシュウがまず尋問を受けた。彼の本名は頼阿土(ライ・アトゥー)と言うのだった。皆初めて聞くらしく笑った。ラオシュウは警官にさんざんからかわれたださほど気にとめてはいなかった。それより兄貴には話してくれるな、と懸命に頼むのだった。
警官は次にアチンに目を留めた。新入りの名前を聞き、住所を聞いた。アチンは答えなかった。警官が父親に通知して家へつれ戻ししつけをさせると言うとアチンは「公園で友達と話すのが違法ですか」と食ってかかった。警官は途端に怒った。「その態度は何だ。全てが堕落した悪業だ。恥知らずが」「何だって」警官がアチンの胸ぐらを掴んだ。

アチンもアフォンもとても魅力的で見とれてしまいます。特にその微妙な表情と言うのが凄くよいのです。

原作:白先勇 監督:曹瑞原 出演:柯俊雄(李父)柯淑勤(李母)范植偉(李青)張捷(幼年李青)楊祐寧(趙英)金勤(小玉)阿鳳(馬志翔)龍子(トゥオ・ゾンファ)楊教頭(丁強)呉敏(張孝全)老鼠(呉懐中)林義雄(林茂雄)李昆(老周)


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2005年11月27日

[薛/子]子(ニエズ)第十三集・思い出 前半

僕は将軍である父に部屋に閉じ込められてしまった。

アフォンは公園で一人座りこんでいたが、じっと見つめる男に気づくと声をかけた。男は怯えながらいくらかと聞いた。アフォンは「いくらでも。行こうぜ」

僕が部屋に閉じ込められているのを母親はひどく心配した。これを乗り切れば全ては正常に恢復するわ、と言っても僕はアフォンを忘れられない。と言うばかりだった。母親は心を痛め泣いた。「あなたは一人っ子よ。家を継がねばならないのよ」だが僕はアフォンを愛している。これは運命なんだ。母は二十数年あなたを育てたのに、あなたはこの事実を運命だから受け取れと強要するのね。僕はごめんなさい、と跪いて泣いた。
母は決心したようにドアを少し開けて出て行った。そして見張り番から部屋の鍵を受け取った。そしてフォン爺にお茶を頼んでその部屋を離れた。

僕は外へ出た。そして夜の新公園を歩いた。アフォンもまた新公園を彷徨っていたのだ。
アフォンが老人に絡まれていた時、僕は彼を見つけた。あの時のように紅いシャツを着ている。
僕は言った「家に帰ろう」「俺の家はここだ。あんたは俺をどこへ連れて行くんだ」「そんなことを言うなよ。僕から離れるつもりなのか」「あんた一体俺に何をさせたいんだ」「僕はただ君の心が欲しいだけだ」「俺は生まれてからそんな物持った事がないよ」と言ってアフォンは離れていこうとする。僕は彼の背中に抱きつき「君にないのなら、僕があげるよ」「放せよ、放せ!!」逃げようとするアフォンを僕は必死で抱きしめようとした。彼は何度も放せと叫んだ。しかし泥だらけになって転がりながら二人は抱きしめあいいつしか泣き出した「どうすれば。一体僕達はどうすればいいんだ。僕達は何とかやっていけなかったのかい。僕の母さんは君に何と言ったんだ」アフォンも泣きながら叫んだ「違う!違うんだ・・・これはあの人達が言ったことじゃないんだ。俺が決めたんだ」「でも、でも僕達二人は一緒にいて凄く楽しかったじゃないか、そうだろ」「俺だって楽しかったさ。でも俺が耐え切れない性格だと知っているだろ」「いや、君は慣れてないだけだ」「俺は永遠に慣れないんだ。あんたは人に聞いたろ。俺がどういう奴か。野放しの卑しい身の上なんだ。あばずれから生まれたならず者さ」「お前は僕がそんなことを気にしてると思ってるのか。僕はただ君といたいだけなんだ」「俺の身体は毒なんだ。身体中汚いんだ」空からは雷鳴が聞こえてきた「お前の身体が毒なら僕が舐めて綺麗にしてやる。お前の身体が汚いなら僕の涙で洗ってやるよ」涙は止めどなく流れる。「あんたの話は馬鹿げている。あんたはお坊ちゃまなんだ」「アフォン、アフォン。僕と帰ろう。一緒に新年を迎えるんだ」僕はアフォンの手を取った。「俺はあんたとは戻れない。解んないのか。俺は彼と行くよ。彼は俺に50元くれるってさ。お年玉だ」僕は喚いた「彼が君にやれるものを僕がやれるじゃないか!」アフォンは泣いていた「この世ではだめだ。俺がいい家に生まれ変わったら、あんたに答えるよ。いいだろ。いいだろ!!」「じゃあ、僕の心を返せ」雷鳴が続く。アフォンが立ち止まった「俺の心か」そう言って僕にぶつかってきた「これが欲しいのか」自分の胸をはだけた「取れよ。取れ」そう言ってはぶつかった「取れよ!さあ!」僕は彼を抱きしめた。その顔がうっとりと変わる。真っ暗な空には雷鳴が轟き、稲妻が走っては明るく照らす。アフォンの胸には細いナイフが突き刺さっていた。彼は少し笑って僕を見た。そして彼の身体は地面に崩れ落ちた。その身体は痙攣し両腕は僕を抱くかのように前に差し出されていた。アフォンを見つめながら僕は稲光に映し出されるのを感じた。僕はアフォンを抱きしめた。激しく雨が降り出す「アフォン」僕は泣いた。アフォンはまた少し笑いかけかすかに痙攣して動かなくなった。土砂降りの中、僕はアフォンの身体を抱きしめた。そして空を見上げて笑った。雨がうずくまる二人の身体を容赦なく叩きつけた。
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2005年11月22日

[薛/子]子(ニエズ)第十二集・シャオミンの父、ロンズの父 後半

ロンズはアチンを連れて思い出の家へ向かった。それは10年前、ロンズがアフォンと共に暮らしたあばら家だった。

アチンとその家に向かいながらロンズはアフォンと自転車に乗って行き来していた時を思い出していた。
紅いシャツを着たアフォンは眩しいほど印象的だった。
狭くて暗い粗末な家の中で二人は何者にも邪魔されず、寄り添うことができた。
僕は上半身裸になったアフォンを胸に抱きながら話し合った。
「何故身体にこの刺青をしたの」「これだと誰も俺をいじめないからさ。これを一目見たら逃げだすんだ。あんたは怖くないの」「最初は少しね」
アフォンは言った「俺達は似てないね。あんたは小さい時から大きな部屋と大きな車がある家に住み、誰からも愛されるお坊ちゃんだ。俺は臭い溝の側で育ったよ。腹をすかせごみを集めた所から食べ物を探した」僕は答えた「だから君は心配しなくていい。今は僕が君の面倒を見るよ」「あんたは俺の面倒を見ることはできないよ」「何故できないんだ。僕達は永遠にこのまま一緒にいれるんだ」「俺は信じない」「じゃ、君はどうしたら信じることができるんだ」「来世で」僕は叫んだ「何を言うんだ。そんなことを言うな。言うな。やめろ」「痛い」いつの間にか僕はアフォンの肩を爪あとが残るほど掴んでしまっていたのだ。

その時、僕は突然自分がどうするつもりなのか怖くなった。こんなにも激しい欲望で彼を完全に独占したかった。僕は不安になった。もしこの欲望をコントロールできなくなったらどのような災難が訪れることだろうか。

僕は外国の小説の翻訳を出版社に持って行ったが、褒められただけで金にする事はできなかった。
そして爺が僕の後をつけて来るのに気づいた。彼は何日か前から僕をつけていたのだ。母からの頼みで僕を監視していたのだった。僕は彼に母に伝えてくれと言った「ここでとてもよくして暮らしていると。そしてこの親不孝な子を許してくれ、と」僕は去ろうとしたが、爺はひきとめ、母がくれた金を押し付けた。私は返そうとしたが、仕方なく受け取った。

新公園の博物館の前を警官がうろついているのを楊教頭は気づいた。急いでアフォンを見つけると叱りつけた「警官がお前を探しているのがわからんのか。お前があのワン・クイロンを誘拐しているのだぞ」アフォンはぎらぎらとにらみつけた。「俺がいつ彼を誘拐したんだ。あいつが俺と一緒にいるんだ」「私達は何の力もない輩だが、ワンという父親がどういう人物なのかわかっているのか。あの方がもし怒ったらお前の命など保障はできん」「俺はそんなもの怖くはないぜ」楊教頭はさらに言った「私は前言わなかったか。お前達は罪の縁だ。どうにもならない、と」「もう一度言ってみろ」「どうにもならないのだ」アフォンは楊教頭の胸を突くと行ってしまった。

僕達の家の前に一台の車が停まっていた。
アフォンが遅く帰ってきて僕はむしゃくしゃして怒鳴った。勝気なアフォンはすぐにかっとなって言い返した。僕はあやまった。アフォンはむっとして言った「こんな生活長くはやっていけないさ。外で誰か見張っているぜ。家に帰ったらどうだ。どうせ俺達は同じ世界の人間じゃないんだ」「お前は僕を咎めているのか、それとももう飽きたのか」「馬鹿野郎」「それでも僕はお前から離れないぞ」「知ってるさ」「じゃお前も僕から離れるな」そして僕は外に停まっている車に向かって走って行った。「出ろ!出てこい。帰って彼らに言え。僕は死んでも戻らないと。解ったか」その様子をアフォンは呆然と見ていた。

アフォンが一人きりで家の前の草原に寝転んでいると車が停まった。中から出てきたのは爺とロンズの母親だった。
「あなたがアフォンですね」「奴はいないよ」「知ってます。私はあなたに会いに来たのです」
ロンズの母は家に入りなおアフォンに話しかけてきた。「あの晩、私ははっきりとあなたを見ることができませんでした。こんなに綺麗な子だとは思いませんでしたよ。あなた方はどこで知り合ったのですか」「公園。新公園」「では、あなた方はどういう関係なのですか」「あんたに言うのか」フォン爺が口を挟んだ「あまり妙な事をいうんじゃないぞ」ロンズのママは爺を止めた「私はあなたを苦しめに来たのではないわ。私はただあなたの口から私に言って欲しいのです」「何を言えってんだよ。俺はあいつが好きであいつは俺が好きなんだ。そう言う事さ」フォン爺は再び口を挟む「奥様、こいつの嘘など聞く必要はありませんぞ。見てください。こいつのからだの龍と鳳の刺青を。もともとならず者なのですよ。坊ちゃまや私達とは違うのです。きっと一時的に騙されたのですよ」アフォンは哀しげな目で見つめたが何も言わなかった「アフォン。私があなた達の考えを理解できないのは許してください。でもこのことは母親として話しているのです。どうしても受け入れてもらえないのですね」「すまないね。あんた達は探す人を間違えたようだ。この話は彼にしなきゃな。俺は奴を拉致したんじゃないぜ。奴が俺と一緒になりたがったんだ。もしあんた達が我慢できないなら遠慮せずに彼を連れていきなよ」
母親は言った「あなたがもし本当に彼をわかっているならそんなことは言えないはずです。ロンズは小さいころから甘やかされてとても頑固なのです。彼がもし行かないと思うなら彼は死んでも行かないでしょう」「それで」「あなたは賢い子でどうすればいいのか解るでしょう」「あんたは俺に自分から奴と別れろと言うんだな」「あの子は外国へいって学問をするはずだったのです。あなたはもし本当に彼を好きならつまづかせないで。彼に辛い思いをさせないで」「あんたは俺達が一緒にいたらとても楽しいって解ってるのかい」「でもそれは今だけ。これからは、人目をはばかるだけだわ」「俺は他の奴が俺達をどう見るかなんて気にしないさ。あんた達には解らないんだ」フォン爺が激しく言った「解る。お前達のそういう関係は軍隊の中ではとっくに銃殺だ」アフォンは怒った「なんだと。あんた達は権力を振りかざしてそういうことをするんだ。いっそのこと俺達二人撃ち殺せよ」母はアフォンの手を取って言った「アフォン、落ち着いて。聞いてちょうだい。もしかしたら私は今まで真のあの子を理解していなかったのかもしれません。もしかしたらあなたは確かに彼を真心で愛しているのかも知れません。ただ、私はお願いするのです。あなたの為、ロンズの将来の為に。彼と別れて」

ロンズは急いで帰ってきた「アフォン、起きろよ。見てごらん。うまい物を買ってきたよ」
アフォンの姿はなかった。置手紙があった「アフォン」外を見た「アフォン」彼はいなかった。

ロンズは新公園を探し回った。行きかう男達に聞いてまわった。だがアフォンの行方を知るものはなかった。ロンズは探し回りつかれてベンチで眠り、警察に捕まった。
フォン爺が身柄を引き取りに来てくれ、ロンズは家に帰った。
将軍である父親が待っていた。ロンズを跪かせ棒で打った。母親が心配して間に入った。
「言え。お前とあのならず者は一体どうした事なのだ。言え、言わんか」「私は彼を愛しています」「何だと。今なんと言った」フォン爺が止めに入った「将軍、気を落ち着けて。坊ちゃまは一時的にぼおっとなっているのです」「僕はぼおっとなっていない。はっきりしているんだ。僕は彼が好きなんです。僕はアフォンを愛している。僕は彼と一緒にいたいんだ」「恥知らずが!このばか者が!打ち殺してやる!」将軍はロンズを叩きつけた。母が止めた「やめて。充分です。子供を殺してしまうわ」「見ろ、お前が育てた子だ」「ロンズ。早くお父様にあやまって。もう二度と過ちは犯さないと言いなさい。もう二度とあの人を探さないと」「嫌だ。僕はアフォンを探す」フォン爺は叫んだ「坊ちゃま。もう目を覚ましてください。彼はもうあなたと別れたのです。あなたが彼を探してどうするのです」「何だと。あんた達がアフォンを隠したのか。そうだな、フォン爺。アフォンを返してくれ」「ロンズ、あなたは彼の為に父母すら顧みないと言うの」「そうだ。僕はアフォンが必要なんだ」「坊ちゃま」
「フォン副官」と将軍が言った「この畜生は私にまかせなさい」「将軍」将軍はロンズを捕まえた「お前がやらんと言うなら、私がやろう」
「パパ、パパ、お願いです」「将軍」「パパ、僕にはアフォンが必要なのです」「将軍」

アフォンは一人でロンズと一緒に歌った歌を口ずさんでいた。とても小さな声で。ずぶ濡れになったままの姿で。

原作:白先勇 監督:曹瑞原 出演:柯俊雄(李父)柯淑勤(李母)范植偉(李青)張捷(幼年李青)楊祐寧(趙英)金勤(小玉)阿鳳(馬志翔)龍子(トゥオ・ゾンファ)楊教頭(丁強)呉敏(張孝全)老鼠(呉懐中)林義雄(林茂雄)李昆(老周)






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2005年11月21日

[薛/子]子(ニエズ)第十二集・シャオミンの父、ロンズの父 前半

まだ入院中のシャオミンの所へ彼の父親が訪ねてきた。なぜ張さんの家から出てしまったのだ、と問いかける父に答えきれないシャオミン。
代わりに看病をしていたアチンが気を使って嘘をついて答えてやる。

アチンはワン・クイロンに電話をかける約束をしていながらかけきれずにいた。そんな時シャオユイとラオシュウが来てあのレストランの意地悪な先輩をいきなり襲って仕返しする事にした。顔を知られていないラオシュウが近づいていきなり先輩に袋をかぶせて3人でぼこぼこにしてやったのだ。ところが間抜けなラオシュウは逃げる際にご丁寧にも「行くぞ、アチン」と叫んだものだ。

公園へ逃げのびて間抜けなラオシュウを小突いていると今度は楊教頭が来てラオシュウに食ってかかった。客からものを盗んで師匠の顔を潰した、と言うのだ。盗んだ物を返そうとポケットから物を取り出すラオシュウの腕をアチンが見た「それはなんだい。見せなよ」「あの爺がタバコの火で火傷させたんだ」楊教頭は驚き「何故それを言わない。奴から医療費を出させねばならない」
楊教頭はシャオミンの父親が帰って来たときいて訪ねることにした。
シャオミンの父さんはアチンの嘘は見破っていて、何故自殺しようとしたのだと聞く。が、シャオミンは聞かないでというばかりだった。
楊教頭は3人を連れてシャオミンの部屋にやって来た。シャオミンの父親と挨拶すると「噂はシャオミンの手紙で知ってました。あなたは何の師匠なのですか」これに困った楊教頭はだがすらすらと、彼らには風水や相を教えています、と答え、シャオユイもこれに乗って「そうです、ウーおじさん。師匠は道理や忠孝節義礼儀などを教えてくれます。これらをしっかり記憶し実行するのです」シャオミンの父はすっかり感心し楊教頭に感謝する。

シャオユイは化学の勉強を続け、アチンは熱心に本を読んでいた。目ざといシャオユイはそれは何だと聞き、ワン・クイロンからもらった小説だと知ると、色々と訪ね始めた。幸運だなあ、伝説の男と出会うなんてロマンチックだよ。アチンは煩がり、楊教頭には話すなよ、と口止めした。
アチンは思うのだった。皆、ロンズとアフォンのことを大げさに言って王国の中のロマンチックな神話にしてしまっているのだ。僕だってただ好奇心を持っているだけなのだろうか。

アチンはロンズに電話をした。ロンズは大変喜び会う約束をした。
執事であるフォン爺は坊ちゃまがまた素性の知れない若者と付き合おうとしているのを怖れていた。ロンズはアチンはいい子だから大丈夫、と言うとフォン爺は「二人は同じ目をしています。あのアフォンと」

ロンズとアチンは約束どおり会って電車で出かけることになった。
ロンズは言った「君は来ないかと思った」「来ないつもりだった」「何故」「ある人が僕に忠告したから。あなたと付き合うのはやめたほうがいいと」「誰?」「僕の師匠。楊教頭だよ」「彼か。何か言ってた?」「何も。僕を心配しているんだ。あなたも師匠がどう見ているか気になるの」「僕が気になっているのは彼じゃない。君だ」「僕は来てるじゃない。僕達どこへ行くの」「君に見せたいものがあるんだ。僕とアフォンが住んでいた場所さ」

行き先はかつてロンズがアフォンと暮らした郊外のあばら家だった。
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2005年11月06日

[薛/子]子(ニエズ)第十一集・逃亡

新公園の池のほとりの椅子の上で眠るアフォン。細かい花模様のシャツを着ている。僕は彼に近寄り、その顔にそっとふれるのだった。
アフォンは目覚めて驚く。「あんただったのか」「君に会いたかった」
アフォンは池を見て「蓮の花が咲いてるよ」そして僕に蓮の花を摘んで欲しいと無理な事を言い出す。だが、僕は躊躇することなく池の中に入って花を摘みだした。まさか本当にするとは思っていなかったアフォンはあきれるが一緒に中に入る。
「一番紅くて大きいのを摘もう」
二人は蓮を摘み、水を掛け合ってじゃれあう。池の噴水が二人の身体にかかりアフォンは僕が手渡した紅い蓮の花を両手に抱く。そして両の手を天に差し伸べた、何かを欲するように。
その様子を楊教頭が見ていたのだった。
この場面はまた神話に相応しい美しさです。楊教頭はこの場面を見て何かが起きると感じたのでした。

僕はアフォンに明日3時に博物館の前で会おう、と約束して帰宅した。

僕がこっそり家に戻ると折悪しく父母と爺が廊下を歩いてきている所だった。厳しい父の言葉に僕は固くなる。見かねた爺が助け舟を出し、それも父は気に入らないのだった。
父親が離れたところで母親が言い出した。「明日はお父様がツァオさんを食事に招待しているの。娘さんはコロンビアで経済の勉強をしているわ。知り合いになったら、学校の事を聞けますよ」ロンズは驚き「明日は、僕は・・」しかし母親はまたお父様を怒らせたらどうなると思うの、と諭した。
次の日、ワン家にツァオ夫妻と娘が訪れ、僕は抜け出す事ができない。夕食になっても僕は落ち着かなかった。
その頃、アフォンは3時からずっと博物館の前で僕を待ち続けていた。楊教頭がその様子を見て心配し声をかけた。そして占いによって(楊教頭は占いを生業にしているのだ)アフォンにとってロンズとの出会いは凶となる。今、別れればまだ救いがある、と説いた。アフォンは信じないと言い放った。

僕は食事中、ついに我慢できず立ち上がった。母親が驚いてとりなす、がその時外で男たちが言い争う声が聞こえた。
僕が急いで外に出ると、衛兵たちにアフォンが捕まっているではないか。そしてアフォンが叫んだ「騙しやがって、ずっと待ってたんだ」後から父母や爺、客たちも追って出て来た。「アフォン、すまない」母「どうしたの、この人は誰」爺「坊ちゃま、どうされたのです」僕は爺の手を振り切った「放してくれ」「クイロン」と叫ぶ母。「アフォン、行こう」僕は皆が見ている前でアフォンの腕を掴み、走った。
僕はアフォンを掴んで、夜の中をめちゃめちゃに駆けた。どこへ行くべきか解らなかったが怖くはなかった。僕は自分に言った、ただアフォンと一緒であればいい、と。何もかまう事はなかった、何も気にする事はなかった。

電車に乗りどこかへ向かった。僕はアフォンと並んですわりアフォンは黙って僕の肩に手をまわした。僕はその手を握った。アフォンと僕は指をこすりあわせ、互いの存在を確かめあった。

二人は田舎の小さな掘っ立て小屋にたどり着く。誰もいない草原で二人はまたふざけあう。さんざんじゃれあって倒れこむとアフォンがそっと歌を歌いだし、僕がそれにあわせて歌う。懐かしい昔のわらべ歌だ。

ロンズの話が終わってアチンは聞いた「あなたはそんなにアフォンを愛していたのになぜ彼を殺したの」
ロンズは黙ったままアチンに本を手渡した「興味があったら読んでくれ」そして「もし君に暇があったら付き合ってくれないか」と言って電話番号を渡した。

アチンがシャオミンを見舞うとラオシュウが付き添っていた。シャオミンは何か心配事があるようだった。アチンが問うと刑務所にいた父親が出所したと言う。アチンがよかった、というと、シャオミンは父は監視されている間はいいが、でてきたらどうなるか解らない、と言って悩んでいたのだった。
そこにシャオユイがやってきてシャオミンに林さんからもらったという高価な薬を手渡した。その身なりのよさにラオシュウは「まるで日本の宝塚歌劇団のようだ」とからかった。

シャオユイは売り払った老周のネックレスをラオシュウに頼んで買い戻した。
公園には年取った男がいてこちらを眺めていた。ラオシュウはシャオユイに目配せするがシャオユイは「あんなハゲ」などと言って相手にしない。ラオシュウは「いい腕時計をしてるよ」と言って近づいていった。シャオユイはあきれて離れて行った。
男はラオシュウの裸を見て気に入ったようだった。ラオシュウが値段を言うと男は渋ったが、止めようとすると承諾した。男はタバコを吸いながら、ラオシュウの手を美しいと褒めた。そしてタバコの火を押し付けた。ラオシュウは悲鳴をあげた。
男が眠ったのを見てラオシュウは財布を取り、めぼしい物を探った。そして男の腕から時計を外した。男は気づかなかった。

ラオシュウは兄貴に捕らえられている可哀想な少女の部屋を伺った。「飴だよ」女の子は食べた。「プレゼントもある」あの男から取ったネクタイピンを放った。「きれいだろ」女の子はうれしそうに笑った。

シャオユイは老周を訪ねた「あやまりにきたんだ」老周はいぶかしんだが、シャオユイは1年間、面倒を見てくれたことを感謝した。老周は若者は勝手だとこぼしたが、今までの事はなかったことにしよう、と言い出した。シャオユイはもらったネックレスを返し、部屋を出て行った。

シャオユイは母親を林さんの会社につれて行き、林さんに紹介した。林さんはこころよく部屋へ迎え入れてくれた。シャオユイのママは興奮し、大声で会社を褒めちぎり、林さんを褒めちぎった。そして勢いあまって林さんの口に持ってきたお菓子を詰め込み、林さんを苦しめた。
シャオユイは母親を引っ張り出し、おおいにむくれた。ママは「わざとじゃないわ」と言ってすねる。「あなたをよくしようと思ってしたのよ」
帰ろうとする母にシャオユイはお金を手渡した。「お金はあるわ」「給料は充分もらっているんだよ」「ユイちゃん、あなたはほんとに大きくなったのね」

原作:白先勇 監督:曹瑞原 出演:柯俊雄(李父)柯淑勤(李母)范植偉(李青)張捷(幼年李青)楊祐寧(趙英)金勤(小玉)阿鳳(馬志翔)龍子(トゥオ・ゾンファ)楊教頭(丁強)呉敏(張孝全)老鼠(呉懐中)林義雄(林茂雄)李昆(老周)
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2005年11月04日

[薛/子]子(ニエズ)考

ぼちぼち書いていくつもりだった「ニエズ」つい勢いついてとうとう十集まで来ました。最後まで待てないのでここでちょっと感想を。

このドラマの凄い所は色々あるんですが、一つは出演者が他のドラマで演じている時より、このドラマの中で抜群に輝いて見えるということ。
例えば主人公の阿青(アチン)役のファン・チーウェイ、他のところで見るより格別に美しい。射るような眼差しといい、表情といい、時々はっとするほど魅力的ですね。今記事で書いてる阿鳳(アフォン)なんて凄く素敵なので他のドラマ見たら「あれ?」って感じで(ごめん)まさに「ニエズ」の中の神話だと言えましょう。
小玉(シャオユイ)の金勤は「17歳的天空」でもあまりイメージ変わりませんでした。お気に入りの小敏(シャオミン)=張孝全については当ブログ・カテゴリ「火線任務」でも取り上げています。ひいき目かあまり印象は変わっておりません。でも「ニエズ」の時は結構むちむちしてますね。張さんがあんなに冷たくするのが全く理解できません。私ならめちゃくちゃかわいがっちゃいますけどね。

「[薛/子]子(ニエズ)」についてご存じない方に説明すると(といっても詳しくはないが)台湾のドラマであり、70年代の台北を舞台に同性愛者である若者たちの生き様を描いているものだということ。
家出した主人公アチンが逃げ込んだ新公園では男たちが相手を見つけようと毎晩さまよい歩いているのでした。売春をしている、とも言われるのですがアチンは気に入らない相手は近づけないし、仕事はしてるし、シャオミンが売春をしていた時は怒っていたので、彼は売春と言うのは(ドラマを観てる分では)当てはまらないと思いますね。シャオミンは張さんの家で食べさせてもらっているのですが、それは売春というのかどうか。少なくとも家事はしてるし(笑)(ところで今頃、気づいたのですが、この張さんとシャオミンの関係と言うのは「藍宇」の主人公たちと似てますね。保護者が金持ちで自分勝手、少年の方がかいがいしくつくしていて忠実で、田舎から都会に出てきたという設定、体が大きい所。二人がくっついたり離れたりするとこなんかも)

一番売春らしいことをしてるのは一番それらしくないラオシュウです。顔はかわいいんですけど、いじめられ続けて育ったせいなのか何か精神的に欠けているところがある少年ですね。それだけにこの子の境遇も切ないものがあるな、幸福になりきれないとことかも。ただしいい所もあってそれは今後の話になります。
シャオユイは金持ちの老人を騙してる悪い子ですが、それも全て日本いる父親に会いたいがため、というまた切ない願いを持っているのです。なんかひとところに落ち着かない性格なのですが、どこでも生きていけるような感じでもありますね。

(ここまで書いて眠ってしまったので、続き書きます)

不思議なのは少年同志は恋仲にならず(アチンとジャオ・インは別として)必ずおじさんと少年なのです。アチンたち仲間は恋人同志にはならなくてむしろ兄弟なのですね。つまりここでも彼らが家族愛に飢えているのがわかるんですが。文字通り師父を父とし、師兄弟は兄弟なわけです。も少し言えば、このドラマの中で「恋」といえるのはロンズとアフォンだけであって、他は恋愛とは言えないような気がする。
父・母・兄弟に対する愛情と言うものが何と言ってもこのドラマのテーマなのでした。

そして台湾における日本のイメージと言うのもこのドラマでよく表現されているのではないでしょうか。アチンの父が言う「日本鬼子」と言う言葉と、シャオユイとその母が持つ日本人(日本華僑)に持つ怒りと憧れと愛情。シャオユイがどうしても日本に行くという思いは憎しみだけでなく憧れも感じられます。また他の登場人物から語られる日本と言う国へのイメージは結構愛情が感じられて何ともこそばゆい感じもするのでした。例えば林さんの口から語られる話などからも。

後半もドラマはここに上げたテーマをますます深く掘り下げていくことになります。全二十集なのですが、よろしければお付き合いください。

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2005年11月03日

[薛/子]子(ニエズ)第十集・阿鳳(アフォン)

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出かけようとするロンズにフォン爺が声をかける「坊ちゃま、台北は物騒ですよ、車で送りましょう」ロンズは笑いながら「僕は今までニューヨークに10年いたんだよ。待たずに休んでくれ」

アチンはシャオユイの化学の勉強を手伝っていた。が、さすがにシャオユイはもう退屈し始めたようだ。
そこへ老周が訪ねて来たではないか。久し振りに会えたシャオユイにしつこく話しかける。シャオユイは煩くなって冷たくあしらってしまう。老周はあの日本華僑のせいかとシャオユイを攻め立てる。林さんを悪く言われかっとなったシャオユイは「あんたは死んだ奥さんのベッドで僕に何をしたのさ」老周はついシャオユイの頬を叩いてしまう。シャオユイは買ってもらった服を持ってきて老周にぶちまけた。老周はなす術もなく哀れに泣きながらその服を持ち帰るのだった。それを見ていたアチンはさすがに頭に来て「シャオユイ、君は張さんをののしったけど、今の君のやり方は同じじゃないのか。もう手伝わないよ」そう言って出て行った。

新公園ではロンズが将軍である父親の葬儀のために台湾に帰ってきている、と言う噂がしきりに交わされていた。「すっかり人が変わったが、あの目は十年前と同じだ」アチンが誰の事を言ってるのと聞くと「ロンズだよ。十年前、林の中でアフォンを殺したあのロンズさ。ワン・クイロンだよ」師父はロンズは気が狂って精神病院へ入ったのかと思っていた。
皆から離れた池のほとりでアチンはグオ老に会う「彼はとうとう戻って来たのだな」

アチンは再びロンズに会った。二人はロンズの部屋の大きなベッドの上で色々な事を話した。アチンは好きだった友人に会ったことも話した。ロンズは親身にアチンに答えた。
アチンはアフォンのことを聞いた。ロンズは驚いた「何故彼を知っているの」「あなたとアフォンのことは公園では神話になっていますよ」「そうか、君とアフォンは同じ魅力的な目をしている。ずきずきと痛みを持った目だ」そしてロンズはアフォンのことを語りだした。

僕は25歳のあの夜、会社の仕事で留学する準備をしていた。蒸し暑い夜だった。天は暗く雲は低く垂れ込めて湿気でよどんでいた。
僕は将軍である父の前では緊張を強いられた。そんな僕を母とフォン爺がいつも助けてくれるのだった。
僕は父から逃げ出したかった。ただどこへ逃げていいのかはわからなかった。止めるフォン爺を振り切って私は外へ出た。傘だけを受け取って。公園の建物の前で大雨が降り出した。慌てて屋根の下に入ると、そこここで男たちが寄りそいあい話し合っていた。僕に近づいてくる男がいた。僕は恐ろしくなって逃げ出した。
土砂降りの雨の中僕は歩いていた。どこからか泣き声が聞こえる。激しく降りしきる雨の中、木の下に座って若い男が泣き叫んでいた。心が裂けてしまうかのように。燃えるような赤いシャツを着たその男は子供のように泣きじゃくっていた。
僕を見ると男は泣き止んで僕を刺すような目で見た。僕は怖れてその場を去ろうとしたが、去りがたく振り返った。が、男の姿はなかった。僕は慌てて男の姿を探した。男は突然現れ目の前にたった。「俺をさがしてるのか。あんたは見たことがないな。あんたの目はとてもいいね」「何故泣いていたんだい」「胸が痛んで張り裂けそうだからさ。信じないのか、そら解るだろ」そういって僕の手をとり彼の胸に押し付けたんだ。僕はたじろいで「ずぶ濡れだよ」と言って傘をさしかけようとした。彼はその傘を乱暴にもぎ取って投げ捨て僕にキスをしたんだ。激しく何度も何度も。僕も彼の身体を抱きしめ二人は雨の中で抱きしめあった。
そしてとある宿で愛し合ったんだ。一度目が覚め。出ようとしたが、彼は僕の身体をきつく抱きしめて離さなかった。僕も無理にその手を解きはしなかったんだ。次に目が覚めたとき、彼の姿はなかった。僕は慌てて服を着てはっとした。財布が無いのだ。ベッドの下にも。
外へ出て、公園を探したが彼の姿はなかった。仕方なく僕はそのまま会社へ出かけた。

会社にいると騒ぎ声が聞こえた。なんと言うことだあの若い男が会社へやってきているのだ。あの赤いシャツを着て。僕は友達だと嘘をついて彼を外へ押し出した。頭にきていた。彼は馴れ馴れしく財布を取り出し僕に渡した。「凄い財布だな。名刺はみんな英文字だ」「何故盗った」「盗っちゃあいないさ。ベッドの脇で拾ったんだ。タバコを一つ買って飯を食ったけどね」「金がいるならそら。足りないか?」そう言ったとたん男は怒って僕の胸ぐらをつかんだ「俺が金が欲しいって言ったか。俺はただあんたを知りたかっただけだ」そう怒鳴りつけ、出て行った。僕は突然怒りが消え、彼を追って外へ出た。

彼は脇の狭い路地に座り込んでいた。「すまない。そんなつもりじゃなかった」「かまわないよ。俺、もともと売ってたから」「そんなつもりで言ったんじゃなかった。座ってもいいかな」「好きなように」僕は彼のタバコを吸い、きつくてむせた。彼は「お坊ちゃまだな」と笑った。「君はなんて名前なの」彼は名前を言いたがらなかった。「俺の名はあんたの名前に関係してるよ。いけすかないけど」「虎、と言う字がついてるのだろ」彼は笑って「阿鳳(アフォン)」「アフォン。いい響きだ」「院の修士が女性名から取ったんだ。これでいつも馬鹿な奴らから笑われてしまう」「それは違うよ。鳳は雄だ。凰が雌だよ」「じゃなぜ昔の人は言うのさ。龍と鳳は夫婦だって。龍が雌じゃないだろ」「僕たちだってそうじゃないだろう」といいかけて僕は言いよどんだ。「さっき言った院の修士って何なの」「孤児院の修道士さ」「じゃ今君はどこに住んでるの」「ついて来るかい」
アフォンが連れて行った場所は新公園の池のほとりだった。「ここが全部俺のうちさ。綺麗だろ。この東屋が俺の部屋で、あの博物館が客室だ」「何故落ち着く場所を探さないんだ」「ダメかい。自由自在だ」「アフォン。僕に君の面倒を見させてくれ」「会ったばかりだぜ」「僕たちは充分心を開いたよ」「家ってのは俺には意味がないんだ。俺はすぐ飛び出してしまうから」「僕たちはずっと互いを好きでいられないかな」「好きってなんだい」「ずっと一緒にいたいということだ」「よし、じゃキスしてよ」僕はたじろいだ「ここでかい」「あんた俺が好きじゃないのか。証明してみせてよ」「しかし真昼間だ」「夜は何でもするけど、昼は何もできないか」アフォンはもう興味がないと言いたげだった。僕は迷った。が、彼を失いたくなかった。勇気を出して頬にキスした。アフォンはちょっと驚きながらもあきれたように言った「それだけかよ。そんなんじゃねえよ」僕はアフォンの唇にキスをした。何度も何度も。きつく抱きしめながら。

僕が家へ戻るとフォン爺が心配していた。お父上には何とか隠して母上様がお待ちです。僕は昨晩帰らなかったことを母が知ったことにいらだった。母は心配し女の子と会ってるのなら紹介しなさい。僕はただ友人と話をしていただけだと言った。母はこのことはとても隠せないわ。お父様が知ったら大変立腹されるとわからないの、とこぼした。僕はあやまり部屋へ戻った。
僕の心はまるで火のように静めることができなかった。頭の中はアフォンのことばかりだった。彼に会うことを考えていた。彼を知ったのは僅か一日の事に過ぎなくても僕の心は解っていた、僕たちは一生を運命付けられていると。

真っ赤なシャツを着たアフォンの鮮烈な登場。激しい雨の中でロンズはたちまちに魂を奪われてしまう。まったくこのアフォンの魅力に惹きつけられてしまう。ロンズが言う目の輝きも何を考えているのかもわからない野生児的な要素も。確かにその表情には人の目を惹きつけて離さないものがある。雨の中水を滴らせている時、ベッドの中での横顔、やっと打ち解けて話しているときも男の子らしい可愛らしさが炸裂しているではないか。
新公園の神話に相応しいアフォンの奔放さに魅了されてしまうのだ。

原作:白先勇 監督:曹瑞原 出演:柯俊雄(李父)柯淑勤(李母)范植偉(李青)張捷(幼年李青)楊祐寧(趙英)金勤(小玉)阿鳳(馬志翔)龍子(トゥオ・ゾンファ)楊教頭(丁強)呉敏(張孝全)老鼠(呉懐中)林義雄(林茂雄)李昆(老周)
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2005年11月02日

[薛/子]子(ニエズ)第九集・再会

手首を切って自殺を図ったシャオミンは病院へ運ばれた。アチンが駆けつけると下にはシャオユイが待っていた。シャオユイは張さんへの怒りをぶちまけた。アチンはシャオミンの所へ急いだ。
シャオミンの傍には、輸血を下ばかりのラオシュウが座っていた。いきなり血を盗られたとぶつくさこぼした。
そこへ師父が走りこんできた。そして可哀想なシャオミンを心配して泣かんばかりに訴えた。「なんて馬鹿なことを!」その声を聞いて、シャオミンも泣き出してしまうのだった。
この場面でなぜかシャオミンは廊下に置かれたベッドに寝かされています。満員だったのでしょうか?

師父の家でも人騒動持ち上がっていた。師父の娘が未婚のまま妊娠してしまったのだ。母親は喚き、娘は泣き出した。母親はそんな男とは結婚させない、と言い張って堕胎を考えている。師父は驚き堕胎は身体を損ねるから止めるがいい、と説得する。そしてシャオミンのために金の無心をしようとしたが、あしらわれてしまい、とうとう金はもらえなかった。

シャオユイとアチンはリーユエ姐の仕事場へ行った。そこはアメリカ兵がたくさん遊びに来る店だった。リーユエはちょうどアメリカ兵と話をしていた。シャオユイたちはシャオミンの事を話し、何とかお金を都合してもらえないか頼み込んだ。いつものようにがんがん言い返すリーユエ姐だが、お金は渡してくれるのだった。「早く行きなさい、仕事中なのよ」リーユエ姐は突然ホームシックにかかったアメリカ兵をなだめるのに躍起だった。

シャオミンの病室を訪ねるとシャオミンは小声で張さんに会いたいと言う。シャオユイはお金を工面してきたのにお礼じゃなくて、そんなことを言うなんて、と憤慨する。まだあんなクズに会いたいっていうの。アチンはシャオユイをとりなすが、シャオミンはめそめそと泣くばかり。
師父がやって来て金はどうにかしよう、と言う。アチンはシャオミンが張さんに会いたがっていると言うと、師父は明日会ってみようと言い出す。そして言ってやらねば。

林さんの会社でシャオユイはアチンに珈琲を淹れて話をした。林さんは僕を学校に行かせてやるというんだ。僕は中学2年までしか知らない。アチン、君は化学は得意なの。アチンが化学は得意だったと言うとシャオユイはじゃ、先生になって教えてくれないか。テストに受かるように。そしていい成績をだせたら、林さんは僕を日本の会社に入れてくれるかもしれない。
アチンはシャオユイに参考書を買いに行こうと約束した。

師父とアチン、シャオユイは張さんの家へ行った。張さんの家には若い男の子がいて掃除をしていた。
師父はシャオミンがいかに張さんにつくしたかを訴えたが、張さんはそれが嫌だったのだ、元に戻るつもりは無い、とつっぱねる。かっとなったアチンがシャオミンはあんたのせいで自殺しようとしたんだというと、たわごとを、と言い返す。師父はあんたに期待をかけたのが間違いだったと言い、アチンはシャオミンに会ってくださいとお願いする。が、張さんは何も答えない。シャオユイはもう帰ろうと言うと待ってくれと張さんは「シャオミンが忘れて行った荷物だ」と小さなかばんを渡した。アチンは怒りが爆発し、張さんを殴った。シャオミンがあんなに思いつめて自殺しようとしても張さんには何も届いていなかったのだ。

シャオミンにそのことを話してもシャオミンは張さんはそんな人じゃない、というばかり。シャオユイはまたしても怒るしかなかった。

アチンは職場でまたもや先輩にいじめられついに止める事を決意する。グオ老から紹介を受けてアチンを預かった社長は引き止めたが、もうアチンの気持ちは変わらなかった。

アチンはラオシュウの部屋へ遊びに行った。例によって兄貴からひどく殴られるラオシュウ。アチンは兄貴をにらみつけるが、ラオシュウは慣れたもので気にもしていない。痛む身体を庇いながらアチンを狭い部屋へ招きいれ酒を注いだ。
どこからか女の子の泣き声がする。それはラオシュウの兄貴が買い入れたまだ14歳の少女だった。変態の男が買うのだと言う。二人は女の子が閉じ込められている部屋を覗き、飴玉を投げ込んだ。女の子が泣きながらも飴を食べるのを見て二人は喜んだ「可哀想に」とアチンはつぶやく。

アチンはシャオユイと参考書を探しに古本屋に来ていた。相変わらずふざけてばかりのシャオユイ。アチンは怒りながら本を眺めていると、古本屋の親父に何やら問いかけている青年がいた。それはジャオ・インだった。彼もアチンに気づいた。「どうしたの」と聞くシャオユイ。エ、彼が。
アチンはジャオ・インに話しかけた。「最近どうしてるの」「まあまあさ、きみは」「母が亡くなった」「お母さんを見つけたんだね。家には帰ったの」「いや」二人で同時に「きみ」と言いかけ笑った。ジャオ・イン近況を尋ね、アチンも聞き返す。ジャオ・インは卒業して外国に行くのだという「あの事件から父はいつも僕を見張っているんだ。これで逃げ出せるよ」アチンはその言葉にはっとする。「そうか」ジャオ・インは「アチン」とさらに話しかけた「ごめんよ」そしてアチンを抱きしめた「ごめん」震えるジャオ・インの肩にアチンは顔をうずめた。そして彼の身体を抱きしめた。僕はジャオ・インから抜け出す事ができたのだろうか、解らない。その思いは熱く、僕の心の深いところに根ざしているのだ。

この古本屋での再会の場面の切なさ。このときのアチンの眼差しはまたきらきらと輝いて美しい。ジャオ・インが親友をこのような苦境に落としてしまった事をあやまり、アチンを抱きしめる。その時のアチンの表情はまるで甘い言葉をささやかれているかのようにうっとりとしている。ほんの僅かのこの再会は心に残る陶酔感に満ちている。

原作:白先勇 監督:曹瑞原 出演:柯俊雄(李父)柯淑勤(李母)范植偉(李青)張捷(幼年李青)楊祐寧(趙英)金勤(小玉)阿鳳(馬志翔)龍子(トゥオ・ゾンファ)楊教頭(丁強)呉敏(張孝全)老鼠(呉懐中)林義雄(林茂雄)李昆(老周)
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2005年10月30日

[薛/子]子(ニエズ)第八集・ロンズ(龍子)

アチンは海辺で火を焚きながら母の言葉を思い出していた。
「母さんが死んだら、廟へ行ってお線香を上げ、仏様の前で私の罪を許してもらえるよう祈って。私は死ぬのは怖くない。怖いのは地獄でうける罰よ。私が苦しまなくてすむようにお願いしてちょうだい」
アチンは母の言うとおりに仏様にお祈りした。そして激しい雨の中、母の遺骨と写真を父の住む家へ持って行った。
父は、留守だった。アチンは塀を乗り越え父の座る机に母の遺骨を置いた。着ていた雨がっぱを脱ぎ、アチンは部屋を眺めた。壁には若い父と母が仲良く並んでいる結婚の時の写真が飾られている。一度、父が怒って割ってしまったものだが、今ではガラスも替えられていた。自分とディーワーが寝ていた狭い部屋はそのままで寝台の上には二人の服が畳んで置かれてあった。アチンはソファに座り何かを考えているようだ。あれほど怖れていた父親に会う決心をしたのだろうか。だが、父は帰ってこず、アチンは家を後にした。手紙と母の残した指輪を置いて。
追い出されたあの道をまた走って行ったのだった。

夜になり父は帰宅して手紙を読み、置かれていた妻の遺骨を胸に抱いた。黙ったまま二人の結婚写真を見てあやすように遺骨の入った包みを持ち身体を揺らしているのだった。

激しい雨の中、アチンは一人新公園の木の下に座っていた。ずぶ濡れになったままで。そこに一人の男が通りかかった。男は驚いたようにアチンを見つめていた。アチンは悲しみの眼差しで男を見返した。アチンは歩き出し、男は後を追った。男がアチンに追いつき、アチンも男を見た。男の指がそっとアチンの顔に触れた。アチンは黙ったまま男の肩に顔を寄せた。

このときのアチンはすばらしく美しいです。この時点では解らないのですが、男はこのときアチンにかつての恋人アフォンを重ねて驚いたのです。戦慄が男の身体を走ったのでしょう。それに相応しくアチンの表情は悲しみに満ちていました。
そして今回ほぼここまで、殆どセリフのない描写で表現されています。

身体を拭きもせず二人は一室で抱き合った。男は何か取りつかれたかのように激しくアチンを求めた。が、アチンは突然あやまって身体を離す。男も謝って君を驚かせたね、と言うのだった。男はアチンに年を聞き、アチンは18だと答える。
男は10年前、ある人を知った。その子も18だったよ。あの晩、君のようにあの木の下にいた。全身ずぶ濡れで、辛そうに泣いていた。私は彼に聞いた。何故泣いているのか、と。彼は答えた。胸が痛いのだ、泣かないと苦しいのだ、と。変な子だった。君は何故泣いていたの。
アチンは先日、母が亡くなったのだと答えた。母はずっと前に家出していてやっと見つけて看病できたのは僅かだった。でも泣きはしなかった。
男も話をした。「フランスの小説を思い出したよ。母親を失った日、女と出会い愛し合う。そして皆が理解できない理由で人を殺す。太陽がまぶしかったから」「おかしいよ」「もしかしたら、道理のない世界にもともと多くの事があるのかもしれない。常識は通用しないのだ。僕のように。僕も父を先日亡くした。泣かなかったよ。葬列にも参加しなかった。墓の場所も知らない。もう10年戻ってなかったので台北の街並みも変わってしまったよ。つい先日アメリカから戻ったんだ。自分の家すら解らなかった。」「あなたは留学生なの」「違う。逃亡していたんだ。10年前父が言った。私がこの世にいる限り、戻る事は許さん、と」「どんな間違いを起こしたの」「蓮の花さ。知ってるかい」「詳しくないけど、お役所が全部抜いてしまったって聞きました。とても綺麗だったそうだけど」「美しかったよ。あの時僕は蓮を摘んでその人に渡した。彼の手の中でその花はまるで炎のようだった。その時彼は君と同じ18歳だった」「僕は行くよ」「家に戻るの」「追い出されたんだ」「君も追い出されたのか。また会えるかな。名前は」「アチン」「僕は、ワン・クイロン(王kui龍)」


アチンは自分の部屋へ戻るが、シャオユイは留守でリーユエに仕事仲間が遊びに来ていた。アチンがゲイだということで口の悪い一人がからかった。心がいらだっていたアチンはかっとして怒鳴りつける。いつもにないアチンの様子にリーユエは心配して訊ねる。アチンは母が亡くなったといって泣き出した。母も弟もいない。どうしたらいいのかわからない。リーユエは優しく頭を撫ぜてくれた。

ワン・クイロン=ロンズは部屋の整理をしていた。手紙の束などと一緒にシャツは入っていてその中の花柄のシャツをそっとロンズは撫ぜた。それは愛した人が着ていたものだった。
そこへ爺やが入ってきた、ワン家でずっと働いてきた老人だ。ワン家の行く末とともに跡取りである一人息子のロンズ坊ちゃまの事を心配していた。
「父は死ぬ際に僕のことを許してくれたのかい」だがフォン爺は忙しいからとその場を立ち去ってしまった。

アチンは職場でウエイターの仕事をして、もらったチップをあの意地の悪い先輩に取られてしまいそのうえ殴られてしまう。むしゃくしゃしているアチンはつい先輩を殴り返してしまう。その様子を社長に見られ注意を受けた。
アチンがくさくさした状態で公園に座っていると、シャオユイとラオシュウがやってきた。シャオユイはもう林さんのところで働いているのだ。アチンは二人に不満をぶつけた。
そこへ呆然としたシャオミンがやってきた。張さんのことですっかりしょげているのだった。その様子にシャオユイはむかっ腹をたてて、死んでしまえば?張さんになぶり者にされてさ、どうせ生きてても死んでるのと一緒さ。これにシャオミンは「僕は馬鹿かも知れないけど、ホントに何故ダメになってしまうのか解らないんだ」シャオユイは「どうせ他の奴に心変わりしたのさ」などと言うからアチンはなだめて皆でいつものようにローラースケートをして楽しんだ。
アチンは思う「僕はあの人から逃げ出した。彼の目は原始林の中で燃え盛る二つの野火のようだ。執拗で切実だ。まるで命がけで探り求めているようだ。何を求めているのか。僕は不安と動悸を覚えた」

シャオミンが大好きな風呂に入っていると張さんが浴室に入ってきた「背中をこすってやろう」などと言い出す。「相談したい事がある。このままずっとはやっていけない、ということだ。私はお前に明日出て行ってもらいたいのだ。お前を傷つけたくなくてずっと我慢していたのだが、このままでは私自身が壊れてしまう」シャオミンは泣きそうになり「悪い所があるなら改めますから、言ってください。別れたくありません。努力します。追い出さないでください」手をつかんで話さないシャオミンをついに怒鳴りつける張さん。シャオミンは思わず手を離し泣き出した。「私が仕事から帰る前にいなくなっていて欲しい」

シャオミンは誰も気づかない場所で手首を切った。その手首を押さえながらシャオミンは座り込んでいた。

どうしようもないシャオミンが切ないです。この頃のシャオミン役・張孝全はむっちり肥えていて可愛いです(太ってるわけじゃないですが)びしっとはねつけるシャオユイも気持ちいいんですが(彼は強いからですね)アチンはひどく落ち込んでいたのにシャオミンが泣きそうになりながらやって来ると心配してしまうので本当に世話焼きなんですね。

そしていよいよワン・クイロンの登場。彼の思いつめた目は何を見ているのか。今後彼から目が離せません。

原作:白先勇 監督:曹瑞原 出演:柯俊雄(李父)柯淑勤(李母)范植偉(李青)張捷(幼年李青)楊祐寧(趙英)金勤(小玉)阿鳳(馬志翔)龍子(トゥオ・ゾンファ)楊教頭(丁強)呉敏(張孝全)老鼠(呉懐中)林義雄(林茂雄)李昆(老周)
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2005年10月23日

[薛/子]子(ニエズ)第七集・シャオミンと張さん

アチンはシャオミンに「父の家に手紙を置いてきてくれないか」と頼みに行った。母親が死にそうだからと。シャオミンは引き受けてくれた。

アチンが母の看病をしていると大家のおばさんがアチンに耳打ちした。溜まった家賃を払ってくれないかと。可哀想だとは思っているけどね。アチンはしばらく待って欲しいと頼んだ。が、母親は、このあばら家で金を取るなんて、とののしる。

シャオミンは彼を住まわせてくれてる張さんに懸命につくす毎日を送っていた。張さんもシャオミンが料理の腕前を上げていることを褒めた。シャオミンはうれしくなっていつもはしないのに、弁当をつめて張さんの会社へ持って行ったのだ。
弁当を持ってきたシャオミンを見た張さんは動揺していた。同じ部署の女性たちの前で慌てて弁当を受け取るとシャオミンを外へ追い出した。何をしに来たんだ。もうこんな事はするんじゃない。早く帰りなさい。

良かれと思ってやったことで厳しく怒られたシャオミンは思い悩んだ。そこへアチンが通りかかった。「ぼくの手紙届けてくれたかい」「うん」「父は何か言ったかい」「何も」アチンはシャオミンに金を持っていないかも訊ねた。シャオミンはなけなしの金をアチンに渡した、自分は張さんに世話になってるからいらない、と言って。
シャオミンがアチンに訊ねた「ぶらつかないか」「どこへ行きたいの」「どこでもいいんだ」
夕暮に二人は話し合った。シャオミンが聞く「家の事を考える?」「弟のことを考えるよ」「君に似てるの?」「いや、君に似てるよ」「おかしいよ」「ほんとうさ」
二人は川に向かって石を投げた。アチンは「君の負けだな」二人は笑いながら自転車で競争して遊ぶのだった。

シャオユイは林さんを連れて台北を案内して回った。
林さんは母校を訪ねた。彼は親友だった呉春[日軍]を思い出していた「瞬く間に30年がたってしまったよ」林さんはシャオユイに話しかけた。「ウー・チュンフイと私はよくここで本を読み、疲れると将棋をさした。彼とは兄弟も同然だった。彼と約束をした。日本で医学の勉強をして台湾に戻ったら診療所を開こうと。が、戦争が始まり、私は大陸で長い間過ごした」「では彼は一緒ではなかったのですか」「彼は南洋へ行ったのだ。今まで消息を知らないのだよ。生きてるかどうかすら知らないんだ」「彼はどんな人なんですか」「私が知ってるのは彼の若い時だからね。おや、君にちょっと似ているよ」「それなら僕が彼を探しますよ」「君は面白いことを言うね。こんなに長い年がたってしまったんだ。もう会っても解らないよ」「大丈夫。きっと見つけられますよ」「お伽話のようなことだな」「僕はまじめですよ。あなたは僕にとても良くしてくれた。僕はご恩に報いるため、きっと彼を探しだしますよ」「君のその心だけで私はうれしいよ」

周さんは見かけなくなったシャオユイを探しまわっていた。ラオシュウとアチンが周さんに捕まってしまい、「シャオユイのお母さんが病気なんだ」と嘘をならべたてていると折悪しくシャオユイが来てしまった。喜んで駆け寄る周さん。が、シャオユイが香水をつけているのを嗅ぎ取るととたんに「誰に会ってた」と嫉妬する。シャオユイは持ち前の機転で「お母さんの看病をしていて、薬代も無いのに周さんからも皮肉を言われるなんて」とすねる。とたんに周さんは「私が悪かった」とシャオユイにたくさんのお金をぽんと渡すのだった(アチンが欲しがっていたのと同じ金額)

楊教頭は3人を連れて(シャオミンは来れなかった)林さんの招待の食事会へ行く。その時落ちていた新聞を見て楊教頭は、はっとする。将軍が亡くなったのだ。将軍は新公園の伝説の恋人たちの一人ロンズの父親だった。

楊教頭たちは林さんに上等な食事をご馳走になる。その頃、シャオミンは帰ってこない張さんをひたすら待っていた。とうとう風呂に入った時、張さんが帰ってきた。慌ててよく拭きもせずあがってくるシャオミン。張さんは昼間のことでかんかんに怒っていたのだった。シャオミンが用意しようとする夕食も冷たく断り、また外出すると言う。こんなに遅く、と言うと「私の生活に干渉するのか」と激しく怒鳴りつけた。シャオミンはごめんなさい、とあやまり言い訳をしたが、張さんは聞こうともしない。探している黒いシャツが見つからずまたいらだっていた。シャオミンは黒いシャツを探して張さんに着せてやる。ボタンをかけてやろうとすると張さんはその手を撥ね付け出て行った。残されたシャオミンはどうしようもない心をもてあましていた。

林さんはシャオユイを非常に気に入ってまたその不安定な生活を気にかけていた。そこで楊教頭にシャオユイを是非自分の会社にいれて勉強をさせてやりたい、と申し出るのだった。教頭は驚き、シャオユイは「では懸命に勉強したら、日本の会社へ行くこともできますか」シャオユイは日本へ行けるかもしれないという期待に必ずがんばる、と言うのだった。
アチンは先に失礼します、と席をたった。教頭は部屋の外までアチンを見送り「こんな大事な時、何故私に相談しないのか」と言ってアチンにお金をくれた。アチンはお礼を言った。

アチンの母はすっかり弱っていた。アチンが持ってきた上等の料理ももう口にはいらないのだった。
その時、母は外に誰かの気配を感じた。アチンが覗くとそれは父親だった。アチンが手紙を出したのだから当然なのだが、アチンは動揺した。父が怖かった。父の「誰かいますか」の声に母は気づき叫んだ「彼を入れないで」「リーシア、私だいれてくれ」が母は泣き叫び決して入れようとしなかった。父もあえてその間を閉ざす薄い一枚のカーテンを開けようとはしなかった。その破れたカーテンが3人を隔てていた。アチンは声を出さず、父はアチンにも気づかないまま帰っていった。
母はアチンに痛みを訴えた。薬を取ってくるよ、と言っても離れることを怖がった。母は何かが見えていてそれを怖がって追い払った。「アチン、彼らを追い払って、私を捕まえようとするの」アチンは見えないそれに向かって手を振り払った「母さん、僕が追い出すよ。怖くない。あっちへ行け。僕の母さんを脅かすな。行ってしまえ」「行ってしまった?」「みんな行ったよ」「アチン、覚えていて。廟へ行って仏祖にお願いして。私の罪を許してくださるように。そして私を家へ連れて帰って。お父さんにお願いしてディーワーの側に埋めて欲しいと」「母さん、もう話さないで。目を閉じて休むんだよ」「アチン。あなたとディーワーが小さい頃、私がいつも歌って聞かせたわね。今、私に歌ってきかせて」アチンは静かに母がいつも歌っていたあの歌を歌った「風はそよそよと吹く。ひとり池のほとりで思い沈む。一面の睡蓮の花は静かに露の滴りを待つ」静かに目を閉じた母にアチンはしがみつき泣いた「母さん」

夜の海辺でアチンは火を焚いた。寂しい最後を迎えた母の葬式をアチンは一人で行ったのだろう。

ずっと疎まれ続けた母の最期をアチンは見取った。暗い海辺で母を送る場面は印象的だ。

シャオユイがすっかり好きになってしまった林さんの思い出話は切ない。アチンはシャオミンに弟の姿を重ね、林さんはシャオユイに若き日の親友の姿を重ねている。

いくらつくしても却って心が離れてしまうシャオミンの恋は悲しい。恋、なのか家族愛なのかよく解らないが。この張さんくらいむかつく人もいない。

原作:白先勇 監督:曹瑞原 出演:柯俊雄(李父)柯淑勤(李母)范植偉(李青)張捷(幼年李青)楊祐寧(趙英)金勤(小玉)阿鳳(馬志翔)龍子(トゥオ・ゾンファ)楊教頭(丁強)呉敏(張孝全)老鼠(呉懐中)林義雄(林茂雄)李昆(老周)
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2005年10月16日

[薛/子]子(ニエズ)第六集・老鼠(ラオシュウ)

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老鼠(ラオシュウ)

ラオシュウの兄・ウーヤーはラオシュウを育てて来たということをいつも持ち出し、彼をこき使っては殴る蹴るを繰り返す毎日だ。ラオシュウはその性格であっけらかんとしてはいるのだが。
ラオシュウはアチンたちを家に呼んだ。シャオユイは周さんからもらった金鎖を見せる。ラオシュウは値段に詳しいのだ。シャオミンが咎める。周さんがくれたものを売るなんて。シャオユイは日本に行くには金が要るのだ、と答える。シャオユイはいつも日本にいる父親に会うことを考えているのだ。
ラオシュウは皆を自分の部屋に連れて行く。そこは階段を上った物置のような狭い空間だ。4人が座ると隙間もないその中に座って4人は取り留めなく話をする。
が、ラオシュウは兄に給仕を命じられ急いで行く。が、こぼしてしまいたちまち兄に蹴りつけられる。アチンはずっと蒸し暑い台所で痛む身体を押さえながら、申し訳なさそうに笑うラオシュウを忘れる事は無かった。

シャオユイはホテルのチウおじさんから林正雄という人が泊まりに来ていると告げられる。大喜びで名簿を見るとそれは林茂雄という名前だった。
がっくりしたシャオユイだが、ついその林さんの部屋の前に行ってしまう。ちょうどドアが開いて小柄な老紳士が出てきた。困って「ごめんなさい」と日本語で話すシャオユイ。が、紳士は台湾語で「誰か探してるのかね」と優しく問いかけた。驚いて「台語を話すんですか」「私は台湾人だよ」「僕、階を間違えました、恥ずかしい」エレベーターの中でシャオユイは老紳士をちらちらと盗み見るのだった。

シャオユイとアチンが住んでいる部屋の持ち主・リーユエの所へ同じバーで働く女性が来て書ユイとアチンをからかう。「シャオユイは見るからに色が白くてオカマだけど、アチンは男らしくてちっともそうは見えないわ」

シャオユイはアチンにリーユエと息子のチアンニーについて話す。リーユエはアメリカ人の兵士と付き合ってチアンニーが生まれたんだ。でもそのヤンキーはその前にアメリカに帰ってしまった。アチンは君のママと似てるね、と言う。うん、でもまだリーユエのほうがましさ。ヤンキーは手紙をくれるんだ。僕の父親は全くなにもなしだ。

公園に行くと教頭が一人の男を怒鳴りつけていた。彼は純朴なシャオミンから金を巻き上げていたのだ。それを聞いたアチンは男につかみかかった。
教頭はシャオミンにも文句を言った。シャオユイは「文句を言わないで。それがシャオミンなんだから」
教頭はシャオユイに会わせたい日本人がいる、と言った。シャオユイは飛びついていった。

教頭がシャオユイに会わせた林さんという日本人とはあのホテルで会った老紳士だった。すでに知っているという二人に教頭は驚く。
シャオユイが林さんに会ったのは、自分の父が林さんと同じ日本華僑で林さんの名と一文字違いだったからです。と言うと林さんはシャオユイにとても同情したようだった。
教頭は林さんさえよければシャオユイが台湾案内をしますよ、と言うと迷惑でしょう、と言う林さん。シャオユイはとんでもないと言い、林さんの案内を喜んで引き受けたのだった。

アチンとラオシュウ・シャオミンはローラースケートをして楽しんだ。シャオユイがアチンに「お母さんに会いに行ったの」と聞くので「会うのが怖いんだ。この前のように泣いたり騒いだり参ってしまう」「そうか、僕のおかあさんみたいだな。僕の母さんも父さんが牢屋にいる時男と逃げてしまった。後で探したら生活はめちゃめちゃだったようだ」
ラオシュウは「師匠はお前のチャンさんは表情が冷たいと言っていたよ」と言うのでシャオミンは「そんなことはないよ」と言い返す。

だが、シャオミンが家に戻るとチャンさんは酒を飲んでいた「どうしてこんなに晩いんだ」その様子に「怒ったの」とシャオミンが聞くと「お前は一生私といれるのか」「どうして急にそんなことを」「前にいた奴は、私がとても可愛がったのに、家のものを全部盗んで逃げてしまった」「僕はそんな奴じゃありません。信じてください」

シャオユイは林さんを台湾の街案内してホテルまで送った。林さんは部屋で飲み物でも、と誘った。その頃リーユエの部屋には周さんが来てシャオユイの帰りを待っていた。が、とうとう痺れを切らして出て行く周さん。
シャオユイは林さんの部屋で思い出話を聞いた。彼は30年台湾に戻ってなかった。昭和16年、太平洋戦争が勃発した時。私は台湾帝国大学を卒業したばかりだった。そして東北へ徴収されたのだ。林さんは「若くして家を離れ、年老いて戻る」という詩をそらんじた。

アチンは再び、母親を訪ねた、母親は最初こんなみっともない姿は見せたくない、帰ってと叫ぶ。また荒れる母親に仕方なくアチンが立ち上がると「行かないで、怖いの」とすがり付いてくる母。その肩を抱きしめるアチン。母は「ディーワーに会いたい」と言い出す。アチンは母をおぶってディーワーの墓に連れて行くのだった。

ディーワーの墓の前に座った母は泣きながらも久し振りに外に出たことに喜ぶ。母はアチンにあやまった「二人をかまわず、出て行ってしまったわ」アチンは「過ぎたことだよ」
母はアチンに話した。父さんは良い人だったけど、私たちは互いに何も解り合えなかった。でも小東宝歌舞団のウーシオンは違うの。彼は私が何を好きか知っていたわ。間違っていたのはわかる。でもしょうがなかった。幸せにはなれなかったけど、自分で決めたことだわ。

アチンは思う。僕と母は似てるのだ、と。彼女の一生は逃亡・流浪だった。僕の人生もそれを始めた。僕は母さんを身近に感じている。

4人それぞれが人とどんな交わりを持っているのか。苦しんでいるのか、が描かれています。そしてアチンは幼い時からひどく疎外感を抱かされた母に対して同類なのだと感じるのです。

4人のなかでちょっと毛色の変わったのがラオシュウです。他の3人と違って彼は悪の要素を演じています。

この「ニエズ」の特色の一つは貧しい(裕福ではない)ゲイの若者を描いているのに売春と言う事を描いてはいないことです。主人公アチンは特に売春は勿論大人の庇護を受けることも嫌っています。したがって彼は地道に働いていくわけですが、舞台がゲイたちが相手を見つけてさまよい歩く公園であるのに、その目的は売春ではありません。

が、このラオシュウはどうも他の3人と違って売春をしているようです(売春が悪だといってるわけではなく、ここで言ってるのはゲイの少年の話だとすぐ売春話になってしまう、ということなんですが)しかも金目の物があればすぐ盗んでしまう悪い性質があります。彼はゲイの性向があるのかもしれませんが、恋人と言う形では現れません。
ただ、こういう彼だからこそ後に語られる少女との逸話は心に残る物があります。その話しはまた後ほど。今回はラオシュウが兄・ウーヤーに常に暴行を受けている事が語られます。彼の盗み癖はその反動ではないのかと言う気もします。表面は明るく振舞っていて憎めないのですが、長年続いて来た被虐がラオシュウに精神を蝕んでいる事は否めないでしょう。

他のシャオユイは年配の男性を見ると付き合ってはおごってもらっているので、これが売春というのかどうかは人それぞれでしょうが。シャオユイはこの回で日本華僑の「林茂雄」さんと出会います。それはシャオユイの父の名前と一字違いです。そして見るからに優しげな雰囲気にシャオユイは父の面影を求めたのでしょうか。
林さんは台湾で他にも感動的な出会いがあります。

シャオミンはこの4人の中でも最も庇護を求めている少年です。身体は大きいのですが、ひどく傷つきやすい心を持っています。彼もまた母に捨てられ、父親は刑務所にいるという境遇です。彼はチャンさんを慕っているのですが、はっきり言ってチャンさんはシャオミンに飽きてしまったのでしょう。酷い話ですが。シャオユイが言うようにシャオミンの立場は奴隷でしかありません。ひどいチャンさんにそれでもすがっているシャオミンを歯がゆく思いもするのですが。その優しい魂を愛さずにはおれません。

アチンは心の中にずっと弟ディーワーの事を思っています。それは彼がどこかで弟を死なせてしまったのは、自分がかまわなかったせいだという思いがあるためでしょう。
アチンが住み込んでいるリーユエの家にはチアンニーというリーユエとアメリカ人の間の男の子がいるのですが、アチンはずっとその子を目で追ってしまいます。その思いは全くセリフでは表現されず(弟が死んだのでこの子を見てしまうんだ、とか)アチンの視線、行動で表されています。そういうところも「ニエズ」というドラマが繊細な作りになっていると感じさせられます。

今回はアチンが再び母親に会いに行く所で終わります。さまよい続けて果ては地獄にいる思いをする母にアチンは自分を重ね合わせます。
ずっと母と自分は違う世界にいて嫌われていると思っていた。が、真っ当な生活ができず父に反発し家を飛び出した母と自分は結局同じではないか、とアチンは気づきます。別れたあの日と同じように風を感じて気持ちよさそうにする美しかった母。シャオユイが言ったようにアチンはこのとき幸せだったのではないでしょうか。

原作:白先勇 監督:曹瑞原 出演:柯俊雄(李父)柯淑勤(李母)范植偉(李青)張捷(幼年李青)楊祐寧(趙英)金勤(小玉)阿鳳(馬志翔)龍子(トゥオ・ゾンファ)楊教頭(丁強)呉敏(張孝全)老鼠(呉懐中)
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2005年10月10日

[薛/子]子(ニエズ)第五集・母

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ドラマの中では中国語普通語が話されているのですが、時々台湾語が用いられます。知ってはいたのですが、最初は突然聞き取れない言葉が入るので「?」となっておりました。主に家族と話す時、それから年配の方が話す時に台語になります。字幕はそのまま中文なので私的には支障はないのですが。それから、台湾独特の言葉「欧巴桑・おばさん」なんて言うのかなと思ってたらちゃんとアチンが「おばさん」と発音していました。そんなことも興味深いことでしたね。

万年青電影会社の理事長・盛公は公園でも高齢で人望厚い老人の一人だ。アチンたちのような若者に優しかった。彼は以前は花形役者だったのだ。このパーティは彼の会社が制作した文芸恋愛映画のお祝いだった。若者たちがダンスに興じる中に盛公は座って楊教頭相手に話をした。盛公は若者たちの若さを羨んでいた。楊教頭はそんな盛公を励ました。
そこへシャオユイが盛公に飛びついてきた「盛公の映画とてもよかった、ぼく感動して3回も泣いたよ」盛公「おや、君たち若い子はカンフー映画が好きなのかと思っていたよ」楊教頭「お前はあの主役の役者が好きなのだろ」シャオユイ「それはそうだけど。でも問題は演技でしょう」そしてシャオユイはいい場面を盛公の前で演じてみせた。鼻で笑う楊教頭。だが、盛公はシャオユイに段取りをつけてカメラテストをしてあげようと約束するのだった。シャオユイは喜んだ。

盛公はたくさんの踊る若者の一人に目を止めた。それはアチンだった。楊教頭は徒弟ですよ、と言ってアチンを呼んだ。盛公はアチンの目を褒めた。そしてアチンとシャオユイを2階の自分の部屋へ呼んで飲み物を上げようと誘った。楊教頭は盛公はいい人だとアチンに耳打ちをして見送った。

楊教頭は並べられたお菓子を両手一杯につかんでいるラオシュウを見つけて叱った。一旦手放したラオシュウだが、教頭が向こうへ行くとまたもやお菓子を取ってしまうのだった。

部屋で年老いた盛公は若い二人に自分がかつてはいかに美しく女性にもてたかを話して聞かせた。「信じないだろうが」シャオユイはすかさず「あなたは今も若々しいですよ」と言って盛公を喜ばせた。しかしアチンは心の中で部屋に飾られた写真の眉目秀麗でスマートな男性が目の前のしぼんだ口で曲がった背中・頭がはげて醜い老人になるとは、と考えていた。

アチンは先日知った「小東宝歌舞団」の団長と会って話を聞いた。団長の話では、母親は「子供に会いたくても会わせる顔がないと話していたということだった。そして住所の書かれた封書を渡してくれた。彼女はトランペット奏者の武雄を好きになってしまったのだ、とも話した。が、彼女を歌舞団に引き入れた武雄は別の女といい仲になってリーシアを捨てたのだった。歌舞団も映画やテレビの影響で振るわなくなり解散したのだ。彼女は(売春をして)病気になり、金もなくなって団長に無心をした。団長は何とか金を集めて送ってあげた。それきりだと言う。そして彼女が悪い母親だとしても見舞ってやってくれ、彼女は君たちの写真を見ては泣いていたよ。と話した。

 アチンは封書を見て、その住所を訪ねた。暗く汚いじとじととした建物だった。痰を吐いている女にアチンは話しかけた。「おばさん、ここにホアン・リーシア(黄麗霞)と言う女性は住んでいませんか」おばさんはカーテンのかかった部屋に向かって「リーシア!誰か来てるよ」と叫んだ。アチンは中に入って「母さん、僕だよ、アチンだよ」「誰?本当にアチンなの?起こして。おしっこがしたいの。誰も来てくれやしないんだから。おぶって。歩けないの。早く。もれてしまうわ。ここでいいわ」そして部屋を出てすぐの土間の溝にしゃがみこんで用をたした。そばで見ていたおばさんが怒って「大小便を垂れ流して!早く死ね」母親リーシアも言い返して口争いになった。アチンが慌てて母親を部屋に入れようとするとリーシアは脚が痛いのと言う。「全身の骨がばらばらになりそう。あの人たちは私が早く死んで私の金の指輪を盗ろうとしてるの。でも無理、その前に飲み込んでしまうわ。2ヶ月家賃を払っていないだけなのに。何も食べさせようともしない。アチン。お金を持ってる?」アチンは金を渡した。リーシアは喜んで枕の下にねじ込んだ。アチンが何か買ってこようか、と聞いてもいらない、と言う。医者に見せなきゃ、と言うと、リーシアは「医者は私の脚は切り落とさねばならないと言うの。でも早く死んだほうがいいのよ。パパはどうなの」「帰ってないんだ」「ディーワーはどうしているの。今度ディーワーをつれてきてくれても解らないわね」「母さん」「私がいなくてもあなたはディーワーの面倒をよく見てくれたのね。可愛い弟だもの。よく面倒を見てやってね」「母さん、ディーワーは死んだ。台風の時、肺炎になって死んだんだ」「あなたがディーワーを殺したのね!私のディーワーを。殺した!きっと!あなたには良心がないの」「母さん」「殺した、ディーワーを。返して、私のディーワーを。死んでしまえ。死んでしまえ」リーシアは叫びながらアチンにものを投げた。アチンはどうしようもなく飛び出した。おばさんが母の悪態をついていた。

アチンはレストランの仕事に遅れた。シャオユイが心配したが、あの意地悪なリーダーがアチンに怒鳴りつけた「おかまが」立ち去るリーダーに向かっていこうとするアチンをシャオユイが止めた「怒らないで。かまわないがいいよ」

狭い路地を通って巡査がアチンの父の家を訪ねた「世帯と住民の数の調査です」「私一人だ」「お子さんが一人おられるはずだが」「死んだ」「そうですか、しかし・・・」「死んだ、みんな死んだ」

アチンは以前見かけた男と再会し、一夜を共にする。彼は体育教師でかつて経験した生徒への愛をアチンに話して聞かせた、せつせつと。そして泣いた。アチンは何か言ってなぐさめる力も無いことを感じた。

シャオユイはアチンが母を見つけたがひどく落ち込んでいるのを見て言った「少なくともこの世界で母親を見つけたんだ。僕よりは絶対いいよ。そうだろ。君は幸せの中にいて幸せがわからないんだ」

シャオユイは例の周おじさんにまた洋服を作ってもらった。周おじさんは可愛いシャオユイに洋服をあつらえてやるのが楽しくてしょうがないのだ。シャオユイが嫌がる服も着せて一人ご満悦なのだった。そして亡くなった奥さんの写真を前にシャオユイと共に拝んだ。そしてシャオユイにお前は妻によく似ているんだと言った。初めて見た時、妻がまだ生きていたのかと思ったと。そして奥さんの形見の首飾りを見せて「お前にあげよう。だが、まだお前のものではない。お前がずっと私のそばにいて私が息をひきとったら、だよ。どうした」「何でもない。僕もう行かなきゃ。また来るよ」そう言ってシャオユイは出ていった。周おじさんは取り残された。

とても辛い一話でした。アチンは母親から「死ね」と言われ、父親から「死んだ」と言われました。自分という存在を両親から否定されてしまうアチン。だが、シャオユイはそれは幸福なんだと言います、会いたかった母さんに会えたのだから。
シャオユイの父親への思いは激しいものです。一見ちゃらんぽらんに見える彼が父親に対してだけは一本気です。彼がつきあう男性が皆父親のような離れた年齢なのもそういう気持ちの表れなのでしょう。

原作:白先勇 監督:曹瑞原 出演:柯俊雄(李父)柯淑勤(李母)范植偉(李青)張捷(幼年李青)楊祐寧(趙英)金勤(小玉)阿鳳(馬志翔)龍子(トゥオ・ゾンファ)楊教頭(丁強)呉敏(張孝全)老鼠(呉懐中)
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2005年10月09日

[薛/子]子(ニエズ)第四集・青春鳥たち

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シャオユイは、新公園にいた仲間シャオミンとラオシュウに声をかけた。
ラオシュウは肌が浅黒く楽天家と言った表情だ。小さい頃父母と死に別れ、ウーヤー(カラス)兄貴に育てられた。ウーヤーは華西街の売春宿の用心棒をしている。性格が凶暴でラオシュウは何かと言うと殴られ蹴られていた。まるで奴隷のような扱いだが、ラオシュウはいつも笑って暮らしていた。
シャオミンは呉敏(ウーミン)という名前。髪はとても短く刈っていている。背が高くて大きかったが、その壮健な身体に彼は繊細な心を持っていた。シャオミンは母は行方不明で父親は刑務所に入っていたが、官庁に勤めている張さんという年上の恋人がいた。二人は綺麗で快適な一軒家に暮らしているのだった。
シャオユイの紹介でアチンは二人と仲良くなった。
シャオユイはママがご馳走を食べに来いと言うので明日皆で行こうと約束した。

その時、警察が見回りに来た。皆はすぐ察して逃げ出した。アチンは初めてのことで緊張した。

我々の王国は非合法だ。政府はなく、憲法はない。承認は破らず、尊重も破らない。無法でも庇護を与えた。我々はただ自らの動物的本能に頼っているのだった。真っ暗な中、一条の生存の道を模索して。

公園の中の建物の屋根の下でアチンとシャオユイは語り合った。
シャオユイは継父の暴力で家を出たのだった。シャオユイは本当の父の顔を知らなかった。父は日本華僑だ。化粧品の資生堂の販売の仕事をしていた。父は彼と母を捨てて日本に帰ったのだ。シャオユイのママは父を18年間待っていた。僕は誓った。ママのために必ず父を探し出してやると。けりをつけてやるんだと。
アチンは聞いた。もし彼が死んでたら?シャオユイは答えた。死んでも骨があるだろう。その骨を持って帰って立派なお墓を作ってやる。上には金字で「林正雄」と刻むよ。そしてお墓参りをするんだ。馬鹿だな、僕は。君にこんな話をしてしまうなんて。君は思ってるんだろう。きっと僕が連続ドラマでもやってるんだろうって。

シャオユイは父の名前「林」を名乗らず母の姓・王を名乗っていた。父の日本名は中島正雄といった。

シャオユイは3人を実家に連れて行った。シャオユイは母の今の夫をひどく恐れていた。彼は不在だった。シャオユイにそっくりの若くてきれいなママが出てきた。シャオユイを見るととても喜んだ。それを見守る3人は笑った。
シャオユイのママは隣のフオワン叔父さんの家が大きなブタをつぶすのでご馳走になるのだ、とつれていった。その夜はシャオユイがママと歌を歌って盛り上がった。

アチンはシャオユイの勧めで彼の部屋で共に暮らすことにした。グオ老の家をでる日、数十枚の撮った写真の中から一枚を選び、「青春鳥集」に入れられた。アチンは87号。「小蒼鷹」と名づけられた。
グオ老「行きなさい。アチン。君は飛び出さねばならない。君たちは野生の子供たちだ。君たちは帰る巣のない群れだ。海を越えていく青春鳥だ。最後にどこに辿りつくのか、君たちも知らないことだ」

シャオユイの部屋は彼の親戚のリーユエ(麗月)のアパートを間借りしているものだった。そこにまたアチンが来たのだ。リーユエは最初驚くが快く承諾してくれた。彼女にはアメリカ人の男性との間に生まれた赤ん坊の男の子がいた。アチンはふと弟を思い出し、その子をかわいがる。

シャオユイはひとりホテルで中島正雄もしくは林正雄という人物が宿泊してはいないか調べていた。

アチンはスイカを切ってあげてリーユエを感心させた。アチンは家事なら得意だという。シャオユイは何にもしないのよとリーユエは話した。リーユエはアチンが気に入った。

アチンは小東宝歌舞団が来ていた場所を訪ねた。アチンは母の名・ホアン・リーシア(黄麗霞)の行方を知らないか訊ねた。自分は子供だと言って。訊ねられた社長はまさか彼女にこんな大きな息子がいるとは。若い女性だと思っていた。社長は言いにくそうだった。彼女は少しの金のためにやったことで病気になった。すっかり落ちぶれてしまったよ。そういって住所を渡してくれた。

アチンはシャオユイたちの師匠・楊教頭に引き合わせてもらった。彼らはアチンを褒めてくれた。教頭はアチンの手相を見て「お前もやはり罪の運命だな。可哀想に」そして弟子入りを許された。跪いて叩頭し、皆が祝ってくれた。教頭はアチンに決まりを守るように言い渡した。

シャオユイとアチンはシャオミンの家を訪ねた。アチンの家とは全く違うこざっぱりとした一軒家だった。中ではシャオミンが丁寧に拭き掃除をしていた。彼は二人を歓迎したが、途中帰ってきたチャンさんは不服そうだった。二人はその様子に居心地を悪くしたが、シャオミンはアチンを浴室に案内した。小さいがとても清潔な浴室だ。湯沸かし器もついていると言う。シャオミンはこんな気持ちのいいお風呂はないよ、と言う。シャオユイはからかったが、アチンは天国のようだね、と言った。

二人はシャオミンを買い物に誘ったが、気難しいチャンさんは許してくれなかった。シャオユイはお前は奴隷か、と文句を言った。
アチンとシャオユイはシャツを買いに行った。アチンは気に入った服が見つかったが値段が高い。シャオユイは側でうたた寝していた周さんにおねだりをしてちゃっかり自分の分も上乗せして買ってもらうのだった。シャオユイはいつもそうやって周さんから色んな物を買ってもらうのだった。

新公園でそれを聞いた教頭はシャオユイに周さんには礼をつくせよ、と釘をさした。
皆はここはアフォンとロンズが死んだ場所だと話しあった。霊がさまよっていると。
さあ、盛公の家でダンスパーティが始まる。皆は急いだ。盛公の家は若者がたくさん集まりダンスに興じていた。

ひどく辛い家庭を離れ、新公園での仲間たちと師匠との関係は家族以上のもののようだ。ほっとする空気がある。とは言え、彼らはやはり家族を欲しているのだ。アチンは母をシャオユイは父を捜している。ラオシュウには父母が無く、シャオミンの父は刑務所で、今、身を寄せているチャンさんは恋人でありながら、父のような存在でもある。シャオユイがママに会って仲良く話しているのを見て皆羨ましそうにでも微笑ましく見つめている。彼らには戻る家が無いんだと気づき胸が痛くなる。まだ子供なのに。だからなのだろうか、彼らが相手にするのは同世代ではなくいつも年上である。アチンはまた弟も求めているのだが。

最後の場面、盛公の家のダンスシーンは若いゲイの青年たちが集まって踊ってて壮観だ。しかしここであっとなる事件を目撃する。皆がダンスに夢中になっている時、ラオシュウがかけられた服のポケットから金品を盗んでいるのだ。彼は万引きの常習犯なのだ。

そしていよいよ大好きなシャオミンの張孝全が出てきました。このかわいらしさ。切なさ。たまらないです。

原作:白先勇 監督:曹瑞原 出演:柯俊雄(李父)柯淑勤(李母)范植偉(李青)張捷(幼年李青)楊祐寧(趙英)金勤(小玉)阿鳳(馬志翔)龍子(トゥオ・ゾンファ)楊教頭(丁強)呉敏(張孝全)老鼠(呉懐中)
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2005年10月08日

[薛/子]子(ニエズ)第三集・新公園の仲間

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ここに来て言うのも何ですが、ここに書いているのはドラマの中文字幕を観て中文を読めるわけでもない私が勝手に訳して書いているものなので、正しいわけではありません。勘違い・間違いが多々あると思いますのでその辺はご容赦を。もし気になる点がありましたら、どうぞ指摘してください。

実験室での抱擁を用務員に見つけられ、先生に報告されたアチンとジャオ・インは尻を叩かれ、家族に知らせる、と言われる。
帰りしな、アチンはジャオ・インにあやまるが、ジャオ・インはその言葉も聞きたくないと泣き出す。
学校は李青(リーチン=アチン)にだけ退学を命じた。

父親はアチンを殴り、蹴飛ばし裸足のままアチンを外に放り出した。「畜生め。お前は私のメンツをつぶした。死んでしまえ」
その日の午後、父親はアチンを家から追い出した。アチンは裸足のまま町の外まで走った。振り返って見ると父の大きな体が見えた。手には拳銃を持ち目を真っ赤にして怒号した。

あたりはもう薄暗くなっていた。アチンは公園にたどり着いていた。昔、母やディーワーと遊んだ公園だった。その闇の中をゆっくりと歩き回る人影がいくつもあった。それを横目にアチンは東屋の長椅子に横になる。アチンの後をつけてきた初老の男が声をかけてきた。「よかったら、今夜はうちで過ごさないか。寂しいのだ。一緒にいてくれないか。金は払う」優しげに話しかける男にアチンは冷たく言い返す。男はその態度に腹をたて声を荒げる。
そこへ別の初老の男が現れた。白い服を着たほっそりとした姿だ。グオ老というその男性はアチンを助けた。グオ老の話にはアチンも耳を傾けた。
「怖がらなくていい。ここの者は皆同じ道の者だ。君たちは皆遅かれ早かれ必ず私の所へ来るのだよ。私はここの園丁なのだ。仲間は私をグオ老と呼ぶ。君たちは誰でもやって来たら、まず私の所へ報告に来るのだ」
グオ老は「青春芸術苑」という有名な写真館の主人だった。彼は靴も履いていないアチンを家につれて帰った。
グオ老は空腹のアチンに食事を与え、彼が新公園でであった多くの若者を撮った写真集「青春鳥集」を見せた。そして彼らの運命について話した。その中でも特に印象的な姿があった。上半身の裸に龍の刺青をした若者だ。「彼は阿鳳(アフォン)だ。最も凄まじい人生を生きた子だ。頭の鈍い女の私生児で孤児院に捨てられそこで育った。賢いがとても変わった少年だった。気まぐれで怒りっぽかった。彼を騙すものがいると暴力を振るった。16歳の時、院長と争って孤児院を飛び出した。そして戻らなかった。
新公園でも彼は野生馬のようだった。他の者は彼を放任した。
アフォンが18歳になって運命が訪れたのだ。彼が出会ったのはよりによって龍子(ロンズ)と言う名の富豪で軍人の一人息子だった。鳳と龍の出会いは天雷のようにどうしようもないものだった。しかしその後ロンズの家の者が入り込み二人を引き裂いた。そうして全てが変わってしまった。ロンズは家を逃げ出しアフォンを探しまわった。彼はアフォンによりを戻そうと頼んだ。だがアフォンはロンズを拒んだ。二人は長い間もつれあった。ロンズは匕首を取り出し、アフォンの胸に突き刺した。アフォンは新公園の林の中に倒れた。鮮血が噴出した。ロンズはアフォンを抱きしめた。そして頭がおかしくなってしまったのだ。
グオ老はそこで話をやめ、アチンを休ませる事にした。

アチンは弟・ディーワーの埋葬を見送りに行った。アチンはそこで自分がもう家とは無関係であることを実感する。

グオ老はアチンを写真に撮った。そして聞いた。何かやりたいことはあるのか。アチンはまず落ち着く場所を探して、仕事を見つけます。グオ老は学費ぐらいは出してやるから、勉学を続けたがいい、と言ってくれた。が、アチンは重大過失で退学になったのでもう無理だと答える。グオ老はまた「親は子供に過度に期待をかけてののしったりもするが親には違いないのだから永遠に恨む事はないはずだ。今は思い切り泣くといい」と話した。アチンはグオ老にしがみついて泣いた。

アチンはレストランでのウエイターの仕事をグオ老に紹介してもらった。そこの社長も同じ道の人だったのだ。
アチンが制服を身につけているとほっそりとした背の高いきれいな顔立ちの少年が近づいてきた。彼は日本語で「こんにちは。私はシャオユイです」と話しかけてきた。アチンはとまどい「わからないよ」と言うと今度は普通語で「今日はって言ったの。僕は小玉(シャオユイ)よろしくね」「僕は阿青(アチン)君は日本語がうまいんだね」「だって僕は日本人だもの」「日本人なの。中国語がうまいんだね」「日本の華僑なんだ」そこへリーダー格の男がやってきてゲイである二人を馬鹿にした態度で話した。アチンはむっとしたが何も言わなかった。シャオユイは「彼が何か言ってもぶつからないで社長に話すんだよ」
そしてシャオユイはアチンがグオ老の所にいると言い当て、「青春鳥集」を見た?と聞く。アチンが見たよと言うと「僕は81号だよ七色の孔雀さ」としなを作るのでアチンは笑った。シャオユイは仕事が終わったら会社へ行こうと言う。それは新公園のことだった。友達を紹介するよ。僕たちは毎日あそこへ行くんだ。

シャオユイとともにアチンは新公園へ行った。そこにはまた闇の中で蠢く男たちの姿があった。

僕たちの王国はただ暗い闇があるだけで昼間はない。天が暗くなる。それらは砂漠の中の蜃気楼のようにかすかに弱弱しく浮かび上がってくる。

この王国の歴史は曖昧だ。誰が作ったのかはわからない。いつ始まったのかもわからない。ただ一群の烏合の衆がいるだけだ。国の領域は狭くて悲しい。この長方形の蓮池のまわりの僅かの土地を林がびっしりと取り囲んで目隠しになっていた。外の世界との隔離になった。ここでは尊卑はなく、貴賎はない。老若もない。強弱もない。我々は共に寂しい孤独の心を持っている。夕暮に美しい月が照らす中で我々は一群の夢遊病者のようだ。この林のなかで影を踏みながら休みなく互いを追いかけているのだった。

3話目にして伝説の恋人たちアフォンとロンズの激しい愛が出て来ます。グオ老の昔話と言う形で突然映像としてふたりの強烈な雨の中の事件が映し出されるので衝撃です。全く、このドラマで映し出されるアチンのファン・チイウェイにしろ、アフォンの馬志翔にしろこの世界だけの信じがたいような美貌になります。アチンの眼差しは見るものを惹き付けますし、アフォンは伝説の少年に相応しい鮮烈な美しさです(他で見ると二人ともそうでもないのでやはりこのドラマを作った曹瑞原監督の力量としか言えません)真っ赤なシャツを身につけたアフォンは忘れられません。そしていないはずのアフォンとすれ違い、雨の中でロンズと出会うアチンの姿が挿入され、なんともいえない演出となっています。

ところでアチンがグオ老の家でシャワーを浴びる場面があるのですが、アチンがどんどんと壁を叩くのですね。このシーンは何となく萩尾望都さんの「トーマの心臓」でエーリクがシャワーを浴びて壁を叩いて怪我をするところを思い出してしまいました。

そしていよいよ我らが金勤のシャオユイちゃんも出てきました。彼はこのドラマで第二の主人公であると思うのですが、最初っから小玉節全開です。ここで笑ってるのはファン・チイウェイが素で笑ってると思うんですが。

原作:白先勇 監督:曹瑞原 出演:柯俊雄(李父)柯淑勤(李母)范植偉(李青)張捷(幼年李青)楊祐寧(趙英)金勤(小玉)阿鳳(馬志翔)龍子(トゥオ・ゾンファ)
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[薛/子]子(ニエズ)第二集・阿青(アチン)と弟娃(ディーワー)

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アチンの父の軍隊での部下だった男たちは、ひとしきり李団長の偉業を讃えて行った。洗面所で父親がそれを聞いたかは解らない。
父は汗びっしょりで出てきて、アチンを呼びその白い肌着の胸に勲章をつけた。そして陸軍官校で勉強するか、と問うた。アチンは「はい」と答える。父親は言う「父さんの一生はダメだった。お前は長子だ。父さんは全てをお前に期待する。絶対に父を失望させるな、わかったか」そしてディーワーにも「李家の栄光のために錦を飾るのだ」と言い渡すのだった。

母がいなくなり父はますます寡黙になりいつも仕事が終わると「三国志演義」を読むのだった。

ある日弟・ディーワーがチラシを拾ってきた。それは二人の母が逃げ込んだ「小東宝歌舞団」がやって来たというものだった。その町はかなり遠い。しかしディーワーはアチンに連れて行って欲しいと頼むのだった。
舞台に母の姿が見えたとき、ディーワーは母を大声で呼んだ。その声は音響に消され聞こえるはずもなかったが。
楽屋に入り込んだ二人は追い出されるが、ディーワーはあきらめきれない。もう帰ろうと言うアチンの声に肯かない。そのとき、男と言い争う女の声が聞こえた。「ママじゃない?」追いかけるディーワー。女は怒鳴りながら逃げる男に追いすがった。男は去って行った。泣く母の側に二人は立った「ママ」一度は否定した母だが「ディーワーはずっとあなたを思ってたんだ」とアチンに言われ母はディーワーを「大好きな子」と言って抱きしめた。
母は笑顔を見せて二人に屋台で餃子を食べさせる「美味しい?」「ママの作ったのよりまずい」ディーワーの言葉に何も言えない母。別れた時、ディーワーはまだ小さくて何も覚えてはいないはずなのに。だが、母は「もう訪ねてこないで」と言って立ち去った。二人はその姿を見送った。それからディーワーはもう母の事を話すことはなかった。

ディーワーが当番なのに皿洗いをしなかったので、アチンが思わず叩き、鼻血を出させてしまった。詰め物をして皿を洗うディーワーが可愛い。思わずアチンも笑ってしまう。
次の日、弟に詫びのつもりでアチンは大事にしていたハーモニカを渡す。小さい時ディーワーも吹きたがったハーモニカだ。屋根の上でアチンは吹き方を教えてやる。ディーワーは懸命に練習して上手くなっていく。布団に隠れてまで練習している。
父はアチンが試験勉強をやっているか訊ねる。「がんばれ」と励ます。

アチンには仲のいい友達がいる。趙英(ジャオ・イン)と言う。父親は市議会委員。同じバスケット部に所属していた。二人は活躍して勝利を飾った。
英語の授業中にジャオ・インはアチンに「土曜日は僕の誕生日だ。うちに来いよ」と誘った。先生に見つかり二人とも立たされた。

台風が来た。アチン一家は3人で家を守った。が、台風の勢力は凄く、アチンの家の屋根は崩れ、大量の雨が降りこんだ。
片付けと修理をする時、ディーワーが嫌な咳をした。父は着替えろと言ったが、言う事を聞かない。
土曜日、誕生日でジャオ・インが迎えに来る。アチンは出かけようとするが、ディーワーは熱があってご飯も食べようとしない。ずっと咳をして薬も飲もうとしない。「ご飯を食べて薬を飲むんだ」と言ってアチンはジャオ・インと家を出る。
ジャオ・インの部屋はこざっぱりとしている。レコードも持っている。アチンは父親の会社関係で手に入れたシャツをプレゼントした。喜んで着るジャオ・イン。すぐに着替えるため、服を脱いだ。それを見つめているアチン。「これを着てバスケットしたらかっこいいぜ」と言いながらボールを持つジャオ・インの邪魔をするアチン。次第にじゃれあいになり、取っ組み合いになり、ベッドに倒れこむ二人。ジャオ・インを下にアチンはジャオ・インを抱き抱えるような形になる。互いを見詰め合う二人。そのときジャオ・インのママがやって来た。はっと離れる二人。ママが去った後、言葉が出ない。

アチンが家に帰るとディーワーが倒れていた。可哀想にディーワーは肺炎になっていたのだ。父と一緒にディーワーを病院に連れて行くアチン。だが、何ということだろう。ディーワーはたった一晩で死んでしまったのだ。弟を連れ去ろうとする看護士たちを怒鳴りつけるアチン。支えあって生きてきた弟が死んでしまったのだ。アチンは激しく泣いた。

夜、学校の化学室にアチンとジャオ・インは座っていた。泣きじゃくるアチンにそっと寄り添うジャオ・イン。言葉は少ないが、タバコを渡し、アチンを慰めようとしていた。アチンはどうしてしまったのだろうか。苦しい胸のうちを知って欲しいかのようにジャオ・インにしがみついて泣いた。アチンを優しく抱くジャオ・イン。アチンはジャオ・インの唇にキスをした。ジャオ・インは嫌がってはいなかった。アチンのキスを受けとめ、やがて互いを狂おしいように抱きしめ、互いに上下になって抱き合った。
守衛が回ってきた。気づかず抱擁しあう二人。互いの体に触れた。
「誰かいるのか」
慌てて起き上がり、二人は脱いだ服を身につけるのだった。

弟・ディーワーはこの2話にしか(話としては)出てこないのに大変心に残る存在です。その男の子らしい無邪気な可愛らしさは亡くしてしまう悲しさを余計に引き出しています。
自分のせいで弟を失ってしまった呵責に捕らわれるアチンはこのことが後の人生に大きく関わっていきます。
幼い時に母を失って記憶に残るはずもないのに母を慕うディーワーの姿は涙なくしては見れません。それを見るアチンの辛さも。

弟を失った悲しさでアチンの留め金が外れてしまったのでしょうか。唐突にアチンは心の中にしまいこんでいたジャオ・インへの恋心をキスと抱擁という形で表してしまいます。だけどジャオ・インも拒みはしないのです。彼自身もアチンを抱きしめキスを返しているのです。この場面は、ラブシーンがそれほどないこのドラマの中で最も美しい場面の一つではないでしょうか。

原作:白先勇 監督:曹瑞原 出演:柯俊雄(李父)柯淑勤(李母)范植偉(李青)張捷(幼年李青)楊祐寧(趙英)
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2005年10月06日

[薛/子]子(ニエズ)第一集・家族

ニエズ・ポスター.gif

niez4.jpgniez6.jpg 

以前、予告していましたが、少しずつ「ニエズ」をもう一度書いてみようか、と思っています。前回よりは詳しく書いてしまいます。

「私たちの王国には、ただ暗い夜があるだけだ。昼間はなく、空は暗い。
そこはまるで砂漠の中の蜃気楼のようにぼんやりと浮かんでくるのだ」

ドラマは毎回主人公アチンが父親に怒鳴りつけられ殴られ、裸足で家を逃げ出す場面から始まる。少年アチンはこうやって父親により家を追い出されたのだ。「こん畜生。お前はうちの子供ではない」と罵られて。

アチンの住む家は台北市の荒れた片隅にある龍江街の端だ。古くて雨漏りのする木造平屋がぎっしりと立ち並んでいた。

母親は結婚した時、まだ19歳。父とは26歳の年の差があった。母は若くほっそりとして豊かな髪の美しい人だった。彼女の大きな瞳はいつもためらいがちに輝いていた。特に父に怒鳴られる時は。

母はアチンを産んだときひどい難産で死ぬところだった。弟ディーワーを産むときは観音様から授かる夢を見た。そういうわけで母はアチンを疎んじ、ディーワーを溺愛していた。が、ディーワーの命は小学6年の時に観音様に取り戻されてしまう。
弟ディーワーがアチンのハーモニカを吹いていた。アチンがそれを咎めると母は怒った。

軍人上がりで酔うと日本鬼子と戦った話ばかりの父と弟ばかりを可愛がる母の間でアチンには居心地のいい場所がない。

洗濯を仕事にしている母から父親を迎えに行って、と頼まれる。アチンは幼い弟を抱いて父がいつも酒を飲んでは昔話をする戦友の黄叔父の家へ行く。黄叔母はアチンにも優しかった。黄叔父は父に仕事も紹介してくれた。父にとって唯一の頼りになる存在だった。

そんな風に暮らしていたアチンの住む町に小東宝歌舞団がやって来た。母の生活が変わりだした。
母は歌舞団の洗濯を頼まれ次第に団員たちと交わるようになった。試しにつけた衣装と化粧は彼女を美しくした。その様子をアチンと幼いディーワーは眺めた。母は踊りを習い、若いトランペット吹きの男と親しくなっていった。
近所の女たちがそのことを噂した。父はそれを聞き、アチンに怒鳴った。「母さんを呼んで来い!」アチンが歌舞団に行くと母と若い男が二人きりで話をしていた。アチンには声がかけられなかった。
母が戻ると父親は激しく怒って頬を叩いた。アチンは泣き出すディーワーを抱きしめた。父親は殴ったことに気が咎め、次の日寝込んでいる母に綺麗な黄色のワンピースを買ってきた。
年老いた夫が不器用に夕食を作り出すのを見て母はその綺麗なワンピースを着て、もっと美味しいご馳走に作り変えてしまった。それがアチンたちが家族全員で夕食をとった最後となった。

母が夜、アチンの寝台にやって来た。いつになく優しい風情だ。ライチを買ってきてくれたのだった。母は聞く「私はあなたに辛くあたったわね。ママが嫌いになったでしょう」アチンは否定した。母は続けた「これからもディーワーの面倒を見てあげてね。いい?」そして音を聞いた「風ね」母は美しかった。

事態に気づき年老いた夫は家を飛び出す。若い妻は歌舞団に入って逃げてしまったのだ。あの若いトランペット吹きに抱きしめられて。拳銃を掲げ、父親は雨の中を走った。

家では雨漏りがし、アチンはディーワーを抱きながら床を拭いていた。追いつかず帰ってきた父は母との記念写真にはめたガラスを拳銃で割った。幼いディーワーはアチンにしかと抱きついた。もう兄弟しか頼る者はなかった。

アチンとディーワーは成長した。屋根の上でよくアチンは弟にハーモニカを吹いてやった。

アチンは試験に合格した。知らせを聞いて弟ディーワーは大喜びする。だが、それは第三志望の夜の学校で、父親はひどくがっくりした。だが、父はアチンたちを食堂へ連れていった。食欲旺盛なディーワーはお代わりを欲しがる。アチンがたしなめると父は自分の分をディーワーの碗に入れた。アチンは断ったが、ディーワーはもらった肉をアチンの碗にいれてあげる。その様子を見て父は笑った。

3人が家にいると「李団長はご在宅ですか」という男たちの声がした。父親はアチンに言い含めて洗面所に隠れた。

母親から冷たくされるアチンを見るとその心が解って辛い。だけどアチンは弟ディーワーの事は好きなのだ。年も離れていてとても可愛がっている。この弟ディーワーが凄く可愛い。赤ちゃんの時も一体どうやって演技させているのかと思うほど自然で可愛らしい。小学生になったディーワーもとてもいい。兄・アチンをとても慕っていて、優しい心を持つ可愛い子なのだ。この愛らしさがドラマの悲劇を余計重くしている。
また、役者にしろセリフにしろよく計算されたすばらしいドラマなのだが、様々な演出もされている。アチンと父親がバスに追いつかない場面があるが、アチンたち一家の取り残された状況を表現していて哀しいものが伝わる。また、母親が出て行って雨漏りしているのも心情を表している。それにしても父親が怒って写真のガラスを割ったとき小さなディーワーの手がアチンのシャツをぎゅっとつかむのはなんて悲しい表現だろう。ディーワーが頼るのがアチンしかいないと言う切ない場面である。

原作:白先勇 監督:曹瑞原 出演:柯俊雄(李父)柯淑勤(李母)范植偉(李青)張捷(幼年李青)
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2004年10月15日

「17歳的天空」やっと到着!

お待たせしました〜。「17歳的天空」でございますっ。なんといってよいやら、ま,昨日は「巫山云雨」で今日はこれとなるとあまりの違いに頭がついていけません。
祐祐くんのあまりの無邪気さにすべて救われる気もしますが。金勤は「ニエズ」のときよりさらにグレードアップの大活躍です。祐祐演じる天財は南部から台北にやってきたばかり。友人の小宇(金勤)を頼りにします。突然出会ったハンサムマンに互いにひとめぼれ・・・というなんとも能天気な話。小宇とふたりのゲイ友達の八面六臂(?)の活躍がなければさほど見るところもないでしょうが、退屈はしませんでした。
申し訳ないけど私はさほど祐祐君にもDuncanさんにもハートマークがないので無心で楽しめました(なんのこっちゃ)金勤は相変わらず国際的恋愛のかたです。
しかし明るい映画だにゃ。台湾にはこんなに明るいゲイ世界があるのかしらん。祐祐、平気で(ゆうゆうと、というところだった)パンツ姿で街中を歩いていいのでしょうか?またまた疑問はわいてくるばかりです。
tennkuu続きを読む
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2004年09月25日

最終集

ついにやってきました、最終集です。とても静かな終わり方でしたね。老爺子はアチンの家を訪れてアチンの父親と話します。解決というわけにはいきませんんが、アチン父は心を動かされます。しかし、老爺子は帰途倒れてしまいます。そして、ひとりひとりに言葉をかけます。アチンには特に自分の変わりに育幼院の子供たちの面倒を見ていってほしいと頼みます。そしてアチンの父に会いに戻りなさいと勧めます。そうして老爺子は息を引き取ります。葬式の準備を皆で進めていきます。棺を丘の上に運ぶ途中、ロンズが駆けつけます。泣き崩れるロンズ。
アチンは父の大好きな「三国志」の本を持って家に戻ります。しかし父の「アチンか?」の声に逃げ出してしまいます。が、本を見て父は解りました。
アチンは再び新公園に入っていきます。「小蒼鷹」の声に振り向くとグオ老でした。グオ老は「君たちが必ず帰ってくると解ってたよ」といいます。そして「行こう」と。
自分が初めて座りこんだその場所に少年が呆然と座ってるのを見つけます。その少年は、アチンの弟の役をやった少年なのですが。アチンは少年の名を聞き「、おなかがすいてるなら僕のうちに来るといい」と呼びかけ、「寒いから走っていこう」と走り出します。ふたりが走るところでこのドラマはおわりです。そこでアチンが行ってしまった小玉に送る手紙が読まれます。皆の近況と君が早く夢をかなえられますように、と。
posted by フェイユイ at 22:23| Comment(0) | TrackBack(0) | [薛/子]子(ニエズ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

瀬戸の花嫁

いよいよ「にえず」最後のDVDとなりました。最後までストーリー書いてしまいますので、今から見る方ご注意願います。
安楽郷はとうとう終わってしまいます。そして小玉はとうとう日本へ行くことになります。母の元へ行ってお別れをいい、安楽郷で最後の歌を歌います。「瀬戸の花嫁」です。おお。ある年齢以上のものだったら必ず知ってる名曲ですね。たぶん2番か3番なんで、私は知らなかったんですが、小玉は上手な日本語で「瀬戸の花嫁」を歌います。「島から島へとわたっていくのよ」というのが、小玉をあらわしていているのでしょうね。こんなにいい歌だと思ってませんでした。歌い終わって4人が抱き合います。本当に兄弟のような4人の1人が遠いところへ旅立ってしまうのです。しかし小敏、3人を抱きしめられるなんて腕が長いなあ。その小敏のチャングーが病気で倒れてしまい、動けない体になってしまいます。小敏は、チャングーの看病をする決心を固めています。チャングーがいらだってかんしゃくを起こしてもただひたすら尽くす小敏。
アチンは老爺子が殺される前のアフォンに出会ってたことを聞きます。そしてアフォンがロンズを心から愛していたことを、ロンズに知らせます。それを聞いたロンズは老爺子に会いに行きます。老爺子はロンズの父の旧知でおじさんと呼ぶ間柄だったのです。ロンズは自分が父に疎まれどんなにつらかったかを訴え泣きます。老爺子はお前だけがつらかったのじゃない。お前の父親もひどく苦しんだのだと諭します。
寂しげにハーモニカを吹くアチンを見て老爺子は決心します。老いて思うようにならない体で老爺子は一人バスに乗りアチンの父を訪ねようとするのでした。
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2004年09月23日

今をときめくチェン・ボーリン君が!

第18集、残りわずかとなってきましたねえ。ここで、なんと!小敏が帰ってきました。わー。感激でした。しかし彼は疲れ果て、お金もなく、たぶんずっと食べていないのでしょう。体を売ってしまうのです。そのころアチンたちは安楽郷で小玉の目論見を聞いてました。小玉は料理の勉強をして船長の船に乗せてもらい、日本についたとたん逃げ出すというのだ。船に乗るために盲腸も切ってしまうというのだ。「まだあきらめてないのかい」というラオシュウに小玉は「僕がいつあきらめたのさ。僕は死んで灰になっても、太平洋を飛んでいくよ」と決意を語る。
ここで初めて知ったことがあります。衆知の事実なのでしょうが、この後、「小敏を見かけたよ」と話しかける未成年が、今をときめくチェン・ボーリン君ではありませんか。ま、それを言うだけのチョイ役ですが(もしかしてまだでてたのかもね)とてもかわゆらしいです。お金をもってなくて小玉にいびられてますが(笑)アチンはそれを聞いてすぐさま、小敏を迎えに行きます。そして小敏も安楽郷で働きだします。が、ここでまた、チャングーが出てきて小敏の心を揺らすのですねえ。はああ。
アチンはアチンでロンズが訪ねてきます。そしてロンズはアチンに聞きます。「互いに好きあってるのにどうしていってしまったんだ」と。アチンは「あなたはアフォンの面倒を見たかった。でも僕はアフォンにはなれない」と。ここでまた、アチンが年下の少年と出会う話が挿入されます。ふむふむ。
でもって順調な安楽郷に影が差します。なんと(これが多いね)新聞に安楽郷が妖しい隠れ家だと書きたてられていたのだ(こんな記事が新聞に載るのね)それを読んだ野次馬が店にやってきて大騒ぎしてアチンたちをいびりぬくのだ(こんなことされるのだね、はー)せっかく軌道に乗っていた店がめちゃめちゃになり、途方にくれるシーフーだった。
posted by フェイユイ at 22:50| Comment(0) | TrackBack(0) | [薛/子]子(ニエズ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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